サラ・マクブライド

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Sarah McBride
A portrait of Sarah McBride taken in 2016. She is wearing a fuschia-colored sweater and is smiling.
デラウェア州上院議員
1st選出
就任
2021年1月
後任者Harris McDowell III英語版
個人情報
生誕1990年(31 - 32歳)[1]
ウィルミントン (デラウェア州)U.S.
政党民主党
配偶者
Andrew Cray英語版
(m. 2014; d. 2014)
教育アメリカン大学BA
公式サイト公式ウェブサイト

サラ・マクブライド英語: Sarah McBride、1990年8月9日-)は、アメリカの活動家で、デラウェア州上院議員選挙で当選した2021年1月に就任予定の政治家である。現在、彼女はヒューマン・ライツ・キャンペーン英語版のNational Press Secretaryである[2][3]。2020年9月15日に民主党の予備選挙で勝利したあと、2020年11月の選挙英語版において民主党の第1デラウェア州上院英語版地区で当選した。就任すれば、国内初めてのトランスジェンダーの州上院議員になる予定である[4][5][6][7][8]

マクブライドは、雇用・住居・保険・公共施設におけるジェンダー・アイデンティティに基づく差別を禁止するデラウェア州の法律の可決に大きく貢献している[9]。2016年7月、彼女は2016年民主党全国大会で講演を行った。これにより、トランスジェンダーであることをオープンにしている、主要な政党の党大会で講演したアメリカの歴史で初めての人物になった[10][11][12][13]

2018年、マクブライドは『Tomorrow Will Be Different: Love, Loss, and the Fight for Trans Equality』という書籍を出版した。

経歴[編集]

若年期と教育[編集]

サラ・マクブライドはデラウェア州ウィルミントンでDavid McBrideとSally McBrideの間に生まれた[14]カミングアウトをする前は、デラウェア州司法長官ボー・バイデンの2010年のキャンペーンや州知事Jack Markell英語版の2008年のキャンペーンなど、デラウェアでキャンペーンのスタッフとして働いていた。2011年、マクブライドアメリカン大学の生徒会長に当選した。生徒会長としての最後の週に大学新聞のThe Eagleで、トランス女性であることをカミングアウトしたことで、国際的な注目を集めた[15]

マクブライドのカミングアウトは、NPRThe Huffington Postレディー・ガガBorn This Way Foundation英語版で大きく取り上げられた[16][17][18]。カミングアウト後、マクブライドはデラウェア州司法長官のボー・バイデンから電話を受け、"Sarah, I just wanted you to know, I'm so proud of you. I love you, and you're still a part of the Biden family."(「サラ、ひとつだけ言わせてください。僕はあなたをとても誇りに思う。大切に思う。これからも家族同様に思ってください」)と言われた。副大統領のジョー・バイデンも同様の気持ちを表し、彼女を誇りに思い、幸せを願う気持ちを共有した。2012年、マクブライドはホワイトハウスのインターンに参加し、すべての立場の中でトランスジェンダー女性であることをオープンにしている初めての人物となった。マクブライドはWhite House Office of Public Engagement and Intergovernmental AffairsでLGBTの問題に関する仕事をした[19][20]。Second Ladyのジル・バイデンは、2015年5月のスピーチの中でサラのストーリーを話した。ジルはそれに加えて、「私たちは、若い人たちがどんな姿をしているか、出身地がどこか、ジェンダーアイデンティティが何か、どんな人を愛するかに関わらず、その人がどんな人間であるかによって評価されるべきだと信じています。」と話した[21]

活動[編集]

2018年のマクブライド

2013年1月、マクブライドはEquality Delaware英語版の取締役会に参加してすぐ、デラウェア州民のトランスジェンダーに対する法的保護とヘイトクライムに関する法案の主な支持者になった。マクブライドと彼女の家族は、雇用、住居、保険、公共施設でジェンダーアイデンティティとその表現に基づいた差別からデラウェア州民を法的に保護するためのロビー活動を先導した[22][23]。法案の主なスポークスパーソンを務めたことに加えて、Jack Markell英語版知事と司法長官ボー・バイデンとの緊密な関係を築き、法案が両議員に高く支持されたことで評価された。法案が州上院で1票差で可決された後、州下院では24-17で可決された。その後、2013年6月に修正法案が州上院で再可決され、すぐにJack Markell知事により署名された[24]

