トラコーマ
トラコーマ(Trachoma)は、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)を病原体とする感染症。
伝染性の急性および慢性角結膜炎。
別名はトラホーム(トラコーマのドイツ語読み)、顆粒性結膜炎、エジプト眼炎。
原因[編集]
流行地ではクラミジア・トラコマチスのA,B,C型が、垂直感染ではD,E,F,G型が病原体となることが多い。
最近、クラミジア・トラコマチス以外のクラミジアがトラコーマの原因となりうることを示す研究成果が発表された(PLoS Med 5(1): e14)。
直接接触による感染のほか、手指やタオルなどを介した間接接触による感染も多い。また、母親が性器クラミジア感染症を持つ場合、分娩時に産道で垂直感染することがある。
疫学[編集]
先進国では殆ど見られなくなったが、アジアやアフリカの発展途上国ではいまだに流行が見られ、年間600万人が失明している。先進国でも見られるトラコーマは、殆どが垂直感染によるものである。
日本で、1919年3月27日、トラホーム予防法が公布された。
症状[編集]
病原菌は結膜上皮細胞内に寄生する。初期には結膜に濾胞や瘢痕を形成したり、乳頭増殖したりする。その結果、充血や眼脂が見られる。慢性期には血管新生が見られ、トラコーマパンヌスと呼ばれる状態になる。
その後瘢痕を残し治癒することもあるが、さらに重症となり、上眼瞼が肥厚することがある。その結果睫毛が偏位し、角膜に接触するため、瞬きするたびに角膜を刺激し、角膜潰瘍を引き起こす。そこに重感染が起こることで、失明や非可逆性の病変を残すこととなる。
産道感染例では重症化することはほとんど無い。偽膜形成が見られる。現在出生直後に点眼薬を点眼する病院も多い。
治療[編集]
テトラサイクリン系、マクロライド系、ニューキノロン系の抗生物質を内服あるいは点眼する。
予後[編集]
適切な治療が行われれば完全に治癒する。