ビサボレン
ビサボレン Bisabolene | |
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α-Bisabolene
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β-Bisabolene
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β-Bisabolene
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γ-Bisabolene
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(α): (E)-1-Methyl-4-(6-methylhepta-2,5-dien-2-yl)cyclohex-1-ene | |
識別情報 | |
CAS登録番号 | 17627-44-0 (α), 495-61-4 (β), 495-62-5 (γ) |
ChemSpider | 4509521 (α) 8279897 (β) 2298446 (γ) |
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特性 | |
化学式 | C15H24 |
モル質量 | 204.35 g mol−1 |
外観 | やや粘性のある無色[1]または黄色の液体[2] |
匂い | スパイシー、バルサミック香 |
沸点 |
262℃[1] |
危険性 | |
引火点 | 122℃[1] |
半数致死量 LD50 | >5g/Kg(ラット、経口)[1] |
関連する物質 | |
関連する異性体 | C15H24 |
関連物質 | ビサボロール |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
ビサボレン(英: Bisabolenes)はセスキテルペンの一種で、天然にはレモン、ライム、ベルガモット、クスノキ、スターアニス、カルダモン、サンダルウッドなどの精油中に広く存在する[1]。ビサボレンの誘導体の中には、ミバエやカメムシなど昆虫のフェロモンとして作用するものがある[3][4]。生物学的な役割は未解明であるが、いくつかの真菌が本物質を産出することが確認されている[5]。
異性体
[編集]α体、β体、γ体の異性体が知られており、α体には(Z)-体と(E)-体の立体異性体がある。α体とβ体には光学異性体があるが、精査されていない。α-(Z)-体はグリーンフローラル、α-(E)-体はグリーン調のウッディハーバル、β体はフローラル、ウッディ調、γ体はバルサム様ウッディ香を持つ[1]。
用途と製法
[編集]ビサボレンは、天然甘味料ヘルナンドゥルシン (Hernandulcin) など他の多くの天然化合物の生合成における中間体となる[6]。香料としては、シプレー、コロン、モダンハーバル調の調合香料、シトラス、トロピカルフルーツ、アプリコット系フレーバーに使用される。使用量はα体が多く、γ体も使用されている。ネロリドールの脱水による合成のほか、リモネンまたは4-メチル-3-シクロヘキセニルケトンからα-(Z)-体および、α-(E)-体が合成される。β体、γ体も合成により製造される[1]。
脚注
[編集]- ^ a b c d e f g 『合成香料 化学と商品知識』p.20-21
- ^ ビサボレン(東京化成工業)
- ^ Aldrich, J.R.; Numata, H.; Borges, M.; Bin, F.; Waite, G.K.; Lusby, W.R. (1993). “Artifacts and pheromone blends from Nezara spp. and other stink bug (Heteroptera: Pentatomidae)”. Zeitschrift für Naturforschung 48C: 73–79 .
- ^ Lu, F.; Teal, P.E. (2001). “Sex pheromone components in oral secretions and crop of male Caribbean fruit flies, Anastrepha suspensa (Loew)”. Arch Insect Biochem Physiol 48 (3): 144–154. doi:10.1002/arch.1067.
- ^ Spakowicz, Daniel J.; Strobel, Scott A. (2015). “Biosynthesis of hydrocarbons and volatile organic compounds by fungi: bioengineering potential”. Applied microbiology and biotechnology 99 (12): 4943–4951 2016年2月22日閲覧。.
- ^ Bisabolene derived sesquiterpenoid biosynthesis Archived November 2, 2010, at the Wayback Machine.
外部リンク
[編集]- Beta-bisabolene, NIST Chemistry WebBook listing
- ビサボレン(東京化成工業)
参考文献
[編集]- 印藤元一『合成香料 化学と商品知識』化学工業日報社、2005年。ISBN 4-87326-460-X。