分収林

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分収林(ぶんしゅうりん)とは、森林所有者、造林・保育を行う者、費用負担者の3者またはいずれか2者で分収林契約を結び、造林・保育したのち伐採して、その収益を分け合う森林である。分収造林と分収育林がある。

分収造林[編集]

造林地所有者、造林を行う者、費用負担者の3者またはいずれか2者で分収造林契約を結び、その収益を分け合う森林である。

国有林野事業においては、国以外の者が造林し、その収益を国及び造林者で分け合う森林である。

分収育林[編集]

生育途上の若い森林について、育林地所有者、育林を行う者、費用負担者の3者またはいずれか2者で分収育林契約を結び、その収益を分け合う森林である。

国有林野事業においては、生育途上の若い森林について国以外の者が育林費の一部を負担し、その収益を国及び費用負担者で分け合う森林である。費用負担者は「緑のオーナー」と呼ばれる。国有林野事業における分収育林の一般公募は1984年から開始されたが、1999年に休止している。

「緑のオーナー」を巡る訴訟[編集]

『緑のオーナー』制度を巡って、出資者が林野庁に対し訴訟を起こすケースが相次いでいる。

  • 2009年6月5日に、『緑のオーナー』制度の日本全国の出資者75人が、林野庁を相手取り、元本割れによって損害を受けたとして、約3億8,800万円の損害賠償を求め、大阪地裁に集団訴訟を起こした。この制度で、全国で約8万6,000人が総額500億円以上を出資しているが、多くは元本割れしているといい、原告団は、国は元本割れの可能性は予見できたはずなのに、説明が無かったとしている。2014年10月9日、大阪地裁はパンフレットに元本保証がないと記載されるようになった1993年7月以前の契約については元本割れの可能性を説明していないとして国の説明義務違反を認定し、国に対して出資者84人へ計約9100万円を支払うよう命じた[1][2][3]
  • 前述の訴訟とは別に、『緑のオーナー』出資者3人が「林野庁は伐採した木を契約満了までに売る約束をしていたのにもかかわらず、売れなかったのは契約不履行に当たる」として、出資金150万円を返還するよう求め同地裁に訴訟を起こした[4]

社寺保管林[編集]

江戸時代に社寺が所有していた寺社領の森林は、明治時代初頭の上知令によって国有地化された。これら森林の中で林業経営を主眼としていた森林は、引き続き寺社が管理を行うことで分収林化したものがあり、これらを社寺保管林(しゃじほかんりん)と呼ぶ。社寺側の分収歩合は、社寺側が植栽した森林で8/10、国が植林した森林で3/10、在来からの立ち木は2/3となっていた。社寺保管林を有していた寺社数は約300、面積は約2万6000haに達した。神社では霧島神宮、寺院では高野山が代表的な社寺保管林を有していた。これらは第二次世界大戦後、政教分離の原則により宗教団体国有財産の使用が禁止されたことから清算された[5]

脚注[編集]

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  1. ^ 林野庁「緑のオーナー」で損害受けた…出資者75人集団提訴 読売新聞 2009年6月5日
  2. ^ 緑のオーナー制度で国賠提訴 大阪地裁 産経新聞 2009年6月5日
  3. ^ 林野庁「緑のオーナー」昨年度対象の8割売れず読売新聞2010年8月30日夕刊3版15面
  4. ^ 緑のオーナー 出資者が国を提訴 150万円返還請求 毎日新聞 2017年4月22日
  5. ^ 島田錦蔵「しゃじほかんりん 社寺保管林」『新版 林業百科事典』第2版第5刷 p349

関連項目[編集]