アルザスワイン


アルザスワイン(仏: Vin d'Alsace、英: Alsace wine)は、フランス北東部にある旧アルザス地域圏で生産されるワインの総称である。主な生産地は、ライン川とヴォージュ山脈に挟まれた地域で、AOCは、アルザスと、1975年に制定された高級品のアルザス・グラン・クリュがある。
特長[編集]
アルザス地方は歴史的・文化的にドイツとの関係が深く、また気候もフランスのワイン産地の中では一番寒くドイツに似ているため、栽培されているぶどう品種もドイツ系品種が多く、アロマが豊かな白ワインが多いのもドイツワインによく似ている。ボトルも、細長くて明るい緑色のもので、一見するとモーゼルワインとそっくりである。ただし、味わいは、ドイツ産に甘口のものが多いのに対し、アルザスワインはすっきりとした辛口がほとんどである[1]。フランスのほとんどの高級ワインは、地域名より細かい地区名や村名などが明記されたものが多いが、アルザスでは、品種名が書かれていることが多い。主な品種は次の通りである。
- リースリング(Riesling) - ドイツでもモーゼルやラインガウなどの最高級ワインになる品種で、上品な香りと力強い味わいがある。
- ゲヴュルツトラミネール(Gewürztraminer) - ゲヴュユルツはドイツ語でスパイスの意味。ばらの花やライチの香りと評される強いアロマが特長。
- ピノ・グリ(Pinot Gris) - ブルゴーニュの赤ワインを生むピノ・ノワールの枝変わり品種。灰紫色の果皮をもち、ワインにはコクがある。
- ミュスカ(Muscat) - いわゆるマスカット。新たにグランクリュ指定を受けた村ではグランクリュへの使用がみとめられないことも。
上の4種が、グラン・クリュにセパージュ表記できる品種である。また、果汁1Lあたりの糖の最低含有量が一定以上であれば、ヴァンダンジュ・タルディヴ(遅摘み)、セレクション・グラン・ノーブル(粒選り摘み、貴腐)と付記することができる。
- ピノ・ノワール(Pinot Noir) - ブルゴーニュの代表的な赤ワイン用ぶどう品種。アルザスでは、明るい朱色で、イチゴのようなアロマがあるが、ライト・ボディのワインになる。
- ピノ・ブラン(Pinot Blanc) - ドイツではヴァイスブルグンダー(Weissburgunder)と呼ばれる。一般的に軽やかで穏やかな香りで、ややアルコール感が出やすい。実際はアルコール感の出るオクセロワが使われているのがほとんどで、100%ピノ・ブランで作られたワインは、フルーティなワインとなる。
- シルヴァネール(Sylvaner) - リースリングと並ぶドイツの代表的なぶどう品種。
- サヴァニャン・ローズ(Savagnin rose) - 特定地理名称付アルザス・クレヴネール・ド・ハイリゲンシュタインのみに使用される。
- シャルドネ(Chardonnay)- クレマン・ダルザスにのみ使用可能。
スパークリングワイン[編集]
AOCのクレマン・ダルザスCrément d'Alsaceは、シャンパーニュと同じ瓶内二次発酵(メトード・トラディショネル)方式で作られ、酸味がたち、さわやかな味わいのスパークリングワインである。アルザスワインのなかでは唯一シャルドネを使用することも可能である。
料理との相性[編集]
アルザスのワインは、香りは高いが、味わいは軽くおとなしいものが多い。よく冷やして、軽くさっぱりした味付けの料理と一緒に飲むと良い。
アルザス料理店ではシュークルート(ザワークラウト)やベッコフなどと合わせる事が推奨されるように、豚肉料理やソーセージとの相性も決して悪くない。
関連項目[編集]
脚注[編集]
- ^ 近年は、有機栽培や減農栽培された葡萄で造られた赤ワインが、今までの軽めなアルザスの赤ワインのイメージを覆す味わいが楽しめ、注目されている