塩野七生

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索
塩野七生
誕生 1937年7月7日(79歳)
日本の旗 日本東京府東京市滝野川区
職業 歴史作家
国籍 日本の旗 日本
最終学歴 学習院大学
活動期間 1969年 -
代表作 ローマ人の物語
子供 アントニオ・シモーネ
テンプレートを表示

塩野 七生(しおの ななみ、女性、1937年7月7日 - )は、日本の歴史作家 (プロの学術研究者ではなく「小説家」)である。名前の「七生」は、7月7日生まれであることに由来。

来歴・人物[編集]

東京市滝野川区(現・東京都北区)生まれ。東京都立日比谷高等学校学習院大学文学部哲学科卒業。日比谷高校時代は庄司薫古井由吉らが同級生だった。1963年からイタリアで学び、1968年に帰国すると執筆を開始。『中央公論』掲載の「ルネサンスの女たち」でデビュー。担当編集者は塙嘉彦であった[1]

1970年には『チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷』で毎日出版文化賞を受賞。同年から再びイタリアへ移り住む。ローマ名誉市民を経てイタリア永住権を得ており、ローマに在住。

イタリア中心に、古代から近世に至る歴史小説を多数執筆。またエッセイや時事批評、1970年代ユーロコミュニズムで支持者を増やしていたイタリア共産党に関する文章も書いている[2]ローマ帝国前期の「小さな政府」を理想としており、直接的に小泉構造改革を支持していたと思われる叙述が見られる[3]1992年から古代ローマを描く『ローマ人の物語』を年一冊のペースで執筆し、2006年に『第15巻 ローマ世界の終焉』にて完結した(文庫版も2011年9月に刊行完結)。『文藝春秋』で巻頭エッセイ「日本人へ」を執筆。

評価[編集]

一連の著作を通して、日本において古代ローマ史やイタリア史に対する関心を高めたことは高く評価されている。

一方で、塩野の著作が小説ではなく歴史書として受容される傾向が強いことはしばしば問題視されている。坂口明は、『ローマ人の物語』が書店や図書館などにおいて歴史書として配置されていること、また学生や市民講座の受講者によって歴史書として読まれていることを指摘した。坂口は『ローマ人の物語』について、根拠のない断定や重大な誤りがあることを指摘し、批判的な検証が必要であるとした[4]

小田中直樹は、南川高志の著作[5]と『ローマ人の物語』の比較を通して、塩野の著作を歴史書として扱うことに問題があることを示した[6]。小田中は、『ローマ人の物語』は、史料批判や先行研究の整理が不十分であり、歴史学の方法論に基づいていないことを指摘する。そのため、叙述の根拠が著者の感想にとどまっているため、歴史書ではなく歴史小説として読むべきだと小田中は述べている。また、叙述に考古学的成果がほとんど用いられていない点も問題視されている。

家族[編集]

父親は詩人・小学校教師の塩野筍三(1905-84)で、神田神保町の古本屋から軒並み借金をするほどの読書好きであった。フィレンツェ大学医学部に勤務していたイタリア人医師と結婚(後に離婚)。息子アントニオ・シモーネとは共著がある。

著作[編集]

小説・歴史[編集]

イタリア関連[編集]

  • 『イタリアだより 君知るや南の国』(1975年 文藝春秋
  • 『イタリア共産党讃歌』(1976年 文藝春秋)
  • 『イタリアからの手紙』(1981年・改版2003年 新潮社/1996年・改版2006年 新潮文庫)
  • 『イタリア遺聞』(1982年 新潮社/1994年・改版2009年 新潮文庫)
  • 『マキアヴェッリ語録』(1988年・改版2003年 新潮社/1992年・改版2009年 新潮文庫)
  • 『ルネサンスとは何であったのか』(2001年 「塩野七生ルネサンス著作集 第1巻」 新潮社/2008年 新潮文庫)
  • 『ローマの街角から』(2000年 新潮社)
  • 『ローマ人への20の質問』(2000年 文春新書
  • 『痛快!ローマ学』(2002年 集英社インターナショナル)
    • 改題 『ローマから日本が見える』(2005年 集英社/2008年 集英社文庫

