アデプト

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アデプト(adept)とは、一般的には「達人」や「名人」を意味する英単語である。オカルティズムの分野では、しばしば高位の人物を指す専門用語として用いられ、その場合アデプトゥス(adeptus)というラテン語表記も見られる。

アデプト(熟達者)はに近づいた「最終解脱者」であるとも解説される[1]

錬金術[編集]

一般によく知られた錬金術師にもレベルによる分類があり、黄金変成ばかりを行う低俗な錬金術師は、常にの火を燃やすためにふいごばかりを吹いているので「ふいご吹き」と呼ばれた。

それに対して、もっと精神的な錬金術に取り組む錬金術師たちを「アデプト(達人)」と呼んだ。そして、その中でも錬金術の秘密を極め、賢者の石を手に入れた錬金術師を真のアデプトとした。

このようなアデプトは不老不死であって、かなりの数が存在しているはずになる。しかし、現実にはこのようなアデプトに会うことは困難なため、十分な資格を持った錬金術を志す者のところに、彼らが現れて錬金術の秘密を教えてくれる、とも考えられている。

神秘学[編集]

魔術系秘密結社黄金の夜明け団」では、「アデプトゥス」の名は中位の位階に使われる。ただしこれより高い位階は「肉体を持った者は到達できない」名目上のものであるため、事実上の最高位と言える[2]

「黄金の夜明け団」で確立された位階制度は、他の多くの魔術結社も踏襲しており、同様にアデプタスの語も導入している。

銀の星#R∴C∴(薔薇十字)団も参照

フィクション[編集]

神秘学の用法を踏まえ、ファンタジー要素のあるフィクションでは、しばしばアデプトがある種の魔法使いとして登場する。

ロールプレイングゲーム
  • シャドウラン : 第4版では、魔力を肉体強化に用いる者のこと。
  • アースドーン : プレイヤーキャラクターのこと。「英雄候補生」といった扱い。

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 有澤玲『真説 フリーメイソン大百科(上巻)』「熟達者」の項目
  2. ^ 『Truth In Fantasy 68 秘密結社』(新紀元社)p.98