アバード・モンカー

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アバード・モンカー Portal:陸上競技
選手情報
ラテン文字 Avard Moncur
国籍 バハマの旗 バハマ
競技 陸上競技短距離走
種目 400m
大学 アメリカ合衆国の旗 オーバーン大学
生年月日 (1978-11-02) 1978年11月2日(45歳)
生誕地 バハマの旗 ナッソー
身長 193cm
体重 87kg
成績
オリンピック 400m:準決勝1組5着(2000年
4x400mR:3位(2000年)
世界選手権 400m:優勝(2001年
4x400mR:優勝(2001年)
地域大会決勝 コモンウェルスゲームズ
400m:3位(2002年
4x400mR:途中棄権(2006年
最高世界ランク 400m2位(2001年)
自己ベスト
200m 20秒89(2005年)
400m 44秒45(2001年)
400mハードル 53秒23(2007年)
獲得メダル
陸上競技
バハマの旗 バハマ
オリンピック
2008 北京 4x400mR
2000 シドニー 4x400mR
世界選手権
2001 エドモントン 400m
2001 エドモントン 4x400mR
2005 ヘルシンキ 4x400mR
2007 大阪 4x400mR
2003 パリ 4x400mR
コモンウェルスゲームズ
2002 マンチェスター 400m
グッドウィルゲームズ
2001 ブリスベン 4x400mR
2001 ブリスベン 400m
パンアメリカン競技大会
2007 リオデジャネイロ 4x400mR
中央アメリカ・カリブ選手権
2003 セントジョージズ 4x400mR
2011 マヤグエス 4x400mR
2008 カリ 4x400mR
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アバード・モンカーAvard Moncur1978年11月2日 ‐ )は、バハマナッソー出身で短距離走が専門の元陸上競技選手。400mで44秒45(バハマ歴代3位)の自己ベストを持つ元バハマ記録保持者。400mでは2001年エドモントン世界選手権でバハマ勢初の金メダルを獲得。4×400mリレーでは2001年エドモントン世界選手権の金メダルをはじめ、オリンピック世界選手権を通じて6つのメダルを獲得した。

経歴[編集]

2000年[編集]

6月3日、全米学生選手権(NCAA選手権)の男子400mで44秒72のバハマ記録(当時)を樹立し、1996年にトロイ・マッキントッシュ英語版がマークした44秒73を0秒01更新した[1]。その後、モンカーは自身のバハマ記録を44秒45まで縮めたが、この記録は2008年6月6日にクリス・ブラウンによって更新された。

9月、シドニーオリンピックの男子400mと4×400mリレーに出場。バハマ記録保持者として臨んだ400mは準決勝まで進出したものの、準決勝では45秒18の組5着に終わり、決勝に進出できる組4着とは0秒01差で惜しくも決勝進出を逃した[2]。4×400mリレーでは決勝でバハマチームの1走を務め[注 1]、2分59秒23をマークしての4位(当時)に貢献した[3]。その後、優勝したアメリカはメダルを剥奪され[注 2]、バハマは繰り上がりで銅メダルを獲得した。

2001年[編集]

6月、全米学生選手権の男子400mを44秒84で制して2連覇を達成した[4]

8月、エドモントン世界選手権の男子400mと4×400mリレーに出場。400mでは7月に44秒45のバハマ記録を樹立した勢いそのままに、予選を唯一の44秒台となる44秒88で突破すると[5]、準決勝も44秒台の44秒89で突破し[6]、初出場ながら決勝に進出した。決勝では今大会で一番良いタイムの44秒64をマークし、インゴ・シュルツ(44秒87)やグレッグ・ホートン(44秒98)らを破り優勝した[7]。この種目でバハマ人がメダルを獲得したのはこの時が初めてで[注 3]、金メダル獲得は男女通じてバハマ勢初の快挙だった。4×400mリレーでは決勝でバハマチームの1走を務めると[注 4]、2分58秒19のバハマ記録(当時)を樹立しての2位(当時)に貢献し、世界選手権のリレー種目でバハマ男子勢初のメダルを獲得した[注 5]。その後、優勝したアメリカはメダルを剥奪され[注 6]、バハマは繰り上がりで金メダルを獲得した。

2003年[編集]

8月、パリ世界選手権の男子400mと4×400mリレーに出場。前回大会の金メダリストとして臨んだ400mは、準決勝で45秒65の組6着に終わり敗退した[8]。4×400mリレーでは決勝でバハマチームの1走を務めると[注 7]、3分00秒53をマークしての4位(当時)に貢献した[9]。その後、優勝したアメリカはメダルを剥奪され[注 6]、バハマは繰り上がりで銅メダルを獲得した。

