エドウィン・スミス・パピルス
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エドウィン・スミス・パピルス(Edwin Smith Papyrus)は、古代エジプトの外傷手術に関する書物(パピルス)。紀元前17世紀頃記述されたと考えられるが、記述されている医療知識はそれ以前1000年ほど前の間に培われたものと考えられている。神官文字を使って書かれた。
世界でも最初期の医学書で、人体解剖的研究、診断、治療、予後診断などが多数記されている。頭蓋縫合、髄膜、脳外部表面、脳脊髄液、頭蓋内振動(intracranial pulsation)、心臓が血管と接合されていること、血管により空気が運ばれること、肝臓、脾臓、腎臓、尿管、膀胱などについての記述がある。
また、縫合して傷口を閉じる、ハチミツと古いパンで感染を防ぎ治療する、生肉で出血を止めるといった治療法が記載されている。[1]
歴史
[編集]- 1862年、エドウィン・スミス(Edwin Smith、考古物貿易商)はルクソール(エジプト)で、ムスタファ・アガ(Mustapha Aga)と名乗る商人から購入。
- 1906年、エドウィン・スミス他界。彼の娘はニューヨーク歴史協会(New-York Historical Society)にパピルスを移譲する。
- 1920年、協会は、ジェームズ・ブレスティッド(James Breasted)に翻訳を依頼。
- 1930年、翻訳終了。
- 1938年、スミス・パピルスは、ブルックリン美術館に移譲。
- 1948年、パピルスはニューヨーク医学会(New York Academy of Medicine )に移譲される。
- 2005年9月13日 - 2006年1月15日、メトロポリタン美術館にて、1948年以来初めて公開される。
脚注
[編集]- ^ 『ハチミツの歴史』株式会社原書房、2017年12月20日、115頁。
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- The Edwin Smith Surgical Papyrus
- Ancient Egyptian Medicine
- Medicine In Ancient Egypt
- Cybermuseum of Neuro Surgery
- History of Medicine
- Bishoy Morris, Surgery on papyrus
- The New York Academy of Medicine
- Wolfgang Kosack "Der medizinische Papyrus Edwin Smith." The New York Academy of Medicine Inv. 217; Neu in Hieroglyphen übertragen, übersetzt und bearbeitet: Berlin 2011; Christoph Brunner, Basel 2012, ISBN 978-3-033-03331-3.
- 鈴木 哲哉、1970、「古代の医薬に関する文献」、『臨床薬理』1巻1号、日本臨床薬理学会、ISSN 1882-8272、doi:10.3999/jscpt.1.46 pp. 46-54
- 鈴木 哲哉、1970、「古代の医薬に関する文献 (2) エドウイン・スミスのパピルス」、『臨床薬理』1巻2号、日本臨床薬理学会、ISSN 1882-8272、doi:10.3999/jscpt.1.135 pp. 135-140
- 鈴木 哲哉、1970、「古代の医薬に関する文献 (3)」、『臨床薬理』1巻3-4、日本臨床薬理学会、ISSN 1882-8272、doi:10.3999/jscpt.1.272 pp. 272-275
- 鈴木 哲哉、1971、「古代の医薬に関する文献(4)」、『臨床薬理』2巻1号、日本臨床薬理学会、ISSN 1882-8272、doi:10.3999/jscpt.2.94 pp. 94-98