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スナバコノキ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
スナバコノキ
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 core eudicots
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
階級なし : バラ上群 superrosids
階級なし : バラ類 rosids
階級なし : rosid I / Fabidae
: キントラノオ目 Malpighiales
: トウダイグサ科 Euphorbiaceae
亜科 : トウダイグサ亜科Euphorbioideae
: Hippomaneae
: フラ属 Hura
: スナバコノキ Hura crepitans
学名
Hura crepitans
L.
和名
スナバコノキ、サルノトウナス
英名
Sandbox tree

スナバコノキ[1](砂箱の木、学名: Hura crepitans)は、トウダイグサ科フラ属の高木である。別名サルノトウナス[2]中南米熱帯地域とカリブ海諸島の一部では、「サルが登れない木」、「毒の木」、「ダイナマイトの木」、「砂入れの木」などを意味する言葉でよばれている[3]。「スナバコノキ」という呼び名は、18世紀初頭に、羽根ペンで文字を書いた後に砂を振りかけてインクを乾かすのに用いられていた砂を入れる箱として売られていたことに由来する[4]

カール・フォン・リンネの『植物の種』(1753年) で記載された植物種の一つである[5]

分布

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原産地は熱帯アメリカであるが、アフリカガンビアギニアベナン中央アフリカ共和国北アメリカフロリダ州にも帰化している[6]

形態・生態

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樹高約50メートル (m) 以上になり、樹皮は円錐状の太くて短いトゲでびっしりと覆われている[3]は鮮やかな緑色をしたハート型で広い[3]雌雄異花。深紅色のごく小さな花が200個ほど四角錐形に密集してぶら下がって咲く[3]

果実は長さ3 - 5センチメートル (cm) 、直径5 - 8 cmのカボチャ型で、心皮は16室前後に分かれており、それぞれに種子が詰まっている[3]。完熟・乾燥するとオリーブグリーンから木質の焦げ茶色になり、果柄をつまんでひっくり返したような形で直立する[3]。その後、乾燥して縮む部分と縮まない部分の差が出てくると大きな張力が蓄積し、気温が高く乾燥した日に突然破裂して、大きな爆発音とともに種子を高速でまき散らす[3]。種子は1ポンド硬化ぐらいの大きさの扁平な丸形で、飛ばされた種子は、森の林床の暗がりで発芽する[3]

果実の爆発の勢いはすさまじく[注 1]、科学者の観察によると果実の破裂により種子は秒速70 m以上(時速240 km以上)の速度で飛び散るといわれている[4]。種子は空気抵抗を考慮した発射角度で飛び出していき、フリスビーのように回転しながら最大45 mまで上昇することも可能で、遠くまで飛ばすために最適化されている[4]。また、果実が熟しはじめると、小さなアリの集団が亀裂から中に入って住み着き、心皮の部屋の隙間で子育てをするための巣になることが知られている[4]

乳白色の樹液及び種子は有毒である[3]

利用

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カリブ族は果実の毒を毒矢などの原料として、魚を捕るための狩猟に用いていた[3]

フラトキシンの化学構造

ダフナン誘導体でプロテインキナーゼC活性化剤のフラトキシン(huratoxin)がスナバコノキの殺魚成分として同定されている[7]。フラトキシンは同じくトウダイグサ科のマンチニールにも含まれている。

諸言語における呼称

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フラ属

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フラ属Hura)は2種からなる属で、スナバコノキと Hura polyandra Baill.メキシコから中米およびエクアドルにかけて分布)がここに属する[6]

脚注

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注釈

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  1. ^ 19世紀中頃のドイツの植物学誌に、釣鐘状のガラス容器にスナバコノキの果実を入れてから10年後に、ピストルの銃声のような音とともに破裂して、中身がバラバラになって部屋中に飛び散ったという博物学者の話が掲載されている[4]

出典

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  1. ^ 藤井, 義晴「アレロパシー検定法の確立とムクナに含まれる作用物質L-DOPAの機能」第10号、1994年。 
  2. ^ コーナー, E. J . H.渡辺, 清彦『図説熱帯植物集成』廣川書店、1969年、357頁。 
  3. ^ a b c d e f g h i j ドローリ 2019, p. 190.
  4. ^ a b c d e ドローリ 2019, p. 191.
  5. ^ Linnaeus, Carolus (1753) (ラテン語). Species Plantarum. Holmia[Stockholm]: Laurentius Salvius. p. 1008. https://www.biodiversitylibrary.org/page/359029 
  6. ^ a b Govaerts et al. (2021).
  7. ^ Sakata, L.; Kawazu, K.; Mitsui, T. (1971). “Studies on a Piscicidal Constituent of Hura crepitans. Part I. Isolation and Characterization of Huratoxin and its Piscicidal Activity”. Agric. Biol. Chem. 35 (7): 1084-1091. doi:10.1271/bbb1961.35.1084. 
  8. ^ a b 熱帯植物研究会 編 (1996).
  9. ^ Carpio Malavassi, Isabel Ma.; Adalberto Ramírez Villalobos (2003). Madera de Costa Rica: 150 especies forestales. San José, Costa Rica: Editorial de la Universidad de Costa Rica. p. 155. ISBN 9977-67-725-5. https://www.google.co.jp/books/edition/Maderas_de_Costa_Rica_150_Especies_Fores/d5CcLXk9A3YC?hl=ja&gbpv=1&dq=Nombre+com%C3%BAn+javillo&pg=PA155&printsec=frontcover 

参考文献

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外部リンク

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