パンツァー・リート

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パンツァー・リートドイツ語Panzerlied)は、1933年に、作詞クルト・ヴィーレ (Kurt Wiehle)、作曲アドルフ・ホフマン (Adolf Hoffmann)によって作られた、ドイツ軍行進歌 (Marschlied) である。

概要[編集]

第三帝国時代に作られた行進歌[1]であるが、戦後もドイツ連邦共和国陸軍で歌詞を一部変更しながら歌われていた。その元々のメロディーはルイスカリート (Luiskalied) という漁師の歌から取られているといわれる。ところが第1次大戦後反共義勇軍 (Freikorps) の行進歌「鋼鉄の軍勢 (Die eiserne Schar)」が偶然同じルイスカリートのメロディーを使用しており、それがナチス時代の親衛隊歌集に収録されていたため、ドイツ連邦軍の歌集に親衛隊の歌が収録されているという批判が行われ、連邦軍では歌われなくなった。

2006年、ドイツ連邦軍の参謀総長が来日した際、自衛隊の音楽隊はこの歌を歓迎会でドイツ語の歌唱付きで演奏し遠来の賓客を驚かせた。その後、陸上自衛隊の音楽隊では、「パンツァー・リート」を演奏する伝統が生まれた。第1師団の音楽隊や、東部方面音楽隊がこの曲を定期演奏会で何度か演奏した。

この歌はドイツ以外の国の軍隊にも採用され、一例としてフランス陸軍の第501戦車連隊は行進曲として、また同国の外人部隊Képi blancケピ・ブラン)という軍歌のメロディーとして用いている。

なお、ドイツ語のPanzerは戦車装甲車両などを表す語[2]であり、ドイツ軍戦車の登場する作品で使われることが多い(後述)が、この曲が誕生した1933年当時のドイツは、ヴェルサイユ条約によって戦車の開発を禁じられていた[3]

歌詞(ドイツ語)[編集]

原詩(ドイツ語) 和訳例(参考)
1. Ob's stürmt oder schneit,
Ob die Sonne uns lacht,
Der Tag glühend heiß
Oder eiskalt die Nacht.
|:Bestaubt sind die Gesichter,
Doch froh ist unser Sinn,
Ist unser Sinn;
Es braust unser Panzer
Im Sturmwind dahin. :|
嵐も雪も

太陽燦々たる

灼熱の日も

身を切る極寒の夜も

|:顔が埃に塗れようとも

陽気なる我等が心

然り、我等が心

驀進するは我等が戦車

暴風の只中を:|

2. Mit donnernden Motoren,
Geschwind wie der Blitz,
Dem Feinde entgegen,
Im Panzer geschützt.
|:Voraus den Kameraden,
Im Kampf steh'n wir allein,
Steh'n wir allein,
So stoßen wir tief
In die feindlichen Reihn. :|
発動機の唸りと共に

疾風迅雷の如く

敵に立ち向かい

装甲をして護らしむ

味方に先駆けて

|:戦場に我等は独り立つ

然り、我等は独り立つ

斯くて我等は貫徹す

敵の隊伍の中を:|

3. Wenn vor uns ein feindliches
Heer dann erscheint,
Wird Vollgas gegeben
Und ran an den Feind!
|:Was gilt denn unser Leben
Für unsres Reiches Heer?
Ja Reiches Heer?
Für Deutschland zu sterben
Ist uns höchste Ehr. :|
我等が眼前に

敵軍現れたる時は

全力を以て

これに当たらん!

|:何ぞ我等が命を資するに値せん

そは我が帝国陸軍が為ならんや?

然り、帝国陸軍が為なり

ドイツが為に死ぬるこそ

我等が最たる誉れなれ:|

4. Mit Sperren und Minen
Hält der Gegner uns auf,
Wir lachen darüber
Und fahren nicht drauf.
|:Und droh'n vor uns Geschütze,
Versteckt im gelben Sand,
Im gelben Sand,
Wir suchen uns Wege,
Die keiner sonst fand. :|
障壁や地雷をして

敵が我等に対抗せんとも

我等はそれを嘲笑し

その先へ進まん

|:火器の脅威が

潜む黄砂に

然り、黄砂に

我等は未だ誰も見ぬ

道を征くなり:|

5. Und läßt uns im Stich
Einst das treulose Glück,
Und kehren wir nicht mehr
Zur Heimat zurück,
|:Trifft uns die Todeskugel,
Ruft uns das Schicksal ab,
Ja Schicksal ab,
Dann wird uns der Panzer
Ein ehernes Grab. :|
我等は遂に見放さる

運命の裏切りに

そして再び

祖国の土を踏むこと能わず

|:我等を射抜く死の弾丸をして

我等を宿命に従わしむ

嗚呼、宿命に従わしむ

斯くて戦車は

栄誉ある墓標とならん:|

  • |: - :|繰り返し、コーラス

使用作品[編集]

映画[編集]

  • バルジ大作戦MGM)- ドイツの戦車兵たちが合唱するシーンで使われ、世界的に有名になった。映画では1番のみが繰り返し歌われている。

ゲーム[編集]

アニメ[編集]

小説[編集]

  • 宇宙一の無責任男 - 惑星連合宇宙軍海兵隊の愛唱歌として登場。1番のみをエンドレスで歌うのが、作中の時代での定番だとされている。
  • 地球移動作戦 - 山本弘SF小説。戦車を宇宙船に置き換えた「シュテルンシフリート」という替え歌が登場する。

脚注[編集]

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  1. ^ 行進歌とは文字通り行進する時の歌で、軍隊・民間を問わず歌われる。英語のマーチングソングに相当する概念である。その内容は軍隊や戦争を歌ったもの以外に、恋の歌や、故郷を自慢する歌等幅広い。
  2. ^ Panzer - 研究社 新英和中辞典(Weblio
  3. ^ トラクターの名称で極秘裏の試作は続けられており、1934年からI号戦車の生産が開始されている。
  4. ^ 戦車の歌 パンツァーリート

外部リンク[編集]