随筆 その他[編集]

  • 『サイレント・マイノリティ』(1985年 新潮社/1993年・改版2009年 新潮文庫)
  • 『男の肖像』(1986年 文藝春秋/1992年 文春文庫
  • 『男たちへ フツウの男をフツウでない男にするための54章』(1989年 文藝春秋/1993年 文春文庫)
  • 『再び男たちへ フツウであることに満足できなくなった男のための63章』(1991年 文藝春秋/1994年 文春文庫)
  • 『人びとのかたち』(1995年 新潮社/1997年・改版2006年 新潮文庫)。映画エッセイ集
  • 『日本人へ-リーダー篇』(2010年 文春新書
  • 『日本人へ-国家と歴史篇』(2010年 文春新書)
  • 『生き方の演習 若者たちへ』(2010年 朝日出版社)
  • 『想いの軌跡 1975-2012』(2012年 新潮社)。エッセイ集成
  • 『日本人へ-危機からの脱出篇』(2013年 文春新書)

共著[編集]

  • 『ローマとその世界帝国 新潮古代美術館 5』(新潮社、1980年)。解説を寄稿
  • 『信長 「天下一統」の前に「悪」などなし』(第10章執筆/1991年 プレジデント社/2007年 プレジデント・クラシックス)
  • 『おとな二人の午後 異邦人対談』(五木寛之との対談/2000年 世界文化社/2003年 角川文庫
  • 『ローマで語る』(子息アントニオ・シモーネとの対談/2009年 集英社インターナショナル/集英社文庫 2015年)
  • 『ヴァチカン物語 とんぼの本』(石鍋真澄・藤崎衛 共著/2011年 新潮社)、ヴィジュアル本
  • 『ヴェネツィア物語 とんぼの本』(宮下規久朗 共著/2012年 新潮社)、同上

絵本[編集]

  • 『漁夫マルコの見た夢』(1979年 TBSブリタニカ/2007年 ポプラ社/絵 水田秀穂)
  • 『コンスタンティノープルの渡し守』(1980年 TBSブリタニカ/2008年 ポプラ社/絵 司修

受賞[編集]

舞台化[編集]

  • 『緋色のヴェネツィア 聖マルコ殺人事件』と『チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷』が、宝塚歌劇団によって舞台化された。別項も参照。
  • 「カエサル -『ローマ人の物語』より-」。栗山民也演出、松本幸四郎主演で、2010年10月に日生劇場で舞台上演された。
原作は『ユリウス・カエサル ルビコン以前 ローマ人の物語IV』、『同 ルビコン以後 ローマ人の物語V』。

メディア出演[編集]

  • 徹子の部屋」(1997年 テレビ朝日)
  • ビートたけし・塩野七生のイタリア三つの都の物語」 (2001年11月3日、TBS)。創立50周年記念番組
  • 「塩野七生×向井理 魅惑のイタリア大紀行」(2014年6月8日(前編)・6月15日(後編)、BS-TBS)

脚注[編集]

  1. ^ 『男たちへ』文春文庫、pp.45-49
  2. ^ 「イタリア共産党賛歌」1976年 文藝春秋社刊
  3. ^ 『日本人へ リーダー篇』(2010年 文春新書) 190 - 195ページ「拝啓 小泉純一郎様」より
  4. ^ 坂口明「ローマ 回顧と展望」史学雑誌』第115編第5号、2006年
  5. ^ 『ローマ五賢帝 「輝ける世紀」の虚像と実像』講談社現代新書 1998年。
  6. ^ 小田中直樹『歴史学ってなんだ?』PHP研究所、2004年

関連項目[編集]