オオバノトンボソウ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
オオバノトンボソウ
福島県浜通り地方 2017年7月
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 単子葉類 Monocots
: キジカクシ目 Asparagales
: ラン科 Orchidaceae
: ツレサギソウ属[1] Platanthera
: オオバノトンボソウ
P. minor
学名
Platanthera minor (Miq.) Rchb.f.[2]
シノニム
和名
オオバノトンボソウ(大葉の蜻蛉草)[4]

オオバノトンボソウ(大葉の蜻蛉草、学名Platanthera minorシノニムPlatanthera sigeyosii)は、ラン科ツレサギソウ属の地生の多年草 [1][4][5][6][7]。別名、ノヤマトンボ[2][6]ノヤマトンボソウ[2][4][5]

特徴[編集]

は紡錘状になり肥厚する。は単一で直立し、高さは25-60cmになり、茎の翼状になる稜が目立つ。は互生し、下方の2-3個が大きく、長楕円形または狭長楕円形で、最下部の葉は長さ7-12cm、幅2.5-3.5cmになる。下部の葉の先端はとがり、縁は全縁、基部は茎を抱き葉柄は無く、トンボソウのような葉鞘は無い。葉の表面は光沢があり、裏面の主脈の下部分が翼状に隆起して茎の翼に続く。茎の中部以上につく葉はしだいに小型になり、披針形になり苞に続く[4][5][6][7]

花期は6-7月。総状花序に黄緑色のを10-25個まばらにつける。は広披針形になる。背萼片は広卵形で長さ4-5mm、側萼片は狭長楕円形で背萼片より長く、強く後方に反り返る。側花弁は半切卵形で背萼片より少し短く、背萼片とともにかぶと状に重なる。唇弁は広線形で長さ6-8mmになり、は長さ12-15mmになり、下方に垂れ、子房より長い[4][5][6][7]

分布と生育環境[編集]

日本では、本州、四国、九州に分布し、暖温帯の日当たりのよい低山や丘陵の疎林内に生育する[4][5][6][7]。国外では、朝鮮半島中国大陸(東部から南部)、台湾に分布する[7][8]

名前の由来[編集]

オオバノトンボソウは「大葉の蜻蛉草」の意で、同属のトンボソウに似て葉が大きいことからきている。種小名 minor は、「より小さい」の意味[5]

牧野富太郎(1940)はオオバノトンボソウの和名を Platanthera sachalinensisオオヤマサギソウ)に移し、本種の和名をノヤマトンボソウと新称した。しかし、和名の混乱を恐れた前川文夫(1961)が元の名に戻した[5]

下位分類[編集]

  • ミクラトンボソウ - Platanthera minor (Miq.) Rchb.f. var. mikurensis Hid.Takah.[9] - 花が小型で距がごく短いもの。伊豆諸島御蔵島から報告されている[7]

ギャラリー[編集]

脚注[編集]

  1. ^ a b 大場『植物分類表』pp.46-48
  2. ^ a b c ノヤマトンボ(オオバノトンボソウ)「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  3. ^ ノヤマトンボ(オオバノトンボソウ)「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  4. ^ a b c d e f 『山溪ハンディ図鑑1 野に咲く花)』p.400
  5. ^ a b c d e f g 『新牧野日本植物圖鑑』p.1068, p.1336
  6. ^ a b c d e 『日本ラン科植物図譜』p.55, p.312
  7. ^ a b c d e f 『改訂新版 日本の野生植物1』p.223
  8. ^ Platanthera minor, eMonocot
  9. ^ ミクラトンボソウ「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)

参考文献[編集]