アランドラ
ジャンル | アクションロールプレイングゲーム |
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対応機種 |
プレイステーション[PS] ゲームアーカイブス[GA] |
開発元 | マトリックス |
発売元 | ソニー・コンピュータエンタテインメント |
ディレクター | 大堀康祐 |
デザイナー | 折茂賢司 |
シナリオ | 手塚一郎 |
音楽 | 田中公平 |
美術 | 玉木美孝 |
人数 | 1人 |
メディア | [PS]CD-ROM |
発売日 |
[PS]1997年4月11日 [GA]2007年10月10日 |
対象年齢 | CERO:A(全年齢対象) |
『アランドラ』 (Alundra) は、1997年4月11日にソニー・コンピュータエンタテインメントから発売されたプレイステーション用アクションRPGである。
概要[編集]
夢を題材にしたアクションアドベンチャーゲーム。主人公は「夢に導かれた少年」アランドラ。プレイヤーは彼を操り、フィールドやダンジョンでモンスターと戦っていくことになる[1]。
物語は陰鬱の雰囲気の漂うダーク・ファンタジー。また、異様に死者が多く、物語が進むにつれ、救えずに亡くなってしまう人物も多い。しかしこれらは命をおもちゃの如く扱うのではなく、物語の中心地である村の墓場では、ゲーム中で死んだ人達の墓へ弔いの言葉とともに花が添えられてあるという、死者に対する追悼の意も表現されている。
製作は『トルネコの大冒険』などを手がけたマトリックス (Matrix Software) であり、クライマックスと共に開発した『ランドストーカー』の世界観と共通点もみられる。ゲーム中のサウンドには作曲家の田中公平の作品が使用されている。シナリオはスタジオベントスタッフの手塚一郎。
キャラクターデザインは『フェーダ』、『シャイニング・フォース』等に携わった玉木美孝が手がけている。
ストーリー[編集]
それは王国から偶像崇拝を禁じられた世界。その世界に住む人々はなにかを作り出す創造力を失ってしまったが、人々はその代償に自分の望む夢を見ることができるようになった。しかしそのせいで、自分の精神が創り出した悪夢や夢魔に憑りつかれ苦しむ人々も現れはじめる。
そんな中、人の夢の世界に入り込むことができるまどろみの一族の一人アランドラが夢に苦しむ人々を救う旅に出る。
イノアの村の周辺の世界[編集]
- ソレイディア王国とメルザス
- トレアの都を首都とするソレイディア王国はイノアの村を内包する王国である。王国を治めるクァーデス三世は神の信者であったためかつての神であったニルードから民の心が離れていくことを苦しく思っていた。そして彼は異星から飛来したメルザスを新たな神として崇めるようになった。
- イノアの村
- トレアの都からはるか西方に位置する。寒村であるが、メルザスが飛来したのはこの近辺だといわれる。
- 信仰と神の力
- 神の力はいつでも絶対的なものではなく人々の信仰なくしては神の力は弱まってしまう。王国より、神をかたどった偶像の崇拝が禁止され人々の神への関心は薄れていった。神の存在が危うくなったころメルザスはこれに激怒し人々から創造の力を奪い悪夢により人々を苦しめ、人々に恐怖の神としてメルザスを信仰させようとしたのであった。
- エルナ
- エルナとは人々の夢の中に入りこむことの出来る力を持ったまどろみの一族のこと。力の覚醒によって悪夢に対峙する物の総称である。
シナリオの特徴[編集]
『MOTHER3』や『どうぶつの森』などと同様、一定の場所にスポットを当て、その限られた場所に生活する登場人物のドラマを時間の蓄積と共にプレイヤーが傍観者的な立場で感情移入を深めていく構成となっている。
システム[編集]
アランドラは「夢潜り」で人の夢に入り込める能力を持ち、夢の中のダンジョンに巣食う悪夢を退治する事が主な目的となる。
最大HPは「命の器」、最大MPは「マジックシード」を入手することで上昇する。また、剣で草を刈るとコインやハートが出現したり、爆弾で壁を破壊できる、物を持ち上げて投げることが可能など、ゲームシステムが『ゼルダの伝説』と非常に類似している。
アクションと謎解きの難易度はいずれも非常に高い。
