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火球

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
大気圏に突入した火球(a)とその破片(b)

火球(かきゅう[1]、bolide[2]、fireball[1][2])とは、流星の中でも特に明るいもの[3][4][5][6]大気中で蒸発したものも、隕石となって地表に落下したものも、一定以上の明るさで光れば、どちらも火球と呼ばれる[4][7][8]

地球だけでなく、他の天体(木星など)の大気で発光した流星にも使われる[9]

定義

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2017年4月30日に国際天文学連合(IAU)の流星・隕石・惑星間塵委員会が承認した定義では、「絶対等級[注 1]が-4等級よりも明るい流星」とされている[2]。一方、アマチュア研究者が組織する国際流星機構(IMO)では、その火球が観測者の天頂で観測されたとすると-3等級以上の明るさになるであろうもの、としている[10]英語ではファイアボール(fireball)またはボーライド(bolide)と呼ばれ、IAUの定義ではこれらを区別しないが、アメリカ流星協会(American Meteor Society)では、特に最後に爆発をともなう火球をボーライドとして区別するとしている[11]。科学的な観測でなく一般的な目撃の場合、明るい流星を火球と判断するのは主観的であって、厳密な境目は無い[12][13]。火球の軌道は、流星群の母天体である彗星よりも、むしろ小惑星に近い傾向がある[14]。隕石の軌道もほとんどの場合、小惑星のように黄道面とのなす傾斜が緩やかなものが多い[14]。つまりこうした火球のうちの一部が、隕石になるとの考えに無理はないとの証拠である[15][14]

火球の観測

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明るい火球が隕石として落下した場合、その軌道は火球の目撃情報からも得られる[4][5][7]。またより正確な情報を得る為、火球監視カメラと呼ばれるカメラによって自動監視が行なわれている[3]

流星群の観測では、流星の明るさの統計が研究の手がかりになる事があるため、毎年の主な流星群の火球の出現状況が詳しく調べられている(観測項目を予め決めた、流星群の火球データの収集)[16]。なお流星群に属する火球は隕石になった例が知られていない[8]

火球を見た時、現れた方角と時刻を確認しておくと、他人が観測した火球と同じものかどうかを確認する手がかりとなる[5][8]。また、飛行方向を記録しておくと飛行経路特定の役に立ち、ひいては隕石落下位置の推定を行う有力な資料となる可能性がある[7][17]

なお、夕方の西の空にはしばしば火球のような物体を確認できるが、これは飛行機の誤認である場合が多い(「日本火球ネットワーク」参照)[18]

アースグレイジング火球

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アースグレイジング火球とは飛翔経路が地球の接線方向になることで地表からの観測ではあたかも再上昇するように見える軌道を描く火球である[19]。2006年3月29日には日本関東地方で観測された[20][4][21]

火球の音

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火球は経路に沿って衝撃波を形成し、火球が大きなときそれはしばしば大きな衝撃を伴うソニックブーム)として地表にまで到達する[22][12]。衝撃音は経路に直交してほぼ円柱状に広がるが、地表近くの大気の温度差で反射するため、火球の経路が地表面に対してなす角度が大きなときには地表まで到達しにくい[23]。角度が小さな場合には、経路の進行方向と直交した方向に広範囲に大砲か遠雷のような音を響かせ、人々を驚かせる[5][6]。特に大きなときには窓ガラスが割れるなどの被害をもたらし、2013年のロシアチェリャビンスク州の隕石落下ではその範囲が180×80キロメートルに及んだ[24]

一方で、火球や流星が流れるのと同時にかすかな音が聞こえるという報告も多い[5]。しかし実際には数十km上空の中間圏で起こっている現象であるため、地上の観測者に物理的な音が届いたとしても音速を考えれば数分後のはずである。そのため音を伴う観測例が後を絶たないのは大きな謎となっており、電磁波音のような説が提唱されている[22]

注釈

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  1. ^ 恒星や惑星の絶対等級の定義とは異なり、100キロメートル離れた場所から見た可視光での等級を指す。