法案に署名した後、Markellは次のように述べた。「私は特に、たまたまトランスジェンダーとして生まれた、知的で才能のあるデラウェアの友人サラ・マクブライドに感謝したい。彼女は勇気を持って総会で登壇し、ジェンダー・アイデンティティとの個人的な闘いについて説明し、大学卒業後に恐れることなく自宅に帰りしたいという願いを伝えました。この法案の可決に向けた彼女の絶え間ない支援によって、マクブライドはデラウェアに住むすべてのトランスジェンダーの人々のために現実の変化を起こしました。」[25]

デラウェアのジェンダー・アイデンティティ保護とヘイトクライムの法の可決後、マクブライドはアメリカ進歩センター英語版のLGBT進歩チームで働いた[26]。マクブライドはさまざまな大学やLGBTイベントで演説を行った。これには、ヒューマン・ライツ・キャンペーン英語版National Dinner[20]、ヒューマン・ライツ・キャンペーンLos Angeles Dinner[27]Victory Fund英語版 National Brunch[22]ペンシルベニア大学[22]ゲティスバーグ大学英語版[22] などがある。DelawareLiberal.netは、2014年のTrans 100のランキングで[23]、マクブライドをデラウェアでMost Valuable Progressiveとしてランキングした[28]。MIC.comは、今後数年間で変化を起こす50人のミレニアル世代の1人に選んだ[29]。2015年のNewStatesmanの記事では、高い官公庁に当選する初めてのトランスジェンダーのアメリカ人になるだろうと予想されている[30]。マクブライドはアメリカ合衆国住宅都市開発省が開催した若者と職場のいじめに関する「GLOBE Pride 2016」でパネリストを務めた。これまでにマクブライドは、The New York TimesThe Huffington PostThe Washington PostThe Boston GlobeAl JazeeraPBS NewsHourTeen Vogue英語版North Carolina Public Radio英語版The New YorkerMSNBCThinkProgress英語版BuzzfeedNPRなどで紹介されている。

2016年4月、マクブライドは"Gender assigned to us at birth should not dictate who we are."(『たまたま出生時に割り当てられたジェンダーごときに、自分が何者であるか指図されることなどあってはならないのです』)というタイトルのTEDトークを行った[31][32]。彼女は、ヒラリー・クリントンを支援するトランスジェンダーの人々とその支援者の教育・動員に取り組む、Trans United for Hillaryの運営委員会も務めた[33]

2016年7月28日、2016年民主党全国大会で演説したことで、マクブライドはトランスジェンダーであることをオープンにしている人物で初めて全国党大会で演説した人物になった。彼女のスピーチは4分以下だったが、亡くなった夫のAndrew Crayと彼のLGBTの権利への取り組みに敬意を表した[34]

2019年7月9日、マクブライドはデラウェア州上院英語版への立候補を正式に発表した。サラはヘルスケアと、有給の家族休暇と医療休暇に注力すると述べた[35]

マクブライドは2021年1月にデラウェア上院議員として就任し、アメリカ合衆国で初めてのトランスジェンダーの州上院議員になる予定である。彼女は、任期の終わりで引退する予定の民主党のHarris McDowell III英語版に代わって就任する[5][6][7][8][36]

個人生活[編集]

2014年8月、マクブライドはAndrew Cray英語版が末期がんの診断を受けた後に彼と結婚した。聖公会司教英語: Episcopal Bishop)のジーン・ロビンソン英語版が式典を主宰した。婚姻の4日後、Crayはがんで亡くなった[37]

選挙の履歴[編集]

