バリークロイ国立公園

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バリークロイ国立公園
: Páirc Náisiúnta Bhaile Chruaich
: Ballycroy National Park
メイヨー県とバリークロイ国立公園の位置(緑色)
地域 アイルランドの旗 アイルランド
メイヨー県
座標 北緯54度01分01秒 西経9度42分00秒 / 北緯54.017度 西経9.700度 / 54.017; -9.700座標: 北緯54度01分01秒 西経9度42分00秒 / 北緯54.017度 西経9.700度 / 54.017; -9.700
面積 11,779ヘクタール (117.79 km2)
認可日 1998年[1]
運営組織 アイルランド国立公園野生生物保護局
地図
地図

バリークロイ国立公園(バリークロイこくりつこうえん、: Páirc Náisiúnta Bhaile Chruaich: Ballycroy National Park)、現名ワイルド・ネフィン国立公園[2](ワイルド・ネフィンこくりつこうえん、: Wild Nephin National Park)はアイルランドメイヨー県北西部にある。一帯はエリス英語版: Iorras)のオーウェンダフ/ネフィン山脈英語版地域に位置し、1998年11月1日に国立公園として設立された[1]。のちに指定範囲拡大の上、元のバリークロイ英語版の範囲を大きく超えたため、2018年に「ワイルド・ネフィン国立公園」に改名した[3][4]

117.79km2泥炭地ヨーロッパ最大の1つであり、枯れた植物がブランケット状に堆積した、大西洋岸特有の湿地から成り立つ。独得の生息地として多様な植物相動物相が観察される。当園は特別保護地区であり、 Natura2000ネットワークに属する[5][6]。オーウェンダフ/ネフィン構造体として知られる地域の一部であり、保全特別区 (cSAC)英語版の候補にあがっている。

国立公園の成り立ち[編集]

欧州連合生息地指令英語版(92/43/EEC)は1997年にアイルランド法英語版置き換えられ、記載された特定の生息地と種はアイルランド政府がSACに指定の上、保護を確実にする必要があると示している。これらの生息地には枯れた植物が厚く積み重なった湿原が含まれる[6]。バリークロイの湿原は包括的な生息地として西ヨーロッパに残された最大の例の1つである点は特に重要である。当園は1998年11月1日に国立公園の認可を受け、1954年の州財産法の下で管理されている[1]

特徴[編集]

生息地として公園を構成する要素は湿原である。湿原はヨーロッパに残された最大の泥炭地の1つで、ヤチラン英語版ヤチスギラン英語版など希少種の植物を含むさまざまな種にニッチを提供する。したがってその保全は国際的に重要である。オーウェンダフ川西ヨーロッパで唯一、比較的古い時代から人の手が入っていない河川として重要な自然保護区域であり、大規模な湿地環境を排水する役割を果たし、また非常に多くのタイセイヨウサケブラウントラウトも生息している[1]。オーウェンダフ川流域は1986年にラムサール条約登録地となった[7]

オーウェンダフ地域は欧州連合鳥類指令英語版の保護種でグリーンランドから渡ってくるマガンほか多くの種の渡り鳥にとって重要な生息地であり、繁殖を行いねぐらと食べ物を得る場所である[1]。公園指定地内で見つかった珍しい種はほかにカラフトライチョウヨーロッパムナグロオオハクチョウハヤブサウズラクイナなどがいる[6][7]

公園のビジターセンターは2009年に開館し、床面積700m2の建物からバリークロイ村ごしに大西洋を見渡せる。夏の観光シーズンには無休で営業する[8]

指定の拡張:「ネフィンを野生に」[編集]

当園に隣接する針葉樹林は2017年、製材会社カイルタ Coillte管理地4,000ヘクタール (40 km2)を国立公園の11,000ヘクタール (110 km2)に組みこんでいる。一帯の管理を国立公園野生生物局(NPWS)に移行する準備が進み、自然の復原英語版の実現可能性が示唆されている[9]。この一帯はかつて林業用地として林道を張り巡らし、マツトウヒ属の植林と伐採を進めていた。

Panorama of Ballycroy National Park with Nephin Beg Range at right of image
バリークロイ国立公園からネフィンベグ山地を見渡す

脚注[編集]

出典[編集]

  1. ^ a b c d e National Parks and Wildlife Service”. 2006年8月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2006年7月28日閲覧。
  2. ^ Wild Nephin” (英語). National Parks of Ireland. 2023年4月24日閲覧。
  3. ^ NPWS defends contentious National Park name change” (英語). Western People (2021年8月23日). 2023年4月24日閲覧。
  4. ^ Love at First Hike: I’m Dating a National Park” (英語). Shondaland (2022年7月18日). 2023年4月24日閲覧。
  5. ^ CONSERVATION OF WILD BIRDS (OWENDUFF/NEPHIN COMPLEX SPA 004098)
  6. ^ a b c Mayo County Council — Natural Heritage”. 2006年7月28日閲覧。[リンク切れ]
  7. ^ a b Owenduff catchment | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (2023年3月7日). 2023年4月24日閲覧。
  8. ^ Irish government press release”. 2006年7月28日閲覧。 [リンク切れ]
  9. ^ Viney, Michael. “Wild Nephin”. Irish Times. https://www.irishtimes.com/news/environment/michael-viney-wild-nephin-won-t-work-if-it-is-managed-like-any-other-park-1.3333746 2018年1月19日閲覧。 

外部リンク[編集]