アイロンのある風景

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アイロンのある風景』(アイロンのあるふうけい)は、村上春樹短編小説

概要[編集]

初出 新潮』1999年9月号
収録書籍 神の子どもたちはみな踊る』(新潮社、2000年2月)

村上は『新潮』1999年8月号から12月号まで、「地震のあとで」と題する連作の短編小説を続けて掲載した。本作品は9月号に発表されたその2作目。

2015年5月1日刊行のアンソロジー『日本文学100年の名作第9巻1994-2003 アイロンのある風景』(新潮文庫)に収録された[1]

英訳[編集]

タイトル Landscape with Flatiron
翻訳 ジェイ・ルービン
初出 Ploughshares』2002年9月22日号
収録書籍 after the quake』(クノップフ社、2002年8月)

各国語の翻訳の詳細は「神の子どもたちはみな踊る#翻訳」を参照のこと。

あらすじ[編集]

1995年2月。茨城県鹿島灘の小さな町に順子は、サーファーでアマチュア・バンドのギタリストである啓介と同棲している。彼女の仕事はコンビニの店員だ。啓介は私立大学の学生だが学校にはほとんど通っていない。両親は水戸市内で老舗の菓子店を経営している。

ある晩、三宅さんから電話がかかる。「流木がけっこうぎょうさんあるねん。大きいやつができるで。出てこれるか?」。「大きいやつ」というのは焚き火のことである。順子は啓介と共に浜に向かい、三宅さんと3人で焚き火をする。そしていつものようにジャック・ロンドンの『たき火』[2]のことを思った。順子にとって『たき火』は高校1年生の夏休みに読書感想文の課題として与えられて以来、何度も何度も読んだ小説だった。その物語の中で、何よりも重要だったのは、基本的には主人公の男が死を求めているという事実だった。

啓介が腹が痛いと言って帰った後、三宅さんはおもむろにジャック・ロンドンの話をし始める。

順子は尋ねる。「三宅さんって、どんな絵を描いているの?」「それを説明するのはすごくむずかしい」

順子は質問を変えた。「じゃあ、いちばん最近はどんな絵を描いた?」

「『アイロンのある風景』、三日前に描き終えた」

脚注[編集]

  1. ^ 池内紀 川本三郎 松田哲夫『日本文学100年の名作第9巻1994-2003 アイロンのある風景』|新潮社
  2. ^ ジャック・ロンドンの『たき火』の原題は『To Build a Fire』。2008年に柴田元幸が「火を熾す」というタイトルで訳し話題となった。

関連項目[編集]