毒姫

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毒姫(どくひめ)』は三原ミツカズによる日本の漫画作品。「ネムキ(朝日ソノラマ社)」で2002年11月号から2012年11月号まで連載された。単行本は全5巻。また、2017年から2020年にかけて、「nemuki+(朝日新聞出版)」にて続編及び番外編である「毒姫の棺(どくひめのひつぎ)」が掲載された。

あらすじ[編集]

小国ミトラガイナには、生まれながらに体内に毒を取り込み、体液が猛毒になった少女達「毒姫」がいた。彼女達は敵国に寵姫として送られ、国王を毒殺するための存在である。主人公リコリスも大国グランドルに送られるが、国王の毒殺に失敗して囚われてしまう。その中で三つ子の王子が国を護っていること、国を滅ぼす忌み子がその中にいることをリコリスは知ることとなる。

登場人物[編集]

本編[編集]

リコリス
主人公。火事の焼け跡で拾われた。その名の通り、彼岸花のような赤毛が特徴。毒に対する耐性は高くなかったが、生への執着から毒姫になる試練に耐え抜いた。グランドルに送られるが、王の暗殺に失敗し捕虜の身となる。捕虜として過ごす中で、グランドルと三人の王子の秘密を知り、国同士の混乱に巻き込まれていく。
カイト
グランドルの第三王子。父王曰く「ぼんやりさん」な性格。グランドルに向かう途中のリコリスと偶然出会い、惹かれ合っていく。
ハル
グランドルの第一王子。
マオ
グランドルの第二王子。国王の毒味係でもある。毒姫であるリコリスに対して冷たくあたっていたが、物語を通して密かに想いを寄せていく。
イカルス
グランドルの国王。カイト達の父親。仮面を被っていて素顔は見えない。元々は王家付きの親衛隊長で前国王(ガーレとリーゼの父親)に対してクーデターを起こし、王に成り上がった人物でもある。
エシドラ
グランドル王の側近の老人。ベガ(後述)の祖父でもあるが、クーデターの際に前国王を裏切ったことから「裏切り者」と呼ばれている。
ガーレ
グランドルの前国王の息子(第一王子)で、元王族。眼鏡を掛けている[1]。両親を殺害した現国王とその息子達を激しく憎んでいる。高慢で冷酷な性格だが、妹のリーゼの事だけは大切にし、彼女を傷つけるような情報は入れないようにしている。
ベガ
ガーレの側近の青年。前述したエシドラの孫で、ガーレへの忠誠心は非常に高い。物語終盤、長年リーゼに思いを寄せていたことが判明した。
リーゼ
グランドルの前国王の娘で、ガーレの妹。ガーレが唯一愛情をこめて接している人物。
その姿を初めて見たリコリスが見惚れるほどの美少女であるが、聴覚障害を持ち、話すことも出来ない[2]ため、周囲とのコミュニケーションは掌を使った読唇術に頼っている。ガーレによって外界から隔絶されて過ごしているため、非常に純真無垢な性格。
ダチュラ
ミトラガイナの女王。毒姫を他国に送り込む政策を打ち出した張本人。年齢不詳の絶世の美女で、いつも取り巻きの男達に囲まれている。国王会議で出会ったイカルスに並々ならぬ執着心を抱いている。
『毒姫の棺』で戦犯としてイスキアにて虜囚の身となっている事が分かった。
マンドレイク
ミトラガイナ女王の家臣の1人で、毒姫達からは「婆様」と呼ばれ敬われると同時に恐れられている。貧しくて身寄りのない女の赤子を引き取り、毒姫として育て上げる毒姫の作り手にして自身も元毒姫。冷酷で利益のためなら手段を選ばない性格だが、ダチュラ女王には絶対的服従の姿勢を見せている。
ベラドンナ
毒姫の女性で、リコリスの姉貴分。鉄面皮とも言われるほどの冷静な性格だが根は優しく、毒への耐性が弱いリコリスの面倒をよく見ていた。物語冒頭で敵国に寵姫として送り込まれるが、逃げ出して柘榴に捕まり、裏切り者を処分するよう強要されたリコリスにより火刑に処せられる。
アセビ
ベラドンナに思いを寄せるミトラガイナ女王の毒味係の青年。任務のために敵国に送り込まれたベラドンナを心配して後を追い、彼女に逃げるように言ったものの、兵士に見つかって拘束される。ベラドンナの前に引き出され、関係を尋問されるが口を割らず、最後は拷問の末に首を斬られて死亡する。
柘榴(ざくろ)/イリス、アネモネ
問題を起こしたり、任務に失敗した毒姫、離反者を殺す役割を担う「同族狩り」の双子の姉妹。他の毒姫の少女とは全く容姿が違い[3]、またその立ち位置から恐れられ疎まれている。
かつては2人とも他の少女同様毒姫として育てられていたが、アネモネが猫を助けようとして崖から落ち、左目を失明した事でマンドレイクから「死ぬか同族狩りになるか選べ」と迫られ、2人で同族狩りとなった[4]
裏切り者の始末という任務には忠実だったが、無実のロベリアを手にかけたことで自分達の立場に疑問を感じ、最終的にミトラガイナを裏切り、毒姫の少女達を連れてグランドルに亡命する。
『毒姫の棺』では毒姫の末路である中毒症状に苦しみながら、最期の毒姫を自称するネリネ(後述)を育てていた。
ロベリア
毒姫の一人で、リコリスの妹分。一人前の毒姫になるための最初の儀式をすませたばかりの少女で、天真爛漫な性格。
物語終盤、ミトラガイナがグランドルに攻め込むための準備として柘榴に殺され、水路に投げ込まれる。
シッカ
グランドルの王城付きの侍女。リコリスの身の回りの世話をする。かつては「靴違え」と呼ばれる戦災孤児でかっぱらいをして生計を立てていたが、イカルス王に拾われる。リコリスに懐き、甲斐甲斐しく面倒を見るが、毒姫であるリコリスの側にいる事によって次第に体調を崩していく。
ハオマ
砂漠の国イスキアの王子。
まだ年若いが聡明な人格者で、民(特に子供たち)からも慕われている。国の民達が毒入りの水路(ロベリアが投げ込まれた川)の水で次々と死に、病で伏せていた父王も死亡した後、グランドルに攻め込む。
マピヤ
イスキアに住む盲目の少女。ハオマを慕っている。
『毒姫の棺』では獄中のダチュラの世話をしている。

毒姫の棺[編集]

ネリネ
本編エピローグより登場。柘榴に連れられグランドルに亡命した毒姫の一人。一緒に連れられてきた義姉妹達は次々と毒によって死んで1人だけ生き残ったため、最後の毒姫を自称するが、物語冒頭にて柘榴に家を追い出される。
ペーター
ネリネの幼馴染の少年。
ロゼレム
イカルスに偶然選ばれ王妃となった女性で、カイト達の母親。出産により亡くなっているため、回想の中のみの登場。
アレジオ
ハルの新しい毒味係。平民出身。

脚注[編集]

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  1. ^ ただの近視などではなく、王族同士の近親婚による視覚障害であることが2巻の巻末イラストに記載されている。
  2. ^ 兄同様、近親婚によるものと思われる
  3. ^ 毒姫の少女達は総じて綺麗な長い髪と可憐なドレスを身に纏っているが、2人はざんばらの短い黒髪と眼帯、露出の多いボンテージ風の衣装を着ている。
  4. ^ イリスはその際に「あたしがアネモネの左目になる」と自ら右目を暖炉で燃えていた薪で潰した。