建築物・ダンジョン[編集]
- クラーク号
- ゲームのスタート地点、アランドラはこの船に乗り合わせていた。
- イノアの村
- アランドラが世界を救うべく活動を行う拠点。 名産品はイノアの火酒、ゲーム後半に携行できない完全回復アイテムとして登場する。
- 教会
- イノアの村の北に位置する教会、地下には邪神メルザスが祭られている。
- ターラスの館
- アランドラ含むまどろみの一族について記された、エルナの書が保管されている。
- 夢の中
- 主に悪夢が巣食っていて退治する場合が多い。一度入ったら、ボスを倒すまで出られない。また、その後は二度と入る事は出来ないため、クリア時、金のくちばしや命の器など、取り忘れた宝箱があると、回収不能になる。
- プレイヤーが精神世界を体感するために、BGMは基本的に不共和音を意識した気味の悪い曲が流れるが、例外としてクラインの夢だけは美しい音色の冬景色を思わせる曲である。このクラインの悪夢は難解なパズルを解かなければ先に進めない構成であり、プレイヤーの集中力をかき乱すような気味の悪いBGMや、鬱になるようなイベントは使用されていない。
- 炭鉱
- イノアの村の北に位置する炭鉱、住民の悪夢によって破壊される。
- お袋
- ワールドマップ最北端に位置する神殿。
- まだ死ぬべきではない人の黄泉の国からの帰還をお祈りする場所。
- お袋という名前は生命の象徴である母親の子宮を意味している。
- バー・リバーサイド
- イノアの村のすぐ西に位置する酒場、ストーリー後半に手に入る入場券を使ってミニゲーム場に入ることができる。
- コーヘイの家
- BGMの作曲者である田中公平と思われる人物(コーヘイ)の住む家、いわゆるBGMプレーヤーである。
- 妖精の住まう池
- 妖精の女王スティーナが悪魔を監視するために隠れている池。イノアの村の西方に位置する。
- 炎の館
- 炎の杖を納めた館。炎の力を使うにふさわしい物の来訪を望んでいる。
- 氷の館
- 氷の杖を納めた館。
- デジナ砂漠
- 古の神殿へ通じる砂漠。砂漠内に存在する祠で契約を交わすとワープゲートが利用できる。
- 古の神殿
- デジナ砂漠の砂嵐の向こう側に見える神殿。
- トーラ火山
- マップ北東に位置する火山
- 迷いの森
- マップ北西に位置する森林、ムルータという白いサルが巨大な砦を築いている。
- 大樹の塔
- ムルータたちの住む塔。ムルータの王ザザンが治めている。
- リザードマンの洞窟
- リザードマンたちの住む洞窟。
- 雪王の碑
- 伝説の剣豪雪王を祭る石碑、一定条件を満たすと最強である武器「雪王の剣」が手に入る。
- 湖の神殿
- 邪神メルザスのいる神殿。
登場キャラクター[編集]
- アランドラ
- 本作の主人公。大陸の遥か南に位置するガリア海の名もなき小さな島に生まれ育つ。夢に入れるまどろみの一族で、夢に入って悪夢と戦う。イノアの村で夢の研究をしているセクタスと出会ったアランドラは、彼の助力の元、自分が「他人の夢の中を自由に出入りできる能力」を持つエルナとして覚醒することになる。同時に大きな運命に巻き込まれていく事になる。
- アンゼス
- 海岸に打ち上げられたアランドラを保護する。アランドラの父親的存在。妻子を亡くしていて、アランドラを実の息子のように思っている。
- メディアム
- アランドラ同様にまどろみの一族である少女。村人を悪夢から救う方法と考え方の相違により、アランドラ・セクタスと敵対するが、悪夢との戦いの中、態度が変化。良き協力者となる。
- ドルダス
- アランドラを乗せていたクラーク号の船長。
- シヴィル
- 目覚めていながら夢を見る、不思議な少女。その夢は予知夢である。アランドラを信じ、予知夢を見るたびにその内容を伝える。
- ユステル
- 水晶占いを生業とする村の長老的存在。
- オーレン、ルイック、ヌインダ、ズーリム
- 炭鉱で働く鉱夫。
- セクタス
- 夢を研究する若者。ターラスの後継者であると信じている。
- ターラス
- ターラスの館の主でもある、夢の研究者。
- ロエイン
- イノアの村で教えを説く聖職者。あまりに狂信的な彼は都からの布教の名の下、追放に近い形で送り出された。
- ボージス
