カールスルーエ・シュタットバーンGT8-100D/2S-M形電車

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カールスルーエ・シュタットバーンGT8-100D/2S-M形電車
853(2001年撮影)
基本情報
運用者 アルブタール交通ドイツ語版
製造所 デュワグシーメンスアドトランツ
製造年 1997年 - 2005年
製造数 86両(837 - 922)
運用開始 1997年
投入先 カールスルーエ・シュタットバーン
主要諸元
編成 3車体連接車、両運転台
軸配置 Bo'2'2'Bo'
軌間 1,435 mm
電気方式 直流750 V
交流15 kV 16.7 Hz
架空電車線方式
最高速度 100 km/h
車両定員 215人(着席97人)
217人(着席85人)(845 - 848)
211人(着席93人)(900 - 922)
車両重量 59.8 t
62 t(845 - 848)
全長 37,000 mm
全幅 2,650 mm
床面高さ 880 mm
550 mm(乗降扉付近)
固定軸距 1,900 mm
主電動機 三相誘導電動機
主電動機出力 127 kw
出力 508 kw
備考 主要数値は[1][2][3][4][5][6][7][8]に基づく。
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GT8-100D/2S-M形は、カールスルーエ路面電車カールスルーエ市電ドイツ語版)と鉄道線ドイツ鉄道)を直通運転するトラムトレインカールスルーエ・モデル)で使用されている電車(交直流電車)。従来の車両から車体や機器など複数の改良が加えられている[6][7][8]

概要[編集]

1992年から本格的な営業運転を開始した、カールスルーエ市電と現在のドイツ鉄道を直通するトラムトレイン(カールスルーエ・モデル)で使用される車両のうち、2世代目にあたる形式。両運転台の3車体連接車で、前後車体の端部に設置されている台車に電機子チョッパ制御方式に対応した三相誘導電動機が2基づつ設置されている。この主電動機は1世代目にあたるGT8-100C/2S形が搭載していた直流電動機と比べて小型化しており、次に述べる床上高さの低下にも貢献している。車体も従来の車両からデザインが変更され、先頭部は丸みを帯びている[2][3][6][7]

主電動機の小型化に伴う台車の設計変更に伴い、車内の床上高さは1世代目の車両よりも低い880 mm、乗降扉付近は550 mmとなっている。これにより、乗降時にはプラットホームが低い路面電車区間、ホームが高い鉄道区間の双方ともホームと車両間の段差の高さを減らす事が可能となり、バリアフリーへの対応が行われている。また、台車の軸距も短縮しており、路面電車区間の曲線走行時の摩耗が減少している[2][3][7]

1997年から2005年にかけて86両(837 - 922)が製造され、2022年時点で全車ともアルブタール交通ドイツ語版が所有する。単独での運用に加えて連結運転(総括制御運転)も行われており、GT8-100C/2S形と編成を組む運用も存在する。営業運転時は最大2両(路面電車区間)および3両編成(鉄道区間)で走行する他、設計上は最大5両まで連結する事が可能となっている[8]

車種[編集]

GT8-100D/2S-M形は製造年によって幾つかの設計変更が実施されており、以下のような構造の差異が存在する[2][3][4][5][6][8][9]

  • 837 - 844、849 - 857 - 1997年に製造。
  • 845 - 848 - 1997年に製造。窓の大きさが屋根方向に拡大したパノラマ構造の中間車体が連結されている他、車内には供食設備が設置されており、「レギオビストロ(Regiobistro)」とも呼ばれている。また車内にはトイレが設置されている。
  • 858 - 877 - 1999 - 2000年に製造。
  • 878 - 899 - 2002 - 2003年に製造。中間車体がパノラマ構造となっている。
  • 900 - 922 - 2004 - 2005年に製造。中間車体がパノラマ構造となっている他、長距離区間での運用に対応するため車内にトイレが設置されている。

脚注[編集]

注釈[編集]

出典[編集]

  1. ^ GT8-100D/2S-M”. AVG. 2022年11月28日閲覧。
  2. ^ a b c d Stadtbahnwagen GT8-100D/2S-M”. AVG. 2014年4月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年11月28日閲覧。
  3. ^ a b c d Stadtbahnwagen GT8-100D/2S-M "RegioBistro"”. AVG. 2014年4月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年11月28日閲覧。
  4. ^ a b Stadtbahnwagen GT8-100D/2S-M "Panorama"”. AVG. 2014年4月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年11月28日閲覧。
  5. ^ a b 鹿島雅美「ドイツの路面電車全都市を巡る 10」『鉄道ファン』第46巻第9号、交友社、144-147頁。 
  6. ^ a b c d Jochen Allgeier 2013, p. 454.
  7. ^ a b c d Jochen Allgeier 2013, p. 455.
  8. ^ a b c d Jochen Allgeier 2013, p. 456.
  9. ^ Melissa Betsch (2018年11月10日). “Die liebe Not mit der Notdurft: "Eine Garantie, welche Bahn eine Toilette besitzt, gibt es nicht"”. ka-news.de. 2022年11月28日閲覧。

参考資料[編集]

  • Jochen Allgeier (2013年2月6日). Die Entstehung des Karlsruher Stadtbahnsystems 1957 bis 2004 (Report). 2022年11月28日閲覧