札幌市交通局8500形電車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
札幌市交通局8500形電車
8501号(電車事業所前、1986年10月撮影)
基本情報
運用者 札幌市交通局
製造所 川崎重工
製造年 1985年
製造数 2両
廃車 8501号(R5.8)
主要諸元
車両定員 100 (34) 人
自重 18t
全長 13,000mm
全幅 2,230mm
全高 3,810mm
台車 川崎重工KW-57
駆動方式 平行カルダン式(WNドライブ)
定格出力 60.0kW×2
制御装置 三菱電機製 VVVFインバータ
RCT(SIV-V324-M)
→ IGBT(MAP-062-60VD241)
テンプレートを表示

札幌市交通局8500形電車(さっぽろしこうつうきょく8500がたでんしゃ)は、札幌市交通局1985年に導入した札幌市電路面電車車両である。

概要[編集]

1985年(昭和60年)、700形置き換えのため20年ぶりの新製車として登場、同5月13日から運行を開始した。路面電車での実用例としては熊本市電8200形に次いで2番目となるVVVFインバータ制御、誘導モーターを採用した。駆動方式は札幌市電初のカルダン式となり、回生ブレーキ、シェブロン台車なども採用した。接客設備では、ステップの3段化、ラインデリア、前面大型方向幕、側面方向幕などが新たに採用された。前扉はA810形以来の折戸となった。塗色はクリーム地にグリーン濃淡の帯とした。702号・703号が代替で廃車となっている。

積雪地である札幌の事情を鑑み、1980年代に全国各地に登場した軽快電車と異なり、機械的ブレーキにはディスクブレーキではなく踏面ブレーキを、ブレーキシューには炭素配合の特殊鋳鉄制輪子を、またマスコン(主幹制御器)も縦軸ツインレバー式のツーハンドルを採用している。また、降雪時には弱いブレーキをかけながら力行しなければならない場合が生じることから、当初の制動優先の仕様から、のちに力行優先に改められている。

2012年には、RCTサイリスタインバータが老朽化したことから、IGBTーVVVFインバータに更新した。

8500形の経緯
製造 VVVF更新 方向幕更新 車体改修 廃車
8501号 1985年 2012年 2014年~2015年 2023年
8502号 1985年 2012年 2014年~2015年 2021年~2022年

製造[編集]

1985年3月に8501号・8502号が川崎重工で製造された。

改造[編集]

方面幕更新
2014年(平成26年)度から前面・側面の方向幕を幕式からLED表示に切り替える更新が始まり、翌年には全車両にて更新が完了した。2015年(平成27年)度の路線環状化に合わせたものと思われる[1]

車体改修

新型車両へ更新するまで使用する既存車両のうち、未改修で劣化の進んでいる当形式について延命改修を行う計画があり[2]、2021年(令和3年)度に8502号の改修が行われ、2022年3月に完了した。配管などの更新、前照灯や尾灯のLED化、降車ボタンや車内表示器の更新などが実施された。[3]。一方8501号は改修されることなく、2023年(令和5年)に廃車された[4]

全面広告車両[編集]

8502号

かつては8501号が2008年(平成20年)1月頃までセデスの、2010年(平成22年)頃までビッグ、8502号が2021年(令和3年)冬頃までロッテガーナミルクチョコレートの全面広告車だった。

2022年(令和4年)4月時点では、2両ともCIカラー(STカラー)の標準塗装になっていた。

2023年(令和5年)9月1日より8502号が、同年7月に開業した商業施設「moyuk SAPPORO」の運営事務所とタイアップしたラッピング電車となった[5]

廃車[編集]

8501号 - 2023年(令和5年)8月に廃車された[4][6]

8501号の廃車により、8500形は8502号のみとなった。

脚注[編集]

  1. ^ 札幌市電で行先表示器のLED化進む”. 鉄道ファン・railf.jp. 2018年8月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年7月18日閲覧。
  2. ^ 平年度3年間(平成29〜31年度)の主な設備投資の内容” (PDF). 国土交通省. p. 10. 2021年7月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年7月18日閲覧。
  3. ^ 令和3年度 8500形車体艤装改修業務 仕様書” (PDF). 札幌市. 2021年7月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年7月18日閲覧。
  4. ^ a b 路面電車8500形車両 運搬・解体・分別業務 業務委託仕様書” (PDF). 札幌市交通局 (2023年6月30日). 2023年6月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年9月2日閲覧。
  5. ^ (一財)札幌市交通事業振興公社、㈱ユニホーとのパートナー契約締結のお知らせ” (PDF). (一財)札幌市交通事業振興公社 (2023年8月28日). 2023年9月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年9月2日閲覧。
  6. ^ 近年の札幌市電の車両は50年以上運用される車両も多い中、短命な車両であった。