ネオジム磁石
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ネオジム磁石(ネオジムじしゃく、英: Neodymium magnet)は、ネオジム、鉄、ホウ素を主成分とする希土類磁石(レアアース磁石)の一つ。永久磁石のうちでは最も強力とされている。1984年に日本の住友特殊金属(現、日立金属)の佐川眞人らによって発明された[1][2]。主相はNd2Fe14B。
「ネオジウム磁石」と呼ばれることも多いが、誤りである(ネオジムを参照)。
特徴
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- 磁束密度が高く、非常に強い磁力を持つ。
- 機械的に壊れやすいほか、磁力の温度変化が大きい。
- 加熱すると熱減磁を生じやすい。ジスプロシウムを添加すると、保磁力が向上する。1%のジスプロシウムの添加で熱減磁が15℃改善するといわれている。
- 錆びやすいためニッケルでめっきされていることが多い。
- キュリー温度は約310度。
- 磁気の強さにはN24からN54まで等級付けがされる。Nの後の数字は磁気の強さを表すが、理論上はN64まで可能であるとされている。
利用など
非常に磁力が強く、ハードディスクドライブやCDプレーヤー、携帯電話などの小型の製品から、果ては電車・ハイブリッドカー・エレベーター駆動用の永久磁石同期電動機の界磁にまで使用される。例えば、ハードディスクドライブでは、ヘッドと呼ばれる読み書きする装置を移動させるためのアクチュエータに用いられる。また、より固いダンパーを採用可能であることから、締まった低音が出るとされ、近年のヘッドフォンのドライバーの多くに用いられている。
上述のジスプロシウムは希土類元素であるため、最近ではジスプロシウムを使わずに、ネオジム磁石の結晶粒径を小さくすることにより、熱減磁を改善する研究が行われている。しかし、ネオジムは酸素との反応性が強く、磁石の結晶粒を小さくすると、空気と触れる表面積が増えるため、自然発火することがある。このため、磁石製造は酸素を除外した状態で行う必要がある。また、鉄を多く含んでいることから、非常に錆びやすく、製品として用いられる際にはニッケル等でコーティングしてから用いる。
数cmの大きさでも10kgw以上の吸着力があるため、扱う際には指を挟まないよう手袋をするなどの必要がある。