ロブ・ロイ (ベルリオーズ)

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ベルリオーズ

序曲ロブ・ロイ』(イタリア語: Intrata di Rob Roy Macgregor)作品3(H.54)は、フランスの作曲家エクトル・ベルリオーズ1832年ローマで作曲した管弦楽曲である。なお、オリジナルの表題は「イントラータ・ディ・ロブ・ロイ・マグレゴール」とイタリア語で書かれている[1]。本作は演奏会用序曲であり、オペラ自体は存在しない。

作曲の経緯・初演[編集]

ベルリオーズがウォルター・スコットの小説『ロブ・ロイ英語版』(1817年)に想を得て作曲したものだが、「マグレガー」の名前は1831年にパリの劇場で初演されたジョセフ・ムーア(Joseph Moore)の『2幕のエピソード、スコットランドの山人・マグレガー』に由来している。1833年4月14日パリ音楽院ホールにおいてフランソワ・アブネックの指揮によって行われた[2]。しかし、初演は不評のうちに終わった。また、アカデミー(学士院)からもかなり厳しい評価が下された[1]。ベルリオーズ自身も「これは長くて散漫な曲になった。-中略-聴衆には受け入れられなかった。会場から出るとその日のうちに焼却してしまった」と記述している[3]。しかし、彼の死後にこの作品の原稿が発見され、ブライトコプフ版の全集に加えられた。この曲の中の美しいコーラングレの独奏する旋律は、その翌1834年の『イタリアのハロルド』の主題として使われたのである[1]

曲の構成[編集]

3部構成

  • アレグロ・ノン・トロッポ
  • ラルゲット・エスプレシ-ヴォ・アッサイ
  • アレグロ・ノン・トロッポ[2]

編成[編集]

演奏時間[編集]

約13分。

参考文献[編集]

  • 『作曲家別名曲解説ライブラリー19 ベルリオーズ』音楽之友社ISBN 4276010594
  • 『回想録』〈1〉及び〈2〉ベルリオーズ (著) 、丹治恒次郎 (訳)、白水社 (ASIN: B000J7VJH2)及び(ASIN: B000J7TBOU)
  • 『ベルリオーズ』(大音楽家人と作品〈16〉)、久納慶一(著)、音楽之友社(ASIN:B000JA6DPW)
  • 『不滅の大作曲家 ベルリオーズ』シュザンヌ・ドゥマルケ英語版(著)、音楽之友社(ISBN 978-4276220560

脚注[編集]

  1. ^ a b c 『ベルリオーズ』(大音楽家人と作品〈16〉)P160
  2. ^ a b 『作曲家別名曲解説ライブラリー19 ベルリオーズ』P59
  3. ^ 『回想録』〈1〉P240

外部リンク[編集]