新明解日本語アクセント辞典

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
新明解日本語アクセント辞典第二版
編集者 秋永一枝
発行日 2014年(平成26年)4月10日
発行元 三省堂
ジャンル 言語[1]
日本国
言語 日本語
ページ数 1,152[2]
前作 新明解日本語アクセント辞典(初版)
公式サイト https://dictionary.sanseido-publ.co.jp/dict/ssd13672
コード ISBN 978-4-385-13672-1
全国書誌番号:22387225
NCID BB15220453
OCLC 874517214
[ ウィキデータ項目を編集 ]
テンプレートを表示

新明解日本語アクセント辞典』(しんめいかいにほんごアクセントじてん)は、日本の出版社である三省堂が発行する小型アクセント辞典である。本項では前身の『明解日本語アクセント辞典』のついても記す。

発行[編集]

日本放送協会(NHK)が1943年(昭和18年)に刊行した『日本語アクセント辞典』は、放送員が標準語[注 1]を朗読する際に参考にする手引書で、語彙の数は少なく、固有名詞の条を欠き、また助詞・助動詞の類や動詞の変化の類にはほとんど触れていなかったため、初心者が東京弁[注 2]を学ぶには十分ではなかった[5]

戦後に、標準語から共通語が分離すると[注 3]、東京弁との乖離はさらに大きくなり、東京弁アクセントの一般法則が知れる汎用な辞典出版への要望が大きくなっていった[7]

編輯は、『明解国語辞典』で標準アクセント表記を担当した金田一春彦[8]の監修で三省堂編修所によって行われたが、実は同所員の秋永一枝が一人で執筆した[5]

個々の専門語については、芥川也寸志安倍季巌安藤更生飯島小平飯島正池田理英石川光春伊藤康安岩本堅一緒方規雄小沼丹加藤光次郎加藤誠平神尾明正川合幸晴岸野知雄倉橋健後藤真斎藤直芳佐口卓鈴木孝夫関根吉郎高木純一高島春雄高山英華滝口宏辻光之助坪井誠太郎戸塚文子中能島欣一中村芝鶴、中村吉三郎、中村守純仁戸田六三郎野口弥吉野村保野村万蔵林健太郎檜山義夫古川晴男古川晴風宝生弥一宮川曼魚武者金吉山辺知行山村宗謙亘理俊次及び渡辺辰之助の諸氏が協力した[5]

明解日本語アクセント辞典[編集]

(初版)
  • 『明解日本語アクセント辞典』金田一春彦(500円)、三省堂、東京、1958年6月25日。 NCID BN0555847X全国書誌番号:58009424 
  • 『明解日本語アクセント辞典』金田一春彦、大新書局、台北。 

改訂[編集]

明解日本語アクセント辞典[編集]

第二版
初版から20余年が経ち、日常の語彙も出入りしたため、採録語彙を約64,000語に増やした[7][9]。アクセントそのものの変化もあり、あえて新旧のアクセントを併記し、特別の用途にも応えた[7]
  • 『明解日本語アクセント辞典』金田一春彦(2,500円)、三省堂、東京、1981年4月20日。 NCID BN00806982全国書誌番号:81024623 
  • 『明解日本語アクセント辞典』金田一春彦、大新書局、台北。OCLC 818668660 
  • 『明解日本語アクセント辞典』金田一春彦(2,500円)、三省堂、東京、1981年4月20日。ISBN 4-385-13454-5OCLC 972019970 
  • 李凡 訳(中国語)『日语音调学习规则一百条』(2.00元)上海译文出版社、上海、1988年5月。ISBN 7-53270355-XNCID BA61171259OCLC 299065058 [注 4]
  • 『明解日本語アクセント辞典』金田一春彦(税抜2,718円)、三省堂、東京、1981年4月20日。ISBN 4-385-13456-1 
  • 『明解日本語アクセント辞典』金田一春彦(税抜3,107円)、三省堂、東京、1981年4月20日。ISBN 4-385-13457-XOCLC 1002228308 

新明解日本語アクセント辞典[編集]

