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中間径フィラメント

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
上皮細胞共焦点レーザー顕微鏡画像。赤く染まっているのが、中間径フィラメントの一つケラチンフィラメント
中間径フィラメントの構造。上から単量体二量体四量体

中間径フィラメント(ちゅうかんけいフィラメント、: intermediate filament)は、細胞骨格を構成するフィラメントの一つであり、アクチンフィラメントとミオシンフィラメントの中間の太さ(約10nm)であることからこの名がついた。引っ張りに強く細胞に構造強度を与える。デスモソームを介して他の細胞との結合を形成し、組織強度を高めている。ほかに核膜の補強としてを囲む糞状の構造(核ラミナ)をなしている。細胞骨格の3つのフィラメントの中で最も丈夫で溶けにくい繊維である。[1]

中間径フィラメントには、ケラチンフィラメントニューロフィラメントデスミンビメンチン、神経膠細線維性酸性蛋白質(GFAP)などがあり、細胞の種類によって、どの中間径フィラメントを持つかが決まっている(=細胞特異性がある)。また中間径フィラメントは以下のように分類されている。

  • TypeⅠ:酸性ケラチン
  • TypeⅡ:塩基性ケラチン
  • TypeⅢ:ビメンチン、デスミン、GFAP、ベリフェリン
  • TypeⅣ:ニューロフィラメント
  • TypeⅤ:ラミン
  • TypeⅥ:ネスチン

中間径フィラメントの構造

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中間径フィラメントを構成するタンパク質に共通して見られるのは、N末端C末端の球状構造と、分子の中央部分に見られるより合わせコイル構造をもつことである。球状構造は他のタンパク質との相互作用による。より合わせコイルは2つのタンパク質が結合し、これが一つの単位となって逆平行の四量体が形成される。更にこの四量体が会合してフィラメントを形成している。

医学領域

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医学領域では、比較的高分化腫瘍が、由来となった組織の中間径フィラメントの細胞特異性を失わないことを利用して、病理診断の際に組織型を鑑別するための、酵素抗体法免疫染色マーカーとして用いられる。しかし、極めて低分化な悪性腫瘍になると、中間径フィラメントにも変異を生じていることがあり、必ずしも上手くいくわけではない。具体的には悪性上皮性腫瘍である癌腫は一般にはケラチンを発現し、一方間葉系のマーカーであるビメンチンは発現しない傾向があるが、癌腫の分化度が低くなるにつれて、ケラチンの発現は弱くなり、ビメンチンの発現が起こるようになる。また、非上皮性腫瘍であっても、一般に上皮性マーカーと呼ばれているケラチンなどが発現することもあり、診断を行う際には複数のマーカーをあわせて診断する必要がある。

脚注

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  1. ^ Essential細胞生物学 原著第3版 P.572-577. 南江堂 

外部リンク

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