女のいない男たち (小説)

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女のいない男たち」(おんなのいないおとこたち)は、村上春樹短編小説

概要[編集]

初出 書き下ろし
収録書籍 女のいない男たち』(文藝春秋、2014年4月)

短編小説集『女のいない男たち』に収められた小説の中で唯一の書き下ろし作品である。その他の短編5編のうち4編は、本作品のタイトルと同じ「女のいない男たち」という副題付きで『文藝春秋』に掲載された(2013年12月号から2014年3月号まで)。

同短編集のまえがきで村上は本作品について、「ほとんど即興的に淀みなく書き上げてしまった」と書いている[1]

あらすじ[編集]

夜中の一時過ぎに電話がかかってくる。男の低い声が僕に知らせを伝える。妻は先週の水曜日に自殺をしました。なにはともあれお知らせしておかなくてはと思って、と彼は言った。なぜ彼が「僕」のことを知っていたのか、それはわからない。彼女が「僕」の名前を「昔の恋人」として夫に教えたのだろうか? 「僕」は彼女がどこに住んでいるかを知らなかったし、結婚していたことすら知らなかった。

そのようにして、彼女はこれまで「僕」がつきあった女性たちの中で、自死の道を選んだ三人目となった。「僕」は実を言うと、エムのことを(仮にエムと呼ぶことにする)、十四歳のときに出会った女性だと考えている。実際にはそうじゃないのだけれど、そのように仮定したい。たしか「生物」の授業で彼女は隣に座っていた。「消しゴムを忘れたんだけど、余分があったら貸してくれないか」と言うと、彼女は自分の消しゴムを二つに割って、ひとつを「僕」にくれた。そして「僕」は文字通り一瞬にして彼女と恋に落ちた。

エムの死を知らされたとき、「僕」は自分を世界で二番目に孤独な男と感じることになる。散歩の途中、一角獣の像の前に腰を下ろし、世界でいちばん孤独な男である彼女の夫のことを考える。

エムについて今でもいちばんよく覚えているのは、彼女が「エレベーター音楽」を愛していたことだ。僕らはあちこちをあてもなくドライブし、そのあいだ彼女はフランシス・レイの『白い恋人たち』にあわせて静かに唇を動かしていた。淡く口紅を塗った素敵な、セクシーな唇を。

脚注[編集]

  1. ^ 『女のいない男たち』単行本、10頁。

関連項目[編集]