2020年デラフェア州上院議員選挙英語版、District 1[38]
予備選挙
政党 候補者 得票数 %
Democratic Sarah McBride 7,902 91.3
Democratic Joseph McCole 752 8.7
総票数 8,654 100
総選挙
Democratic Sarah McBride 16,861 73.3
Republican Steve Washington 6,143 26.7
総票数 23,004 100

出典[編集]

  1. ^ “Wilmington native to address DNC”. Delaware Business Times. (2016年7月26日). https://delawarebusinesstimes.com/news/wilmington-native-address-dnc/ 2020年11月3日閲覧。 
  2. ^ Staff”. Human Rights Campaign. 2016年7月27日閲覧。
  3. ^ Sarah McBride”. Human Rights Campaign. 2016年7月27日閲覧。
  4. ^ Epstein (2020年9月15日). “Sarah McBride Is Set to Be the Nation's Highest-Ranking Transgender Official”. The New York Times. 2020年11月8日閲覧。
  5. ^ a b Nagasaka, Yoko (2020年11月4日). “デラウェア州で米国初のトランスジェンダーの議員が誕生” (日本語). ELLE. 2020年11月5日閲覧。
  6. ^ a b Takahashi, Rikako. “ゲイの黒人男性に、トランスジェンダー女性。アメリカで「歴史的初当選」続出” (日本語). BuzzFeed. 2020年11月5日閲覧。
  7. ^ a b 米連邦議会選、上院は共和党が維持へ 下院は民主党維持の見通し」『BBCニュース』。2020年11月5日閲覧。
  8. ^ a b トランスジェンダーを公表する初の州議会上院議員が誕生へ。サラ・マクブライド氏「LGBTQの子供たちに民主主義の重要さを示したい」” (日本語). ハフポスト (2020年11月4日). 2020年11月5日閲覧。
  9. ^ Karlan (2013年6月20日). “Delaware Passes Trans Protections, With Help From A Young Advocate”. BuzzFeed. 2014年4月7日閲覧。
  10. ^ HRC's Sarah McBride, Chad Griffin to Speak at DNC”. Human Rights Campaign. 2016年7月27日閲覧。
  11. ^ At This Week's DNC Sarah McBride Will Become First Openly-Transgender Speaker to Address Major Party”. The New Civil Rights Movement (2016年7月24日). 2016年7月27日閲覧。
  12. ^ “Dems add first transgender speaker to convention lineup”. The Hill. (2016年7月14日). http://thehill.com/blogs/blog-briefing-room/news/289020-hrc-press-secretary-to-be-first-openly-transgender-person-to 2016年7月27日閲覧。 
  13. ^ “HRC's Sarah McBride to become first openly trans person to speak at a major party convention”. Gay Times. https://www.gaytimes.co.uk/news/43588/hrcs-sarah-mcbride-become-first-openly-trans-person-speak-major-party-convention/ 2016年7月27日閲覧。 
  14. ^ Blakely, Rhys (2018年3月17日). “Sarah McBride: is she the transgender woman to change American politics?”. The Times (London, UK). https://www.thetimes.co.uk/article/sarah-mcbride-is-she-the-transgender-woman-to-change-american-politics-3jwtpr690 2018年6月13日閲覧。 
  15. ^ McBride, Sarah (2012年5月1日). “Op-Ed: The Real Me”. The Eagle. https://www.theeagleonline.com/article/2012/05/the-real-me 2020年11月4日閲覧。 
  16. ^ Landau, Lauren (2012年6月8日). “From Tim To Sarah: AU Student Body President Unveils Big News”. WAMU 88.5. http://wamu.org/programs/metro_connection/12/06/08/from_tim_to_sarah_au_student_body_president_unveils_big_news 2014年4月7日閲覧。 
  17. ^ McBride (2012年5月9日). “The Real Me”. The Huffington Post. 2014年4月7日閲覧。
  18. ^ Coming Out Ok”. Born This Way Foundation. 2014年4月7日閲覧。
  19. ^ “Transgender White House intern reflects on Obama's historic LGBT legacy”. The Washington Post. (2015年12月1日). https://www.washingtonpost.com/video/politics/transgender-white-house-intern-reflects-on-obamas-historic-lgbt-legacy/2015/12/01/3844c9e0-9796-11e5-aca6-1ae3be6f06d2_video.html 2016年7月27日閲覧。 