- 女性をわがままで自分勝手なものと考え、夢の中に創りあげた恋人、サーティと愛を語り合っている。
- ナーシア
- ボージスに思いをよせる女性。眠ると現実世界のものを破壊してしまう。
- ゴウセル
- ロエインに従う男。妹のキーシャと暮らす。狂信者で、アランドラを悪魔だと罵る。
- クライン
- イノアの村の狩人。必要以上に生物を傷つけることを嫌う。村の用心棒的存在であったが、悪夢によりメルザスの手先になってしまう。
- エリーン
- 毎日のように暴力を振るう父親と暮らす。多重人格で、4つの人格を持ち、夢の中も4つに分かれているため、非常に複雑。
- モラアス
- ナーシアの祖母。アランドラに託したナーシアの願いが叶わないままになったこと、アランドラと同じ一族のメディアムが現れたこと、そしてゴウセルにアランドラが悪魔だと吹き込まれたことで、彼を敵視。メディアムをナーシアの代わりのようにして住まわせるが、当のメディアムのアランドラに対する態度の変化、そしてゴウセルの悲劇により、彼女もまた、アランドラへの態度を軟化させる。
- ベグラス・ネクタス
- イノアの村に住む双子。双子の彼らの夢の中は相互につながっており、アランドラは二人の夢の中をワープできる。
- ビイゼン
- イノアの村の村長。熱心な信者ではないが、心のよりどころとしての神の存在は不可欠と考える。妻のトステアとの間に息子のツーラスをもうける。
- ケイトス
- 墓守であり、ゾリストでもある。老人である守護者を補佐する役割をひそかに担う。
- ラーバス
- 崖下の家で道具屋を営む老人。村の店では買えない商品もある。彼には、人には言えない秘密がある。
- スティーナ
- メルザスを監視する、妖精の住まう池の女王。
- ミミング
- 巨神を守り続ける一族。ニルードを倒しに来たと思い、アランドラを攻撃する。
守護者[編集]
- 賢者ラア
- アランドラを解放者として導く賢者。守護者の一人。
- ハヴァン
- イノアの村よりはるか南の海に浮かぶ小島に住む。小島までの道はかつて生きていた、半魚人族セルディアによって創られたもの。
- ヴル
- 人間から守護者として選ばれる。
- ジル
- リザードマンを配下にする聖者。
- ンヴ
- お袋を統べる聖者。永遠の生を持ち、かつては女王と呼ばれるほどの身分であった。
- ニルード
- かつて神と呼ばれた7人のうちの1人。その後神々は争いを始め、争いを避けたニルードだけが生き残る結果となった。
- ウィルダ
- 神、破壊の王と呼ばれたこともある守護者。
敵[編集]
- ザザン
- イノアの村の北西「迷いの森」に棲む白いサル「ムルータ」の王。人間を敵視し、滅ぼそうと画策している。
- ゾルジア
- 下僕に甘んじる悪魔。裏切りの常習犯で、現在はメルザスの配下。
- メルザス
- 人間の持つ精神エネルギーを喰らう悪魔。遥か天空より飛来した別の星の生命体であり、かつて守護者達によって封印された。実はソレイディア王国で信仰されている「神」と同一の存在であり(その経緯はイノアの村の周辺の世界の項を参照)、全ての悲劇の元凶である本作のラストボス。
アイテム [編集]
武器系[編集]
- ハンディソード
- アランドラが最初から装備している小ぶりの短刀。
- チャージアタックはできない。
- スチルエッジ
- 古の技術により創られた剣。古の神殿にて入手可能。
- チャージアタックで前方に衝撃波を放つ。
- デモンバスター
- 妖精の女王スティーナから授かった剣。妖精の住まう池で入手可能。
- チャージアタックで前方に衝撃波を放つ。
- 聖剣エルナート
- 村人の希望から生まれた聖剣。チャージアタック可能。
- エフェクトも他の二種類と異なり電撃を帯びた一撃を放つ。
- 伝説の剣・雪王
- 刀匠・雪王の創った剣。チャージアタックは出来ないが攻撃力は最強の武器。
- チェインスロー
- 鉄球、フィールド上のブロックを破壊できる。チャージアタックは出来ない。
- リーチは長いが若干隙がある。
- クラッシャー
- 鉄球、フィールド上のブロックを破壊できる。チャージアタックは頭上で鉄球を振り回す。
- ハンターボウ
- クラインの魂より創られた弓。身長が低い敵に当たらず草なども刈れない。
- チャージアタックは出来ない。
- ウィリアムボウ
