モノフルオロ酢酸

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
モノフルオロ酢酸
IUPAC名モノフルオロ酢酸
別名フルオロ酢酸
分子式C2H3FO2
分子量78.04
CAS登録番号144-49-0
形状無色の固体。針状の結晶。(20℃)
密度1.37  g/cm3,
融点35.2 °C
沸点165 °C
SMILESC(C(=O)O)(F)([H])[H]
出典国際化学物質安全性カード

モノフルオロ酢酸(モノフルオロさくさん)は化学式C2H3FO2化学物質で、カルボン酸の一種である。フルオロ酢酸(fluoroacetic acid)、gifblaar poison とも呼ばれる。

酢酸のメチル基を構成する水素の1つが、フッ素原子に置き換わったものである。

日本では毒物及び劇物取締法(毒劇法)により、特定毒物に指定される物質である。

毒性[編集]

フッ素の原子半径は小さいため、モノフルオロ酢酸は酢酸と間違えられて好気性代謝(酸素呼吸)の経路に取り込まれる。やがてフルオロクエン酸へと変換を受け、これが細胞の主たるエネルギー生産手段であるクエン酸回路を阻害、結果としてその生物を死に至らしめる[1]

この毒性は、上記代謝に依存する生物であれば動物、植物を問わない。

用途[編集]

モノフルオロ酢酸ナトリウム(別名:1080)が殺鼠剤に、モノフルオロ酢酸アミド殺虫剤に使われる。

いずれもモノフルオロ酢酸の単体と同様、上記の法律で特定毒物に指定されている。

所在[編集]

南半球を中心に、モノフルオロ酢酸塩(カリウム塩)を含む有毒植物が産する。別名の由来となった gifblaar (カイナンボク科、学名:Dichapetalum cymosum) は、南アフリカ等のアフリカ南部産の有毒植物である。この植物の周囲の土壌には上述の物質が含まれるため、他の植物は全く生育できず、土が剥き出しになるほどである。有機フッ素化合物が天然に存在する数少ない例の一つである。

脚注[編集]

関連する物質[編集]