2005年[編集]

8月、ヘルシンキ世界選手権の男子4×400mリレー決勝でバハマチームの2走を務めると[注 8]、2分57秒32のバハマ記録(当時)を樹立しての銀メダル獲得に貢献した[10]

2007年[編集]

8-9月、大阪世界選手権の男子400mと4×400mリレーに出場。2003年パリ大会以来の出場となった400mは準決勝を全体8位の44秒86で突破し、タイムで拾われる最後の枠で決勝に進出したが[11]、2001年エドモントン大会以来となった決勝は45秒40の8位に終わった[12]。4×400mリレーでは決勝でバハマチームの1走を務めると[注 9]、2分59秒18をマークしての銀メダル獲得に貢献した[13]

2008年[編集]

8月、北京オリンピックの男子4×400mリレー予選でバハマチームの2走を務め[注 10]、2分59秒88をマークしての決勝進出に貢献した[14]。決勝でバハマは2分58秒03をマークして銀メダルを獲得し、予選だけに出場したモンカーも銀メダルを手にした。

自己ベスト[編集]

記録欄の( )内の数字は風速m/s)で、+は追い風を意味する。

種目 記録 年月日 場所 備考
屋外
200m 20秒89 (+1.8) 2005年5月7日 アメリカ合衆国の旗 アセンズ
400m 44秒45 2001年7月7日 スペインの旗 マドリード バハマ歴代3位
元バハマ記録
400mハードル 53秒23 2007年3月3日 アメリカ合衆国の旗 タラハシー
室内
400m 46秒35 2001年3月10日 アメリカ合衆国の旗 フェイエットビル

主要大会成績[編集]

備考欄の記録は当時のもの

大会 場所 種目 結果 記録 備考
1995 カリフタゲームズ (U20) (en ケイマン諸島の旗 ジョージタウン 400m 優勝 47秒40
400mH 7位 56秒09
4x400mR 2位 3分15秒69 (4走)
1996 カリフタゲームズ (U20) (en ジャマイカの旗 キングストン 400m 2位 47秒10
中米カリブジュニア選手権 (en エルサルバドルの旗 サンサルバドル 400m 2位 47秒09
4x100mR 3位 41秒51 (4走)
1997 カリフタゲームズ (U20) (en バルバドスの旗 ブリッジタウン 400m 優勝 46秒90
パンアメリカンジュニア選手権
 (en
キューバの旗 ハバナ 400m 2位 46秒46
4x100mR 3位 40秒77 (2走)
4x400mR 2位 3分09秒11 (4走)
1999 パンアメリカン競技大会 (en カナダの旗 ウィニペグ 400m 8位 45秒60
4x400mR 決勝 DNS
2000 オリンピック オーストラリアの旗 シドニー 400m 準決勝 45秒18
4x400mR 3位 2分59秒23 (1走) 大会終了後に4位から繰り上がり
2001 世界選手権 カナダの旗 エドモントン 400m 優勝 44秒64
4x400mR 優勝 2分58秒19 (1走) バハマ記録
大会終了後に2位から繰り上がり
グッドウィルゲームズ (en オーストラリアの旗 ブリスベン 400m 3位 45秒56
4x400mR 2位 3分01秒67 (4走)
2002 コモンウェルスゲームズ (en イギリスの旗 マンチェスター 400m 3位 45秒12
グランプリファイナル (en フランスの旗 パリ 400m 4位 44秒97
2003 世界室内選手権 イギリスの旗 バーミンガム 4x400mR 予選 DQ (2走)
中米カリブ選手権 (en グレナダの旗 セントジョージズ 4x400mR 優勝 3分02秒56 (1走)
世界選手権 フランスの旗 パリ 400m 準決勝 45秒65
4x400mR 3位 3分00秒53 (1走) 大会終了後に4位から繰り上がり
2005 世界選手権 フィンランドの旗 ヘルシンキ 4x400mR 2位 2分57秒32 (2走) バハマ記録
2006 コモンウェルスゲームズ (en オーストラリアの旗 メルボルン 400m 準決勝 45秒72
4x400mR 決勝 DNF (2走)
2007 パンアメリカン競技大会 (en ブラジルの旗 リオデジャネイロ 400m 6位 45秒51
4x400mR 優勝 3分01秒94 (2走)
世界選手権 日本の旗 大阪 400m 8位 45秒40
4x400mR 2位 2分59秒18 (1走)
2008 中米カリブ選手権 (en コロンビアの旗 カリ 4x400mR 2位 3分02秒48 (3走)
オリンピック 中華人民共和国の旗 北京 4x400mR 予選 2分59秒88 (2走) 決勝進出[注 11]
2009 世界選手権 ドイツの旗 ベルリン 4x400mR 予選 DQ (2走)
2011 中米カリブ選手権 (en プエルトリコの旗 マヤグエス 4x400mR 優勝 3分01秒33 (2走)
世界選手権 大韓民国の旗 大邱 4x400mR 予選 3分01秒54 (2走)

