チェリー・ピッキング

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チェリー・ピッキング (: cherry picking) とは、数多くの事例の中から自らの論証に有利な事例のみをならべたてることで、命題を論証しようとする論理上の誤謬、あるいは詭弁術。cherry-pickingの語義はサクランボの熟した果実を熟していないものから選別することであり、転じて「いい所取り」「(特売品専門の) 購買者」「つまみ食い」の意味で使用される。

たとえば、「政治家の世襲は良いか悪いか」という命題で、全世界に無数にいる世襲政治家の中から評価の高い人間か低い人間だけを選んで、「AもBもCも世襲だから世襲は良い」「甲も乙も丙も世襲だから世襲は悪い」と論じるのがこの誤謬にあたる。

ビジネスにて[編集]

チェリーピッキングは、大規模な母集団から収益性の高い顧客のみを選ぶビジネス戦略を指すこともある。 例えば健康保険会社は、健康な人に保険を売り、不健康な人や不健康になりそうな人に保険を売ることを拒否するチェリーピッキングを行うことで、収益性の高い顧客を選択することができる。

もし自動車保険会社がチェリーピッキングにより優良運転者のみ保険を売ることになれば、すべての運転手に保険を売っている会社よりも収益上優位に立てる。 自動車保険会社がチェリー・ピッキングを行い優良運転者のみに保険を売り、劣等運転者が無保険になるという事態が起こらないよう、米国の多くの州ではリスク割り当てを行い、自動車保険会社がある程度の数の劣等運転者にも保険を提供するよう求めている。

統計にて[編集]

統計学は、その学問的手法の基礎を無作為抽出においており、チェリー・ピッキングは行われないことを前提としている。

科学にて[編集]

生物学では免疫組織化学染色などでは何度か実験を行った内の一番結果の良い物・部分を選択し論文にするケースがある。ただし、それのみで十分な結果とすることは殆ど無く、通常は同じ結論を示す別の実験を行い、結果を一致させる。

また、推計統計学的な仮説検定などで標本 (統計学) の信頼性を検証することによりチェリー・ピッキングを防止する手法もある。

バージョン管理にて[編集]

Gitのようなバージョン管理システムにおいて、あるコミットで行われた変更を別な箇所に「つまみ食い」的に適用する操作がチェリーピックと呼ばれる[1]

脚注[編集]

  1. ^ 5.3 Git での分散作業 - プロジェクトの運営 Git book、2013年11月7日閲覧。

関連項目[編集]