ピンピンコロリ

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ピンピンコロリ地蔵
(長野県高森町、瑠璃寺境内)
ぴんころ地蔵
(長野県佐久市、薬師寺境内)

ピンピンコロリとは、健康寿命の長さを言い表した表現で、「病気に苦しむことなく、元気に長生きし、最後は寝付かずにコロリと死ぬこと、または、そのように死のう」という標語。略してPPKという[1]

対義語として、寝たきりで長く生きるという、ネンネンコロリNNK)がある[1]

概要[編集]

1980年長野県下伊那郡高森町で、北沢豊治が健康長寿体操を考案。1983年、日本体育学会に「ピンピンコロリ(PPK)運動について」と題し発表したのが始まり。長野県は男性の平均寿命が1位をキープしていることもあいまって、この運動の普及に力を入れている。2003年には県内でも有数の長寿を誇る佐久市に「ぴんころ地蔵」が建立されている。

2003年に第一生命経済研究所が日本全国の40~79歳までの男女792名を対象に行った調査によれば、64.6%が理想の死に方として「心筋梗塞などである日突然死ぬ」を選択しており、ピンピンコロリを理想とする人が多いことを伺わせる。突然死を選択した理由としては、「家族にあまり迷惑をかけたくないから」(85.9%)、「苦しみたくないから」(62.3%)、「寝たきりなら生きていても仕方ないから」(54.3%)が挙げられている[2]

批判[編集]

  • 医学者桜美林大学教授の鈴木隆雄は、PPKとは「謙虚さと遠慮による要介護状態の忌避ではないか」と指摘し、一方でPPKを唱えながらも一方では孤独死もまた強く忌避する傾向があるのは理に合わず、「高齢者が支援を忌避せざるを得ない社会」に問題があると提起している。また鈴木は、PPKと言ってもよい死亡例は全体の3%に過ぎないまれな事例であり、人間は死や老いを計画することはできないのだから、「宝くじに当たるようなPPKを望むのではなく、人生の晩年において自立した生活に向けて努力し、自分が納得した介護を受け容れ、障害をもったとしてもいかに幸福な人生と感じ、満足して死ぬことができるか」が重要であると述べている[3]
  • 医学者で大阪大学大学院教授の佐藤眞一は、「そういう人たち(いわゆるネンネンコロリ)になりたくないという潜在的な否定意識が、ピンピンコロリには感じられる」と述べ、「長寿になって、認知症や障害を持っても、よりよく生きてもらうことを考える。ケアの必要な人とも一緒の社会に生きていく覚悟がないと、長寿社会はよりよいものにならない」と、ピンピンコロリを批判している[4]
  • イラストレーターみうらじゅんは、「ピンコロは要するに突然死」であるとし、数日間危ない状態が続いた場合と違って、家族や親しい人が最期の別れの時間を作ったり、死に水を取ってやることも出来ないのだから、そうした場面に立ち会うことが出来なかった死なれる側の人間には悔いが残るだろう、ピンコロ希望者はそれが分かっているのだろうかと批判した[5]
  • 日本においては死因究明制度が非常に貧弱であり、死亡者の解剖率は2%に過ぎない。医師も法律や制度面には疎く、死因不明の患者が出た場合は、安易に警察に処理を丸投げしがちである。よって、医療の知識に乏しい警察が「死」を管理している状態であり、特に病院等にもかかっていなかった高齢者が突然死した場合、「犯罪の可能性が否定できない」ことから警察の介入を招く恐れがある。そこに、家族を突然失った人の心情に配慮するグリーフケアの視点は入り込まない[6]

脚注[編集]

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  1. ^ a b 年金獲得1億円!! 健康長寿と生涯現役 ~都市部高齢者の追跡研究から~”. 公益財団法人特別区協議会. 2017年11月25日閲覧。
  2. ^ 『死に対する意識と死の恐れ』”. 第一生命経済研究所. 2018年11月27日閲覧。
  3. ^ 鈴木隆雄 『超高齢社会の基礎知識』 講談社現代新書、2012年ISBN 978-4062881388
  4. ^ ピンピンコロリは長寿社会のためならず”. 東洋経済オンライン. 2018年11月25日閲覧。
  5. ^ みうらじゅん氏 理想的死に方“ピンピンコロリ”のウソ暴く”. NEWSポストセブン. 2018年11月25日閲覧。
  6. ^ ぴんぴんコロリで死ぬと警察に通報?  ~不思議の国 日本の現実~”. ハフポスト. 2018年11月25日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]