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ オーダーは、モンカー、トロイ・マッキントッシュ、Carl Oliver、クリス・ブラウン。
  2. ^ アントニオ・ペティグルージェローム・ヤングのドーピング処分により。
  3. ^ 女子は1995年イェーテボリ大会ポーリン・デービス=トンプソンが銀メダルを獲得していた。
  4. ^ オーダーは、モンカー、クリス・ブラウン、トロイ・マッキントッシュ、Timothy Munnings
  5. ^ 女子は1999年セビリア大会の4×100mリレーで金メダルを獲得していた。
  6. ^ a b アントニオ・ペティグルーのドーピング処分により。
  7. ^ オーダーは、モンカー、Dennis DarlingNathaniel McKinney、クリス・ブラウン。
  8. ^ オーダーは、Nathaniel McKinney、モンカー、アンドレ・ウィリアムズ英語版、クリス・ブラウン。
  9. ^ オーダーは、モンカー、マイケル・マシュー、アンドレ・ウィリアムズ、クリス・ブラウン。
  10. ^ オーダーは、マイケル・マシュー、モンカー、ラモン・ミラー、アンドレ・ウィリアムズ。
  11. ^ 予選のみ出場。バハマは決勝で2分58秒03の2位。

出典[編集]

  1. ^ The Bahamas' tradition of quarter-milers”. The Nassau Guardian (2012年4月3日). 2015年1月5日閲覧。
  2. ^ 第27回オリンピック男子400m準決勝リザルト”. 国際陸上競技連盟. 2016年2月15日閲覧。
  3. ^ 第27回オリンピック男子4×400mリレー決勝リザルト”. 国際陸上競技連盟. 2016年2月15日閲覧。
  4. ^ Vols cruise in final event to win third men's track crown”. 全米大学体育協会 (2001年6月18日). 2016年2月15日閲覧。
  5. ^ 第8回世界選手権男子400m予選リザルト”. 国際陸上競技連盟. 2016年2月15日閲覧。
  6. ^ 第8回世界選手権男子400m準決勝リザルト”. 国際陸上競技連盟. 2016年2月15日閲覧。
  7. ^ 第8回世界選手権男子400m決勝リザルト”. 国際陸上競技連盟. 2016年2月15日閲覧。
  8. ^ 第9回世界選手権男子400m準決勝リザルト”. 国際陸上競技連盟. 2016年2月15日閲覧。
  9. ^ 第9回世界選手権男子4×400mリレー決勝リザルト”. 国際陸上競技連盟. 2016年2月15日閲覧。
  10. ^ 第10回世界選手権男子4×400mリレー決勝リザルト”. 国際陸上競技連盟. 2016年2月15日閲覧。
  11. ^ 第11回世界選手権男子400m準決勝サマリー”. 国際陸上競技連盟. 2016年2月15日閲覧。
  12. ^ 第11回世界選手権男子400m決勝リザルト”. 国際陸上競技連盟. 2016年2月15日閲覧。
  13. ^ 第11回世界選手権男子4×400mリレー決勝リザルト”. 国際陸上競技連盟. 2016年2月15日閲覧。
  14. ^ 第29回オリンピック男子4×400mリレー予選リザルト”. 国際陸上競技連盟. 2016年2月15日閲覧。

外部リンク[編集]

記録
先代
トロイ・マッキントッシュ
(44秒73)
1996年6月9日
男子400m
バハマ記録保持者
(44秒72 - 44秒45)

2000年6月3日 - 2008年6月6日
次代
クリス・ブラウン
(44秒45・44秒40)
タイ記録:2007年8月31日
新記録:2008年6月6日
功績
過去
なし
世界選手権400m
バハマ人金メダリスト

2001 エドモントン
2人目
トニーク・ウィリアムズ=ダーリン
2005 ヘルシンキ
過去
なし
世界選手権男子400m
バハマ人メダリスト
(金メダル)

2001 エドモントン
2人目
スティーヴン・ガーディナー
(銀メダル)
2017 ロンドン