アラジン (ニールセン)

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『アラジン』より、「黒人の踊り」のピアノスコア

アラジン』(Aladdin, アラディン)作品34は、カール・ニールセンが作曲した劇付随音楽アダム・エーレンシュレーアー (Adam Gottlob Oehlenschlägerの同名戯曲の上演のために書かれた。 7曲よりなる組曲があり、吹奏楽への編曲で演奏される機会も多い。

作品[編集]

コペンハーゲン王立劇場にて、アラジンを演じるヨハネス・ポールセン

コペンハーゲン王立劇場での上演のため[1]1918年の夏にスケーエン英語版で大半が書かれ、コペンハーゲンへ戻って1919年1月に全曲が完成された。作品の上演にあたってニールセンは大きな困難を経験した。芸術監督ヨハネス・ポールセン英語版はオーケストラピットをステージを拡張するのに使ってしまい、オーケストラはセットの巨大な階段の下へ押し込められていたからである。最終リハーサルにおいてポールセンが音楽のかなりの部分をカットし踊りの順序を変更したことで、ニールセンはポスターやプログラムから自分の名前を消すことを要求した。[2]結果的には、1919年の2月に行われた劇場での公演はそれほど成功せず、15回の上演のみで打ち切られてしまった。[1]

全曲版の演奏時間は80分以上に及び、オペラを除けばニールセンの最長の作品である。作品はかなりの独創性が見られるもので、異国的な舞曲に用いられた音楽語法にはニールセンの豊かなスタイルが伺え、交響曲第5番へと至る道を開いた。[1]

ニールセンは「アラジン」からの抜粋を頻繁に指揮し、デンマーク国内と海外の両方で大きな称賛を受けた。1923年6月22日ロンドンクイーンズ・ホール英語版での演奏は成功を収め、ハンブルクドイチュ・シャウシュピールハウス英語版では1929年の11月から12月にかけて12回演奏された。1931年10月1日にも放送交響楽団との演奏が予定されていたが、当日ニールセンは深刻な心臓発作に見舞われており、2日後に逝去した。カール・ニールセン協会の調査によれば、「アラジン」組曲はニールセンの最も広く演奏されている作品であるという。[3]

編成[編集]

フルート3(ピッコロ2持替)、オーボエ2、コーラングレクラリネット2、ファゴット2、ホルン4、トランペット2、トロンボーン3、チューバティンパニタンバリン小太鼓(組曲版は1台、全曲版では4台)、トライアングル大太鼓シンバルカスタネットシロフォングロッケンシュピール(全曲版のみ)、チェレスタオルガン(全曲版のみ)、ハープ(全曲版のみ)、弦五部

構成[編集]

本来のアラジンと魔法のランプのストーリーとは話の内容が多少変えられている。 全5幕31曲から成る。

  • 1.プロローグ
第1幕
  • 2.フルートのソロ(Flute solo)
  • 3.葬列(Funeral procession)
  • 4.(Andante - Allegretto - Andantino espressivo)
  • 5.(Adagio - Tempo di marcia - Allegro non troppo - Andantino - Andante espressivo)
第2幕
  • 6.イスパハンの市場(A beautiful square in Isfahan)
    組曲の第5曲目に使用
  • 7.(Distant festival music)
  • 8.ランプの魔神(Genie of the Lamp)
  • 9.ギュリナーラとアラジン(Gulnare and Aladdin)
  • 10.ランプの魔神(Genie of the Lamp)
第3幕
  • 11.祝祭行進曲(Oriental festival march)
    組曲の第1曲目に使用
  • 12.(Andante)
  • 13.行進曲(March)
  • 14.中国の踊り(Chinese dance)
    組曲の第4曲目に使用
  • 15.囚人の踊り(Prisoner's dance)
    組曲の第6曲目に使用
  • 16.ヒンズーの踊り(Hindu dance)
    組曲の第3曲目に使用
  • 17.黒人の踊り(Blackmoor's dance)
    組曲の第7曲目に使用
  • 18.歌と踊り(Dance and chorus)
第4幕
  • 19.ギュリナーラの歌(Gulnare's song)
  • 20.(Poco adagio)
  • 21.ランプの魔神(Genie of the Lamp)
  • 22.アラディンの夢と朝霧の踊り(Aladdin's dream - Dance of the morning mists)
    組曲の第2曲目に使用
  • 23.(Andantino maestoso)
  • 24.(Aladdin visiting his mother's grave)
  • 25.(Andante maestoso)
第5幕
  • 26.(Andante)
  • 27.(Andante con moto)
  • 28.(Fatime's song)
  • 29.(Andante quasi allegretto)
  • 30.(The struggle between Hindbad and Aladdin)
  • 31.賛歌(Eulogy)

アラジン組曲[編集]

当初、劇音楽の上演前に演奏された際「イスパハンの市場」と「囚人の踊り」は入っていなかったが、のちにニールセン自身が演奏を繰り返す中でこの2曲も加えられた。1940年に出版。 吹奏楽への編曲は何種類かあり、コンクールなどでは1,2,7曲目だけを抜粋することも多い。

  1. 祝祭行進曲
  2. アラディンの夢と朝霧の踊り
  3. ヒンズーの踊り
  4. 中国の踊り
  5. イスパハンの市場
  6. 囚人の踊り
  7. 黒人の踊り

録音[編集]

組曲は何種類かの録音があるが、劇音楽全曲の録音は今のところロジェストヴェンスキー指揮デンマーク国立放送響(CHANDOS 9135)だけである。

出典[編集]

  1. ^ a b c "Preface" to Aladdin, Carl Nielsen Edition. Royal Danish Library. Retrieved 26 October 2010.
  2. ^ Family Life”. Carl Nielsen Society. 2010年10月26日閲覧。
  3. ^ "Performances", Carl Nielsen Society. Retrieved 30 October 2010.

関連項目[編集]