キップフェル
表示
(キプフェルから転送)
キップフェル(ドイツ語: Kipferl, Kipfel)とはドイツやオーストリアの伝統的な焼き菓子、もしくはパン。いずれも三日月型をしており、クロワッサンと同じトルコ軍にまつわる逸話を持つ。
由来
[編集]1683年にトルコ軍の包囲を打ち破ったウィーンで、トルコの国旗の三日月になぞらえて作られた。1770年にマリー・アントワネットがオーストリアからフランスに嫁いだ時にキップフェルを作るパン職人をいっしょに連れて行き、キップフェルはパリ市民に知られるところとなり、20世紀になってパイ生地のようにバターを用いるクロワッサンとなった[1]。
以上のような逸話が知られるが、「三日月型のパン」は第二次ウィーン包囲以前からオーストリアで伝統的に食されていた。1227年にレオポルト公が贈られたクリスマスのごちそうの一つとして三日月型のパンの記録がある。三日月型のパンやペストリーは、月の女神セレーネへの供物として提供されていたと考えられている[2]。
菓子としてのキプフェル
[編集]ヘーゼルナッツパウダーや薄力粉、コーンスターチなどで作られる。たまご、砂糖、牛乳などを入れ、クッキー、もしくはリッチ系のパン生地にして焼き上げる。中にフィリングを挟むこともある。クリスマスに近い待降節の時期にはバニレキプフェル(Vanillekipferl)を作る習慣がある。
パンとしてのキプフェル
[編集]クロワッサンの原型ともいわれるが、オーストリアではバターは使わないリーン系のあっさりしたパンである。南ドイツ、スイス近辺ではクロワッサンのこともキップフェルと呼ぶ。濃い味のハムなどを挟んだり、スープに浸して食べる。
出典
[編集]- ^ 野田浩資「ウィーンのパン屋で生まれたクロワッサン」『音楽家の食卓 :バッハ、ベートーヴェン、ブラームス… 11人のクラシック作曲家ゆかりのレシピとエピソード』誠文堂新光社、2020年、78-79頁。ISBN 978-4416619131。
- ^ “【雑学】クロワッサンの由来はトルコだった?三日月型パンの意外すぎる歴史”. ターキッシュエア&トラベル. 2024年1月24日閲覧。
参考文献
[編集]- 大和田聡子 監修『決定版 世界のパン図鑑 224』平凡社、2013年。ISBN 9784582632170。
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- “初心者のためのクッキー作り講座 ~ウィーンより~”. 地球の歩き方 (2010年11月25日). 2015年3月12日閲覧。