- チャージアタック可能な弓。チャージアタックは貫通性のある光る矢を放ち
- 身長が低い敵や草も命中する。
- 炎の杖
- 火炎弾を発射可能な杖。チャージアタックは大きい火炎弾を発射する。
- 特定の障害物を燃やしたり火を灯せる。
- 氷の杖
- 氷のつぶてを発射可能な杖。チャージアタックは大きい氷弾を発射する。
- 特定の障害物を冷却できる。
- 魔道の杖
- 攻撃は出来ないが、魔力の消費なしに魔法を使用可能。
- 入手条件が非常に難しい。
回復系[編集]
- 薬草
- 体力を最大値の4分の1まで回復する、最低回復値は1ポイント、携行可能数は9。
- Sポーション
- 体力を最大値の半分まで回復する、最低回復値は10ポイント、1つのみ携行可能。
- Lポーション
- 体力を最大値まで回復する、1つのみ携行可能。
- マジカルエキス
- 魔力を最大値まで回復する、1つのみ携行可能。
- キュアエール
- 体力と魔力を最大まで回復する。また、最後の一撃と同時に使用され、死亡状態から即座に全回復状態で復活できる。1つのみ携行可能。
魔法系[編集]
- いずれの魔法も魔力の消費は1と一律。また、上位版である下巻を入手すると上巻の使用はできなくなる。
- 大地の章
- (上巻)自分を中心に大量の岩石を撒き散らして攻撃する。
- (下巻)画面全体に隕石を呼び起こして攻撃する。
- 水魔の章
- (上巻)最大体力の半分回復し、自分の周囲を回る氷のバリアを張る。
- (下巻)体力全回復し、数が増加したバリアを張る。
- 火竜の章
- (上巻)敵をホーミングする火炎を複数呼び寄せる。
- (下巻)自分を中心に爆発を起こして周囲の敵に攻撃する。
- 風神の章
- (上巻)画面全体に複数の雷を落とす。
- (下巻)自分を中心に巨大な竜巻を引き起こして広範囲を攻撃。
オマケアイテム[編集]
- 金のくちばし
- アランドラには隠しアイテムとして金のくちばしが登場する。金のくちばしは全部で50個あり、集めた数によって強力なアイテムと交換できる。なお続編『アランドラ2』では同様な位置づけのアイテムとしてパズルのかけらがある。
スタッフ[編集]
- Director:大堀康祐
- Game Design:尾山泰永
- Story:手塚一郎
- Character Design:玉木美孝
- Dungeon Map Design:折茂賢司、二木康夫
- Main Program:氷見元生
- Event Program:滝本真澄、石黒友浩
- Enemy Action Program:伊藤真也
- Assistant Program:小林敬明
- Object Character Coding:坂本仰次、太田浩太郎
- Map Coding:大口修、落合照代
- Ending Program:百瀬成寿
- Music Producer:清水彰彦、田中公平
- Music:田中公平
- Sound Director:藤澤孝史
- Assistant Sound Director:山崎耕一
- Sound Program:藤澤孝史、松谷直樹
- Sound Effects:山崎耕一、堀江由朗、西本啓一
- Engineer:中村充時
- Jacket & Booklet
- Art Direction:鎌田誠
- Product Schedule:小宮浩典、新保圭美
- Writing:江崎和生
- Illustration:玉木美孝
- Promotion:佐伯雅司、小山明男
- Game Development:Matrix software
- Producer:金子孝弘、菊川英明
- Supervisor:宮田敏幸、長崎行男、安田昌明
- Executive Producer:佐藤明
主題歌[編集]
続編[編集]
1999年に続編として『アランドラ2 魔進化の謎』が製作された。ストーリーに繋がりは無く、アランドラも登場しない。
ゲーム中に用いられるサウンド[編集]
ゲーム中のサウンドには田中公平の作品が用いられているが、音源はすべて32ビット機内蔵音源が用いられており、録音に頼らずゲーム音楽を作曲した珍しい例とも言える。
脚注[編集]
- ^ 電撃PlayStation Vol.38. メディアワークス. (1997年1月31日)