四季帳

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四季帳(しきちょう)とは、古代律令制の下で作成された公文書の一つ。調庸の徴収に関連するものである。

概要[編集]

1年の途中で、課役を負担する身分から負担の必要のない身分(僧侶など)に変わったり、その逆の場合、賦役令では変更が生じた季節により、課役の全部あるいは一部を免除・徴収することになっていた。その処理のための、変更の生じた人名を季節毎に列記した帳簿と推定されている。

辛酉、大計帳、四季帳、六年見丁帳青苗簿輸租帳等の式を以て、七道の諸国に頒ち下す[1]

とあるのが、史料における初見である。

賦役令12条「春季条」によると、春季に本国帳に附けたならば、課役はいずれも徴収すること。夏季に附けたならば、課を免除し、役は従事させること。秋季以後に附けたならば、課・役ともに免除すること」とあり、同条に関する『令集解』「古記」に引用されている主計寮常例行事によると、「春季入色、課役俱に免ず。(中略)夏季入色、課を徴し、役を免ず。秋季入色、俱に課役を免ぜず」となっており、戸令20条の『令集解』「令釈一云」によると、「式、四季帳有りて、課役幷せて侍人出入りし、皆、季帳に拠り」とある式は、四季帳式の一部であった可能性がある。

天平6年度(735年出雲国計会帳には、十月廿一日進上公文として、「四季帳四巻」の名が現れている。

脚注[編集]

  1. ^ 『続日本紀』巻第七、元正天皇 養老元年4月22日条

参考文献[編集]