令集解
表示
『令集解』(りょうのしゅうげ)は養老令の注釈書[1]で、貞観10年(868年)以前に編纂された[2]。全50巻といわれるが、35巻が現存。
惟宗直本という明法家・学者による私撰の注釈書であり、『令義解』と違って法的な効力は持たない。
まず令本文を大字で掲げ、次に小字(二行割注)で義解以下の諸説を記す。概ね、義解・令釈・跡記・穴記・古記の順に記す。他に、讃記・額記・朱記など、多くの今はなき令私記が引かれる。特に古記は大宝令の注釈であり、大宝令の復元に貴重である。ただし、倉庫令・医疾令は欠如している。他にも、散逸した日本律、『律集解』、唐令をはじめとする様々な中国令、及び令の注釈書、あるいは中国の格(中にはトルファン出土文書と一致するものもある)や式、その他の様々な法制書・政書及び史書・経書・緯書・字書・辞書・類書・雑書、また日本の格や式、例などの施行細則等々が引用されている。
現存35巻のうち、官位令・考課令第三・公式令第五の3巻は本来の『令集解』ではなく、欠巻を補うために、後に入れられた令私記である。
刊行本
[編集]- 『国史大系12. 令義解 類聚三代格 類聚符宣抄 続左丞抄』 NDLJP:991102 経済雑誌社
- 『新訂増補国史大系 23.令集解 上』 NDLJP:3431636吉川弘文館
- 『新訂増補国史大系 24.令集解 下』 吉川弘文館
- 三浦周行・滝川政次郎 校註『定本令集解釈義』内外書籍、1931年 。
脚注・参考文献
[編集]脚注
[編集]- ^ 『定本令集解釈義 「令集解 解題」』1931年、1頁 。
- ^ 『定本令集解釈義 「令集解 解題」』1931年、6頁 。
参考文献
[編集]- 斎川眞 (1988). “律令注釈書研究の現状と問題点”. 早法 63巻 (2号) .
- 井上光貞『わたくしの古代史学』文藝春秋、1982年。ASIN B000J7L14I。
- 井上光貞『井上光貞 わたくしの古代史学』日本図書センター、2004年。ISBN 9784820597360。
- 吉村武彦. “井上光貞の業績と『令集解』研究”. 明治大学古代史研究所 研究成果(2)日本古代学研究の実践. 2024年6月7日閲覧。
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- 明治大学 日本古代学研究所. “『令集解』データベース”. www.isc.meiji.ac.jp. 2024年6月6日閲覧。