(初版)
『明解日本語アクセント辞典』の三訂版にあたるが、書名を『新明解日本語アクセント辞典』と改め、収録語数も約75,000語に増補した[11]。また、高年層の使用する古めかしいアクセントも《古は》《もとは》と併記された[11]。2010年(平成22年)からは、「アクセント習得法則」から代表例を抜き出し、実際の音声を付けたコンパクト・ディスク2枚と解説小冊子が付属する「CD付き」が追販された[12]
第二版
収録語数を約76,600語に増補するとともに、判型を大きくし、紙面を見易くした[2]

脚註[編集]

註釈[編集]

  1. ^ 標準語とは、文部省が1904年(明治37年)に発表した尋常小学読本編纂趣意書で定義されたもので、「東京の中流社会」で用いられる言葉とされ、東京の訛音は採用されなかった[3]
  2. ^ 東京弁とは東京の訛音で、秋永一枝は特に旧東京15区内で用いられているものとしていた[4]
  3. ^ 共通語とは、1948年(昭和23年)に設置された国立国語研究所の岩淵悦太郎研究部長(当時)が区別したもので、「全国どこでも通ずるような言葉」とされた[6]
  4. ^ 『日语音调学习规则一百条』は、『明解日本語アクセント辞典』第二版の附録部分のみ訳出し出版したもの[10]

出典[編集]

  1. ^ 明解日本語アクセント辞典 (三省堂): 1958”. 書誌詳細. 国立国会図書館サーチ. 国立国会図書館. 2021年12月4日閲覧。
  2. ^ a b c 新明解日本語アクセント辞典 第2版 CD付き[国語辞典-国語その他-]”. 三省堂WORD-WISE WEB -辞書ウェブ編集部によることばの壺-. 三省堂. 2021年12月4日閲覧。
  3. ^ 上田崇仁「「日語読本」に関する一考察」『アジア社会文化研究』第1号、広島大学大学院国際協力研究科、広島、2000年3月31日、37-53頁、doi:10.15027/23285ISSN 1346-1567 
  4. ^ 相澤正夫「秋永一枝著『東京弁アクセントの変容』考察」(PDF)『国語学』第52巻第3号、国語学会、東京、2001年9月1日、45-51頁、ISSN 0491-3337全国書誌番号:000082942021年12月4日閲覧 
  5. ^ a b c 三省堂編修所 1958, pp. 1–3.
  6. ^ 【講演】私のとらえたい東京語」『首都圏の言語の実態と動向に関する研究成果報告書 首都圏言語研究の視野』(PDF)国立国語研究所、東京〈国立国語研究所共同研究報告13-2〉。ISBN 978-4-906055-32-6NCID BB15062851全国書誌番号:22436655https://mmsrv.ninjal.ac.jp/shutoken_atlas/results/5-2_1302_04.pdf2021年12月4日閲覧 
  7. ^ a b c 秋永一枝 1997, pp. 1–4.
  8. ^ 塩田雄大「アクセント辞典の誕生」(PDF)『NHK放送文化研究所年報』第52号、日本放送出版協会、東京、2008年、173-200頁、全国書誌番号:010055602021年12月4日閲覧 
  9. ^ 明解日本語アクセント辞典第二版”. 三省堂. 1999年2月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年12月4日閲覧。
  10. ^ 日語音調學習規則一百条 (上海譯文出版社): 1988”. 書誌詳細. 国立国会図書館サーチ. 国立国会図書館. 2021年12月4日閲覧。
  11. ^ a b 「新明解日本語アクセント辞典」について”. 三省堂 Web Dictionary. 三省堂. 2007年9月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年12月4日閲覧。
  12. ^ a b 新明解日本語アクセント辞典”. Sanseido Word-Wise Web [三省堂辞書サイト]. 三省堂. 2010年9月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年12月4日閲覧。
  13. ^ 新明解日本語アクセント辞典”. 三省堂 (2001年). 2001年3月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年12月4日閲覧。
  14. ^ 大新出版集團::新明解日本語アクセント辞典” (中国語). 大新書局. 2021年12月4日閲覧。

参考文献[編集]