出典

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  1. ^ a b 火球”. 天文学辞典. 日本天文学会 (2020年7月13日). 2020年7月16日閲覧。
  2. ^ a b c Definitions of terms in meteor astronomy”. 流星・隕石・惑星間塵委員会. 国際天文学連合 (2017年). 2020年7月16日閲覧。
  3. ^ a b 読売新聞』2003年6月20日 全国版 東京夕刊 夕2社18頁「関東地方で衝撃音、緑の光… いん石だった?/国立天文台」(読売新聞東京本社
  4. ^ a b c d 「火球」の目撃相次ぐ 29日夜の関東地方で」『朝日新聞朝日新聞社、2006年3月30日。オリジナルの2006年4月1日時点におけるアーカイブ。2025年6月29日閲覧。
  5. ^ a b c d e 光放つ物体の目撃各地で相次ぐ 21日夜、火球か」『日本経済新聞日本経済新聞社、2017年11月22日。オリジナルの2025年6月28日時点におけるアーカイブ。2025年6月29日閲覧。
  6. ^ a b 「火球」目撃投稿相次ぐ 満月級の明るさと専門家」『日本経済新聞』日本経済新聞社、2020年11月29日。オリジナルの2025年6月28日時点におけるアーカイブ。2025年6月29日閲覧。
  7. ^ a b c 火球、直径数十センチの隕石か 燃え残り地表に落下も」『日本経済新聞』日本経済新聞社、2020年7月3日。オリジナルの2025年6月28日時点におけるアーカイブ。2025年6月29日閲覧。
  8. ^ a b c 毎日新聞』2025年12月16日 東京朝刊 社会面26頁「ふたご座流星群:ふたご座流星群 夜空貫く、2本の矢」(毎日新聞東京本社
  9. ^ 木星で「火球」観測 京大助教ら 今世紀最大か」『中日新聞中日新聞社、2022年9月13日。オリジナルの2022年9月20日時点におけるアーカイブ。2022年9月17日閲覧。
  10. ^ International Meteor Organization - Fireball Observations”. Imo.net. 国際流星機構. 2020年7月16日閲覧。
  11. ^ What is a fireball? What is the difference between a fireball and a bolide?”. Frequently Asked Questions(FAQ) About Fireballs and Meteorite Dropping Fireballs. The American Meteor Society. 2020年7月16日閲覧。
  12. ^ a b 『毎日新聞』2014年12月26日 東京朝刊 社会面26頁「火球:未明の上空に 満月並み明るさ 関東、中部で目撃」(毎日新聞東京本社)
  13. ^ 『読売新聞』2025年8月21日 全国版 西部朝刊 社会27頁「西日本で火球」(読売新聞西部本社
  14. ^ a b c 『読売新聞』2024年9月8日 全国版 大阪朝刊 2社32頁「「火球」発生予測→観測 「ひときわ明るい流れ星」 京大など」(読売新聞大阪本社
  15. ^ 『読売新聞』2020年12月29日 全国版 東京朝刊 3社25頁「小惑星、彗星 観測100万個 望遠鏡の性能向上」(読売新聞東京本社)
  16. ^ 上空に「火球」、目撃例相次ぐ 関東や中部で」『日本経済新聞』日本経済新聞社、2014年12月25日。オリジナルの2025年6月28日時点におけるアーカイブ。2025年6月29日閲覧。
  17. ^ 関東の「火球」は隕石と判明 千葉・習志野で破片発見」『日本経済新聞』日本経済新聞社、2020年7月13日。オリジナルの2025年6月28日時点におけるアーカイブ。2025年6月29日閲覧。
  18. ^ 『読売新聞』2023年2月6日 滋賀 大阪朝刊 統滋賀25頁「先月の爆発音 原因は 自衛隊F15戦闘機 衝撃波か=滋賀」(読売新聞大阪本社)
  19. ^ 1990年10月13日の地球をかすめて通過した火球
  20. ^ 2006年3月29日の長経路流星
  21. ^ 『読売新聞』2006年3月30日 全国版 東京朝刊 社会39頁「天文観測 関東上空に火の玉? 目撃続々」(読売新聞東京本社)
  22. ^ a b 流星に伴って聞こえる音”. 流星物理教室. 2020年7月6日閲覧。
  23. ^ 『読売新聞』2014年11月4日 全国版 西部朝刊 社会39頁「謎の巨大な光る物体 流れ星か」(読売新聞西部本社)
  24. ^ Popova, Olga P. (2013). Peter Jenniskens, Vacheslav Emel'yanenko, Anna Kartashova, et al.. “Chelyabinsk Airburst, Damage Assessment, Meteorite Recovery, and Characterization”. Science 342: 1069 – 1073. doi:10.1126/science.1242642. 

関連項目

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外部リンク

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