チェリー・ピッキング

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さくらんぼのように熟れた所だけを取る

チェリー・ピッキング英語: cherry picking)とは、数多くの事例の中から自らの論証に有利な事例のみを並べ立てることで、命題を論証しようとする論理上の誤謬、あるいは詭弁術のことである[1][2][3]

語義と用法[編集]

cherry-pickingの語義は、サクランボの熟した果実を熟していないものから選別することである。転じて「美味しい所だけを取る」「つまみ食い」の意味で使用される[4][5]

実社会における例[編集]

ビジネス[編集]

チェリーピッキングは、大規模な母集団から収益性の高い顧客のみを選ぶビジネス戦略を指すこともある[6]。たとえば、健康保険会社は健康な人に保険を売り、不健康な人や不健康になりそうな人に保険を売ることを拒否するチェリーピッキングを行うことで、収益性の高い顧客を選択できる。

もし自動車保険会社がチェリーピッキングにより優良運転者のみ保険を売ることになれば、すべての運転手に保険を売っている会社よりも収益上優位に立てる。自動車保険会社がチェリー・ピッキングを行い優良運転者のみに保険を売り、劣等運転者が無保険になるという事態が起こらないよう、アメリカ合衆国の多くの州ではリスク割り当てを行い、自動車保険会社がある程度の数の劣等運転者にも保険を提供するよう求めている。

科学[編集]

生物学では免疫組織化学染色などでは何度か実験を行ったうちの一番結果の良い物・部分を選択し、論文にする場合がある。ただし、それのみで十分な結果とすることはほとんど無く、通常は同じ結論を示す別の実験を行い、結果が一致していることを確認するのが一般的である[要出典]

バージョン管理[編集]

Gitのようなバージョン管理システムにおいて、あるコミットで行われた変更を別な箇所に「つまみ食い」的に適用する操作がチェリーピックと呼ばれる[7](略式)。

スポーツ[編集]

バスケットボールサッカー等の得点制スポーツにおいて、ゴールのすぐ手前で待機して得点を狙い「美味しい所だけを持っていこうとする」者は俗にチェリー・ピッカーと呼ばれる。

またボクシング等のプロ格闘技において、有名な王者や実力を認められた選手ではなく、無名な選手や実力の劣る選手とばかり対戦して(時には有名選手との試合を拒否してまで)良いキャリアを築こうとする行為も俗にチェリー・ピッキングと呼ばれる。

脚注[編集]

  1. ^ 西岡達裕, 「オリバー・ストーンが語るもうひとつのアメリカ史 : ドキュメンタリーからの挑戦」『国際学研究』2015年 5号、桜美林大学大学院国際学研究科, p.39-46, ISSN 2185-9779, NAID 110009937681
  2. ^ チェリーピッキングに騙されないでね。 - 元国税芸人さんきゅう倉田の「役に立ちそうで立たない少し役に立つ金知識」(92)” (日本語). マイナビニュース (2019年3月27日). 2021年4月23日閲覧。
  3. ^ Upendran, S. (2013年3月4日). “Know your English — meaning and origin of ‘cherry-picking’” (英語). The Hindu. ISSN 0971-751X. https://www.thehindu.com/books/know-your-english/know-your-english-meaning-and-origin-of-cherrypicking/article4475788.ece 2021年4月23日閲覧。 
  4. ^ cherry-pick | Origin and meaning of cherry-pick by Online Etymology Dictionary” (英語). www.etymonline.com. 2021年4月23日閲覧。
  5. ^ Cherry-pick definition and meaning | Collins English Dictionary” (英語). www.collinsdictionary.com. 2021年4月23日閲覧。
  6. ^ デジタル大辞泉. “チェリーピッキングとは” (日本語). コトバンク. 2021年4月23日閲覧。
  7. ^ 5.3 Git での分散作業 - プロジェクトの運営 Git book、2013年11月7日閲覧。

関連項目[編集]