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トリメチルアミン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
トリメチルアミン[1]
識別情報
3D model (JSmol)
略称 TMA, Me3N
ECHA InfoCard 100.000.796 ウィキデータを編集
EC番号
  • 200-875-0
KEGG
RTECS number
  • 1.1.78 – 31.1.87
特性
化学式 C3H9N
モル質量 59.11 g/mol
示性式 (CH3)3N
外観 無色透明の気体
密度 0.67 g/mL (0 ℃)
融点

-117.08 °C, 156 K, -179 °F

沸点

2.87 °C, 276 K, 37 °F

への溶解度 任意に混和
塩基解離定数 pKb 4.13
危険性
NFPA 704(ファイア・ダイアモンド)
NFPA 704 four-colored diamondHealth 2: Intense or continued but not chronic exposure could cause temporary incapacitation or possible residual injury. E.g. chloroformFlammability 4: Will rapidly or completely vaporize at normal atmospheric pressure and temperature, or is readily dispersed in air and will burn readily. Flash point below 23 °C (73 °F). E.g. propaneInstability 0: Normally stable, even under fire exposure conditions, and is not reactive with water. E.g. liquid nitrogenSpecial hazards (white): no code
2
4
0
安全データシート (SDS) ICSC 1484
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

トリメチルアミン (trimethylamine) は有機化合物の一種で、最も基本的な第三級アミンである。魚の臭い。

特定悪臭物質として、悪臭防止法の規制対象である。通常、ガスボンベや40%水溶液として販売される。

性質

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水に非常に溶けやすい。低濃度では臭、高濃度ではアンモニア状の臭気を有する。

魚類は、浸透圧調節作用を持つ成分として、トリメチルアミン-N-オキシド (TMAO) を持ち、還元されることでトリメチルアミンとなる。トリメチルアミンは魚が腐敗したときの臭いの原因の一つである。また公衆トイレの悪臭の原因物質であるという報告もある[2]

合成

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パラホルムアルデヒド塩化アンモニウムから、トリメチルアミン塩酸塩を経てトリメチルアミンを得る合成法が報告されている[3]

(NaOH で中和)

多くのアミンと同じく窒素上に非共有電子対を持つため塩基性を示し、求核剤としてハロゲン化アルキルと反応し、アルキルトリメチルアンモニウム塩を生成する。

トリメチルアミン尿症は、フラビン含有モノオキシゲナーゼ (FMO) が欠損もしくは低活性であることにより、尿にトリメチルアミンが含まれる、という病気である。

心血管疾患との関係

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食品中に含まれるレシチン(コリン)が一部の腸内細菌によりトリメチルアミン(TMA)に代謝され、さらに肝臓においてFMO酵素によりTMAOへと代謝され、これがマクロファージを変化させアテローム性動脈硬化などの心血管疾患に結びついているとする論文[4]がある。また赤肉などに含まれるカルニチンも同様に腸内細菌 - 肝臓代謝を経てTMAOとなりこれがアテローム性動脈硬化のリスクを高めているという報告[5][6]もある。

出典

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  1. ^ Merck Index, 11th Edition, 9625.
  2. ^ なぜトイレは臭いのか 原因成分の主犯は実はアンモニアではなかった 「アンモニアは共犯にすぎない」駅のトイレでにおい成分を収集し突き止めた研究員 悪臭コレクションは600種類”. RKBオンライン. RKB毎日放送 (2024年4月5日). 2025年3月12日閲覧。
  3. ^ Adams, R.; Brown., B. K. (1921). “Trimethylamine.” Org. Synth. 1: 75.
  4. ^ Z. Wang et al. (2011). “Gut flora metabolism of phosphatidylcholine promotes cardiovascular disease”. Nature 472: 57–63. doi:10.1038/nature09922. 
  5. ^ R.A. Koeth et al. (2013). “Intestinal microbiota metabolism of L-carnitine, a nutrient in red meat, promotes atherosclerosis”. Nature Medicine 19: 576–585. doi:10.1038/nm.3145. http://www.nature.com/nm/journal/v19/n5/full/nm.3145.html 2014年1月22日閲覧。. 
  6. ^ 肉食の心血管病リスクに関する「カルニチン論争」” (pdf). 日経メディカルオンライン(日経BP社) (2013. 7. 1). 2014年1月22日閲覧。

関連項目

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外部リンク

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