トキリマメ

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トキリマメ
Rhynchosia acuminatifolia
Rhynchosia acuminatifolia
(2006年9月28日、神奈川県小田原市
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
: マメ目 Fabales
: マメ科 Fabaceae
亜科 : マメ亜科 Faboideae
: インゲンマメ連 Phaseoleae
亜連 : キマメ亜連 Cajaninae
: タンキリマメ属 Rhynchosia
: トキリマメ R. acuminatifolia
学名
Rhynchosia acuminatifolia
Makino[1]

トキリマメ(吐切豆、学名: Rhynchosia acuminatifolia)はタンキリマメ属つる性多年草和名の語源は不明[2]。別名、オオバタンキリマメ(大葉痰切豆)ともいい、葉形や豆果の大きさの違いがあるもののタンキリマメとよく似た種である[3]

形態・生態[編集]

つるは、巻き方向が左から右巻きに他の植物に絡みながら巻き付き、長さは10m近くまで伸びる。長く伸びると、上から下へぶら下がっていることも多い[3]。つるとなるの表面には、全体に黄褐色の毛がまばらに生える[3]

は互生で、葉柄は長めで1つの葉柄に3つの小葉がつく。小葉は倒卵型で長さ6cm程度あり下半部が最も広く、葉先がかけて急に細くなってとがる[2]。葉質は薄く、毛に覆われている。小葉の基部から3本の葉脈が真っ直ぐ伸び目立つ[4]。タンキリマメとの違いは、葉先にかけて細くなるところと、葉を覆う毛がタンキリマメと比較して少ない点で区別できる[4]

花期は7 - 9月[2]総状花序葉腋から出る。小さく長さ8mmほどの細長い筒状の形をした黄色い蝶型のを5 - 20個[5] 、密集するようにつけ、大きな旗弁が目立つ[4]

果実豆果で、莢(さや)は細毛がつく扁平な長楕円形をしており、長さは2cmほどありタンキリマメよりやや大きい[4]。晩秋に明るい赤色に熟し、莢の皮がだんだん乾いて薄くなり、のちに開裂する。莢の中には楕円形をした黒く光沢のある種子が2個入っており[2]、莢が開裂したあとも莢の縁(縫合線)の上にぶら下がる[4]。3葉のマメ科で2個の種子が入るのは、本種のトキリマメとタンキリマメの2種のみである[3]

分布[編集]

日本本州関東地方以西、四国九州)に分布する[2]。主に山野に生える[5]

脚注[編集]

  1. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Rhynchosia acuminatifolia Makino”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2013年10月27日閲覧。
  2. ^ a b c d e 野に咲く花』 372頁。
  3. ^ a b c d 谷川栄子 2015, p. 42.
  4. ^ a b c d e 谷川栄子 2015, p. 43.
  5. ^ a b 『花色でひける山野草・高山植物』 2002, p. 258.

参考文献[編集]

  • 『花色でひける山野草・高山植物』大嶋敏明(監修)、成美堂出版〈ポケット図鑑〉、2002年、258頁。ISBN 4-415-01906-4 
  • 平野隆久(写真)『野に咲く花 : 写真検索』林弥栄(監修)、門田裕一改訂版(監修)(増補改訂新版)、山と溪谷社〈山溪ハンディ図鑑〉、2013年、372頁。ISBN 978-4-635-07019-5 
  • 『野草見分けのポイント図鑑』林弥栄総(監修)、講談社、2003年、277頁。ISBN 4-06-211599-9 
  • 多田多恵子『身近な草木の実とタネハンドブック』文一総合出版、2010年、107頁。ISBN 978-4-8299-1075-7 
  • 谷川栄子『里山のつる性植物 観察の楽しみ』NHK出版、2015年6月20日、42-43頁。ISBN 978-4-14-040271-9 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

  • よしゆき. “トキリマメ”. 松江の花図鑑. 2013年10月27日閲覧。