ローマ人の物語

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索

ローマ人の物語』(ローマじんのものがたり)は、イタリア在住の作家塩野七生による、古代ローマ全史を描いた歴史小説。ハードカバー単行本が全15巻で刊行され、文庫本では43巻に分冊されている。ラテン語での表題は"RES GESTAE POPULI ROMANI"(「ローマの人々の諸行」)としている。

1992年以降、年に1冊ずつ新潮社から刊行され、2006年12月刊行の15作目で完結した[1]。2002年から新潮文庫で文庫化もされ、全43冊が発行されている[2]。「なぜローマは普遍帝国を実現できたのか」という視点のもと、ローマ建国から西ローマ帝国の滅亡までを描いている[1]

発行部数は完結前の2006年時点で、既刊の単行本14巻の累計発行部数は約220万部、文庫28冊は約540万部と報道された[1]

評価[編集]

2011年に人事院が作成した「若手行政官への推薦図書」においては、「歴史・伝記」に属するものとして本作が推薦されている[3]

一方で、『ローマ人の物語』が歴史小説ではなく歴史書として読まれる傾向があることに複数の歴史学者が懸念を示している。ローマ帝国の社会経済史を専門とする坂口明は、塩野の著作が小説であるにもかかわらず、書店や図書館などにおいて歴史書として配置されていること、また学生や市民講座の受講者によって歴史書として受容されていることを指摘した[4]。坂口は、『ローマ人の物語』の14巻までを通読したうえで、根拠のない断定や誤謬があることを指摘する[4]本村凌二も、本作の叙述について、史料がないにもかかわらず「何をもってそう描けるのか」という疑問があると述べている[5]

小田中直樹は、南川高志の新書『ローマ五賢帝 「輝ける世紀」の虚像と実像』(講談社現代新書 1998年)と『ローマ人の物語』の比較を行っている[6]。小田中によれば、『ローマ人の物語』は、史料批判や先行研究の整理が不十分であり、歴史学の方法論に基づいていない。そのため、叙述の根拠が著者の感想にとどまっているため、歴史書ではなく歴史小説であるという点に留意する必要があるという。

また、叙述に考古学的成果がほとんど用いられていない点も問題視されている。[要出典]

受賞[編集]

  • 『ローマ人の物語I ローマは一日にして成らず』は、第6回新潮学芸賞を受賞した(1993年)。
  • 『すべての道はローマに通ず ローマ人の物語X』は、社団法人土木学会より平成13年度土木学会賞のうちから「出版文化賞」を受賞した(2001年)。
  • 『ローマ世界の終焉 ローマ人の物語XV』の刊行によりシリーズ完結に際し、『ローマ人の物語』(全巻)に第41回書店新風賞を受賞した(2006年)。

関連書籍[編集]

  • 『ローマ亡き後の地中海世界』(上下巻)
  • 十字軍物語』(全4巻)
  • 『塩野七生「ローマ人の物語」の旅 コンプリート・ガイドブック』(1999年)
  • 『塩野七生「ローマ人の物語」スペシャル・ガイドブック』(2007年/文庫、2011年)
  • 『痛快!ローマ学』(集英社、2002年/改題『ローマから日本が見える』2005年/集英社文庫、2008年)

出典[編集]

  1. ^ a b c 桑原聡 (2006年9月3日). “塩野七生さん「ローマ人の物語」完結 15年かけ”. 産経新聞ENAK (東京夕刊). 2007年12月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年9月3日閲覧。
  2. ^ ローマ人の物語 新潮文庫版”. 新潮社. 2016年8月9日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2017年6月4日閲覧。
  3. ^ 若手行政官への推薦図書”. 人事院 (2011年4月). 2011年10月18日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2017年6月4日閲覧。
  4. ^ a b 坂口明「回顧と展望 ローマ」『史学雑誌』第115編第5号、2006年5月、p.318。
  5. ^ 本村凌二「ローマ 回顧と展望」『史学雑誌』第115編第5号、2008年、p.314。
  6. ^ 小田中直樹『歴史学ってなんだ?』PHP研究所、2004年[要ページ番号]