  20. ^ a b Landau (2013年12月20日). “One Woman's Life After Coming Out As Transgender”. WAMU 88.5. 2014年4月7日閲覧。
  21. ^ Jill Biden on LGBT Rights at Human Rights Campaign Dinner”. U.S. Embassy. 2016年7月27日閲覧。
  22. ^ a b c d The McBride Family Talks About Gender Identity Protections”. YouTube (2013年2月11日). 2016年7月27日閲覧。
  23. ^ a b Lavers, Michael (2013年6月25日). “AU graduate credited with securing passage of Del. transgender rights bill”. The Washington Blade. http://www.washingtonblade.com/2013/06/25/au-graduate-credited-with-securing-passage-of-del-transgender-rights-bill/ 2014年4月7日閲覧。 
  24. ^ Rini, Jen (2013年6月19日). “Delaware Senate OKs transgender bill; Markell signs into law”. Delaware State News. http://delaware.newszap.com/centraldelaware/123402-70/delaware-senate-oks-transgender-bill-markell-signs-into-law 2014年4月7日閲覧。 
  25. ^ “Governor Signs Gender Identity Nondiscrimination Act”. State of Delaware News. (2013年6月19日). http://news.delaware.gov/2013/06/19/governor-signs-gender-identity-nondiscrimination-act/ 2014年4月7日閲覧。 
  26. ^ Sarah McBride”. Center for American Progress. 2014年4月7日閲覧。
  27. ^ Sarah McBride in Human Rights Campaign Los Angeles Gala 2015”. Zimbio. 2015年11月17日閲覧。
  28. ^ Honoring the 2013 MVP's (Most Valuable to the Progressive Cause)”. Delaware Liberal (2013年12月31日). 2014年4月7日閲覧。
  29. ^ Meet the Mic 50: Sarah McBride”. Mic. 2015年11月17日閲覧。
  30. ^ “The invisibility of transgender people in electoral politics around the world”. www.newstatesman.com (The New Statesman). http://www.newstatesman.com/politics/elections/2015/11/invisibility-transgender-people-electoral-politics-around-world 2015年11月17日閲覧。 
  31. ^ McBride (2016年4月). “Gender assigned to us at birth should not dictate who we are”. YouTube. 2020年11月8日閲覧。
  32. ^ TEDxMidAtlantic” (英語). tedxmidatlantic.com. 2020年11月8日閲覧。
  33. ^ Green Gard in USA: what is it? What kind of Benefits of Green Card you can get?” (英語). GreenCardinUSA.com. 2019年7月8日閲覧。
  34. ^ Who is Sarah McBride? A transgender activist who broke barriers at the White House.”. Washington Post. 2017年3月25日閲覧。
  35. ^ Mueller (2019年7月9日). “Activist Sarah McBride launches bid for Delaware State Senate seat”. Delaware Public Media. 2020年8月4日閲覧。
  36. ^ Chase, Randall (2020年11月4日). “Delaware elects country's first transgender state senator”. The Peterborough Examiner. The Associated Press (Peterborough ON). https://www.thepeterboroughexaminer.com/ts/news/world/us/2020/11/03/delaware-elects-countrys-first-transgender-state-senator.html 2020年11月4日閲覧。 
  37. ^ “Forever And Ever: Losing My Husband At 24”. The Huffington Post. http://www.huffingtonpost.com/sarah-mcbride/forever-and-ever-losing-my-husband-at-24_b_8038600.html 2015年11月17日閲覧。 
  38. ^ Delaware State Senate District 1”. Ballotpedia. 2020年9月30日閲覧。

関連文献[編集]

  • Reynolds, Andrew (October 15, 2018). The children of Harvey Milk : how LGBTQ politicians changed the world. Oxford University Press. pp. 149–167. ISBN 9780190460952 

外部リンク[編集]