エドワードランディ
『エドワードランディ』は、1990年にデータイーストから開発、販売されたアーケードゲームである。ジャンルはアクションゲーム(サイドビュー方式)。日本国外でのタイトルはThe Cliffhanger Edward Randy。
ストーリー
1930年代、ヨーロッパ某国。「覇怪魔人」と呼ばれ怖れられる大佐がいるその国では、極秘裏に大量破壊兵器の研究が進められていた。自分の行っていた研究の真実を知った老科学者は、大佐に悪用されることを恐れ、研究の中枢を担う石『プリズム』を奪取し、孫娘シャルロッテに託した。プリズムの行方を執拗に追跡する大佐と某国軍。そんなシャルロッテが追い詰められて最後に逃げ込んだのは、恋人ジェニファーとの半年ぶりのデートの準備をしていたエドワード・ランディの家だった。193X年9月14日、何の前触れもなく危険な陰謀に巻き込まれたランディ青年の、長い一日が始まる。
概要
8方向レバー(移動)と2つのボタン(攻撃、ジャンプ)で主人公を操作する。レバーと攻撃ボタンの組み合わせで最大8方向に鞭を振ることが出来る他、レバーを横もしくは斜め下に入れながらジャンプボタンでスライディング、レバー斜め上でダッシュ、ジャンプ中にレバー下で真下方向に踏みつけなど、多彩なアクションを行うことが出来る。画面上にある物体に鞭の先端を引っ掛け、そのままレバーを右(左)方向に入れっぱなしにすることで、大回転攻撃。回転中は本体は無敵で、回転は一度につき最大4周まで行える。全7ステージ×1周、残機なしのライフ制。二人同時プレイ可能。
本作においては、得点が即ち主人公の残り体力となっている。敵を倒して得点を増やせば体力が回復し、ダメージを受ければ体力と共に得点も下がり、残り点数が0になればゲームオーバーとなる。そのためハイスコアは「ゲーム終了時点」ではなく「最も高くなった時点」のものが集計される仕組みになっている。
本作のストーリーは、ステージ間に挿入されるデモ画面によって説明される。また各ステージにはそれぞれサブタイトルがつけられており、ステージ開始時に表示される。
解説
1930年代ヨーロッパを舞台にした、スチームパンク系の世界観を持つ作品である。「いきなりクライマックス」「冒険百連発」等の威勢の良いキャッチコピーに表されるように、息もつかせぬ場面転換が続く「見る者を楽しませる」ことに主眼を置いた構成になっている。
鞭を使う主人公、ナチスを連想させる敵軍隊、複葉機の翼の上に乗っての戦闘など、映画『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』を彷彿とさせる場面が多く、他にも宮崎駿やバスター・キートンなど、過去の映画のパロディ・オマージュが随所に見受けられる。それに加えて、奥行きを感じさせる画面構成や、画面奥の遠景に描かれた様子がその後のステージの流れを予告しているといった、従来のゲームには見られなかった映画的な演出手法が多く用いられており、発売当時から高く評価されていた。ファンから「デコゲー」と呼ばれ、ナンセンス、シュールな世界観で愛されているデータイースト作品の中においては極めて異色のシリアスな雰囲気を持ったゲームで、その独特のゲームデザインは現在でも一部で根強い人気を誇っている。
ゲームとしては、やや特殊な操作形態に加え、得点と連動している一見してわかりづらい体力システムや、非常に派手なステージ構成・演出などから、初心者にはとっつきにくい印象があった。またゲームバランスも、大回転攻撃のみでほぼ全てのシーンが乗り切れてしまうという非常に大味なものとなっており、そういう意味においての完成度は決して高くない。
移植・関連作品
- 1998年にエクシングエンタテイメントからセガサターンに移植されるという話が持ち上がった。しかし、エクシング社の業績不振により企画は頓挫し、以降2008年現在まで、コンシューマーゲームを始めとする他機種には一切移植されていない。
- 1996年にトレジャーから発売されたセガサターン用ゲーム『ガーディアンヒーローズ』には、「エドワード・M・コニャック」「ランディ・M・グリーン」という登場キャラの名前を始めとして、本作の影響を受けたと思われる部分が多々見られる。これはキャラクターデザイナーのHAN(漢炎剣、元ゲーメストライター)が、本作の熱烈なファンであったためと言われている。また同じくHANが制作に携わったメガドライブ用ゲーム『ガンスターヒーローズ』も、演出面において本作から多大な影響を受けたと、HAN自身が発行した同人誌で語っている。
- 1999年にカネコが制作したアーケードゲーム『線脳』では、他社の作品であるにも関わらず、CPUキャラとしてエドワード・ランディが登場している。
- 2007年に発売されたプレイステーション・ポータブル用ソフト『フェイト/タイガーころしあむ』のストーリーモード・葛木宗一郎編の各話サブタイトルは、本作の各ステージサブタイトルに酷似している。