ウダイカンバ

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ウダイカンバ
Betula maximowiczii 136-8337.jpg
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
階級なし : バラ類 rosids
階級なし : マメ類 fabids
: ブナ目 Fagales
: カバノキ科 Betulaceae
: カバノキ属 Betula
: ウダイカンバ B. maximowiczian
学名
Betula maximowicziana Regel1868[1]
シノニム

Betula maximowiczii Rupr.[1]

和名
ウダイカンバ
英名
monarch birch

ウダイカンバ(学名 : Betula maximowicziana)は、カバノキ科カバノキ属の木。マカバ(真樺)、マカンバとも呼ばれる。

形態[編集]

葉は広卵形。樹皮は、灰褐色から黄褐色で重厚感があり、横長の皮目がある。樹高30m、胸高直径1mに達する。ウダイカンバは遺伝子的には北海道から東北北部に分布する北部集団、東北南部から本州中部に分布する南部集団の2つに分けられるといい、北上山地などには両者の混在する地域があるという[2]

生態[編集]

大木は急斜面の上部で土壌がB型の場所に多いという[3]

陽樹。山火事跡地や伐採跡地など何らかの原因で無立木地になったところに侵入して素早く成長する。ウダイカンバは埋土種子を形成し土壌中に大量の休眠した種子を蓄え[4] 好適な条件になるのを待っている。5年間埋土したものであっても50%以上の種子が発芽するという報告もある[5]。このような状態では地表の土壌やササを除去してやるだけで大量に発芽してくるという[6][7]

大型の蛾であるクスサン (Caligula japonica)は様々な植物の葉を食べるが、シラカンバと比較したときにウダイカンバを食べたほうが体重の増加がよく餌資源として魅力的であるという報告がある[8]

人間との関係[編集]

素材としてねじれが少なく強度も高く加工しやすいことなどから、広く住宅建材、家具楽器などの原材料に利用。変わったところではピアノのハンマー、第二次世界大戦末期には航空機のプロペラにも採用された[9]

ウダイカンバは、材質的に心材(年輪の中心付近)が淡い赤みを帯びた褐色であり、見栄え次第では高額で取引されるなど珍重されてきた。その色合いから家具業界では敢えてサクラと呼ぶこともある[10]。一方、ウダイカンバの中でも褐色の心材の割合が低く白色気味の辺材(樹皮に近い部分)が多い木材は、そのコントラストから鳥類のメジロの名をかけてメジロカンバもしくはメジロカバと呼び分けられ、木目で評価される突板などに使われていたが、一般的なウダイカンバと比較すると安い価格で流通するケースも見られた。しかし21世紀に入り、天然林の伐採量の減少から流通量も減少したこと、風合いも評価されるようになったことから高級材として扱われている[11][出典無効]

名前[編集]

樹皮は少々濡れても燃えることから松明にも用いられ、鵜飼いの松明(鵜松明)から転じてウダイという名が付けられたとされる。アイヌ語で「本当の樺の皮が採れる木」という意味でシタッニとも呼ばれていた。樹皮は、北海道ではガンピと呼ばれて靴底や焚き付けに使われてきたが、高級紙の原材料であるガンピ(ジンチョウゲ科ガンピ属の落葉低木)とは異なることに注意[12]

脚注[編集]

  1. ^ a b Betula maximowicziana Tropicos
  2. ^ 津田吉晃 (2014) 日本の森林樹木の地理的遺伝構造(4)ウダイカンバ(カバノキ科カバノキ属). 森林遺伝育種3(1), p.23-29. doi:10.32135/fgtb.3.1_23
  3. ^ 真田悦子・塩崎正雄 (1988) ウダイカンバ大径木の生育立地(会員研究発表講演). 日本林学会北海道支部論文集36. doi:10.24494/jfshb.36.0_146
  4. ^ 渡辺一郎・滝谷美香・大野泰之 (2006) 厚真町広葉樹二次林での植生と埋土種子相の関係(会員研究発表論文). 日本森林学会北海道支部論文集54, p.30-32. doi:10.24494/jfsha.54.0_30
  5. ^ 水井憲雄 (1993) 林床に5年間埋めた広葉樹種子の発芽力(会員研究発表論文). 日本林学会北海道支部論文集41, p.187-189. doi:10.24494/jfshb.41.0_187
  6. ^ 後藤晋・津田智 (2007) ウダイカンバ二次林の資源保続に向けた地はぎ処理の試み. 日本森林学会誌89(2), p.138-143. doi:10.4005/jjfs.89.138
  7. ^ 杉田久志・猪内次郎・昆健児・岩根好伸・田口春孝・大石康彦 (2008) 強度間伐および重機による地表撹乱を行ったカラマツ人工林におけるウダイカンバの更新と成長. 東北森林科学会誌13(1), p.8-15. doi:10.18982/tjfs.13.1_8
  8. ^ 菊池伸哉・松木佐和子 (2010) クスサン幼虫の樹種選好特性 —北海道と岩手県のクスサン個体群における事例—. 東北森林科学会誌15(2), p.64-67. doi:10.18982/tjfs.15.2_64
  9. ^ “マカバ”. 木材図鑑 (木材博物館). http://www.wood-museum.net/makaba.php 2014年11月12日閲覧。 
  10. ^ “マカンバ”. 木材図鑑・マカンバ (府中家具協同工業組合). http://www.fuchu.or.jp/~kagu/mokuzai/kaba.htm 2014年11月12日閲覧。 
  11. ^ “13本で90万円!高級木メジロカバ違法伐採 容疑で4人逮捕”. 共同通信社. (2011年11月21日). http://www.47news.jp/news/2011/11/post_20111121110850.html 2014年11月12日閲覧。 
  12. ^ 渡辺資仲「ガンピ」『新版 林業百科事典』第2版第5刷 p128 日本林業技術協会 1984年

関連項目[編集]

外部リンク[編集]