オイリアンテ

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オイリアンテ』(Euryanthe作品81(J. 291)は、ウェーバーが作曲したドイツ語オペラ。『オイリュアンテ』とも。

台本は中世フランスのロマンス「ジェラール・ド・ヌヴェールと徳高く貞節なウリアン・ド・サヴォワの物語」を元に、ヘルミーナ・フォン・シェジーが書いた。1823年10月25日ウィーンケルントナートーア劇場で初演された。上演には3時間近くを要するが、現在では全編が上演・演奏されることは少なく、序曲が単独で取り上げられることが多い。

序曲[編集]

音楽・音声外部リンク
序曲のみ試聴する
Weber:Euryanthe-Ouvertüre - ダニエル・スミス指揮hr交響楽団による演奏。hr交響楽団公式YouTube。
C.M.von_Weber - 'Euryanthe' Overture - イェジ・サルヴァロフスキ(Jerzy Salwarowski)指揮Orkiestra Opery I Filharmonii Podlaskiejによる演奏。Opery I Filharmonii Podlaskiej公式YouTube。

劇中の旋律を用い、ソナタ形式で構成されている。提示部は変ホ長調の堂々とした第1主題と、変ロ長調でアリア調の第2主題からなる。続いて少数のヴァイオリンによって悲しげな旋律が奏でられる。展開部はフガートで、イ短調から転調を繰り返して緊張を高める。変ホ長調に戻ると形通りの再現部となる。曲全体を付点8分音符+16分音符のリズムが支配することで、軽快な音楽となっている。演奏時間は9分程度。

日本では、徳島県唯一の民放テレビ局である四国放送 (JRT)が、序奏及び結尾部を15秒に編集し、テレビの「徳島新聞ニュース」のテーマ曲として用いており、県内ではタイトル映像の「鳴門海峡渦潮」と結び付けられて県民に広く認知されている。なお徳島県は、日本で最初にベートーヴェンの『第九』が演奏されたところである。

編成[編集]

フルート2、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、ホルン4、トランペット2、トロンボーン3、ティンパニ弦五部

改訂[編集]

本作品はしばしばシェジーによる台本の完成度の低さが指摘され(彼女はその後名誉挽回を狙ってシューベルトに『キプロスの女王ロザムンデ』の附属音楽を依頼したがこれも失敗に終わっている)、全編の演奏にあたっては何度か改訂の試みがなされている。トーヴィーによる改訂版(1902年)がトスカニーニジュリーニらの演奏で採用されているほか、マーラーカルベックによる改訂版(1903年)が存在する。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]