ヒューリスティクス

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ヒューリスティック: heuristic, : Heuristik[1])とは、必ず正しい答えを導けるわけではないが、ある程度のレベルで正解に近い解を得ることが出来る方法である。また、答えの精度は保証されないが、回答に至るまでの時間が少なくて済む。主に計算機科学心理学の世界で使われる語。どちらの分野での用法も根本的な意味は一緒だが、指示対象が違う。計算機科学ではプログラミングの方法を、心理学では人間の思考方法を指して使われる。論理学では仮説形成法と呼ばれている。

計算機科学[編集]

計算機科学ではコンピューターに計算やシミュレーションをさせる際、ヒューリスティックを用いることがある。大抵の計算は計算結果の正しさが保証されるアルゴリズム、または計算結果が間違っているかもしれないが誤差がある範囲内に収まっていることが保証されている近似アルゴリズムを用いて計算する。しかし、そのような方法だと計算時間が爆発的に増加してしまうような場合に、妥協策としてヒューリスティックを用いる。ヒューリスティックは精度の保証はないが、平均的には近似アルゴリズムより解の精度が高いことが多い。ヒューリスティックの中でも任意の問題に対応するように設計されたものはメタヒューリスティックという。

ヒューリスティックな仮定[編集]

アルゴリズムの近似精度や実行時間を評価したいが、真面目に評価するのが困難な場合、アドホックな仮定(妥当な仮定に見えるもののその正しさを証明できないその場しのぎの仮定)をおいて評価を行うことが多い。こうした仮定のことをヒューリスティックな仮定と呼ぶ。

アンチウイルスソフトウェア[編集]

近年のアンチウイルスソフトウェアではヒューリスティックエンジンを搭載したものが増えている。また、フリーのソフトにも搭載されておりその進展を見せている。個々のソフトのヒューリスティック機能は変わらないが、その仕組みは異なっているものが多い。

心理学[編集]

心理学におけるヒューリスティックは、人が複雑な問題解決等のために何らかの意思決定を行う際、暗黙のうちに用いている簡便な解法や法則のことを指す。これらは経験に基づく為、経験則と同義で扱われる。判断に至る時間は早いが、必ずしもそれが正しいわけではなく、判断結果に一定の偏り(バイアス)を含んでいることが多い。ヒューリスティックの使用によって生まれている認識上の偏りを、認知バイアスと呼ぶ。

ヒューリスティックの例[編集]

利用可能性ヒューリスティック(availability heuristic)、想起ヒューリスティック
想起しやすい事柄や事項を優先して評価しやすい意思決定プロセスのことをいう。
英語の訳語である検索容易性という言葉の示す通りのヒューリスティックである。
代表性ヒューリスティック(representative heuristic
特定のカテゴリーに典型的と思われる事項の確率を過大に評価しやすい意思決定プロセスをいう。
代表的な例として、「リンダ問題」がある。
係留と調整(anchoring and adjustment
最初に与えられた情報を基準として、それに調整を加えることで判断し、最初の情報に現れた特定の特徴を極端に重視しやすい意思決定プロセスをいう。

脚注[編集]

  1. ^ heuristicHeuristikの意味は「発見的」である。

参考文献[編集]

  • 中島秀之・高野陽太郎・伊藤正雄 『岩波講座 認知科学 8 思考』 岩波書店、1994年、10, 112頁。ISBN 9784000106184
  • 鹿取 廣人・杉本敏夫編 『心理学』 東京大学出版会、2004年、第2版、174頁。ISBN 9784130120418
  • 市川伸一 「第六章 第一節 不確かな状況におけるヒューリスティックス」『考えることの科学-推論の認知科学への招待』 中央公論新社〈中公新書〉、1997年、第2版、110-113頁。ISBN 9784121013453
  • T. ギロビッチ 『人間この信じやすきもの-迷信・誤信はどうして生まれるのか』 守一雄・守秀子訳、新曜社、1993年ISBN 9784788504486

関連項目[編集]

外部リンク[編集]