萌え絵
萌え絵(もええ)は、日本の漫画やアニメ、ゲームなどに特有の絵のことである[1]。「見る者に『萌え』を感じさせる絵」などと説明される[2]。
萌え絵の対象となるのは、おおよそ10代の少女である[1]。特徴としては、顔の大きさに対して目が大きいこと、口が小さいことが挙げられる[1]。メイド服などの付加的な萌え属性が加わる場合もある[1]。
なお、萌え絵を書くイラストレーターは「絵師」と呼ばれることがある[3]。また、萌え絵が書かれた絵馬のことを「痛絵馬」と呼ぶ[2]。
概説
書籍『現代視覚文化研究』に記事を寄せたライターの有村悠によれば、1990年代のイラストでは影やハイライトを多く描き込むことにより、疑似的に立体感を持たせた作品が主流であった[4]。しかし、2000年代初頭の萌え絵は影を減らすなどより簡素な絵柄へと変貌し、光を意識して立体的に見せる手法が用いられるようになったと分析している[4]。そのような新しい絵柄が生まれた当時、彩色方法は様々であったが、描画用のソフトウェアやツールの技術向上に伴い、フルデジタルの制作環境でアナログ的な描画表現を再現した作品が多く現れるようになったとも解説している[4]。一方、安斎昌幸によれば、萌え絵には共通のセオリーが存在するものの、単なる過去のイラストの焼き直しでは流行せず、常に新たな要素を取り込むことが必要とされるという[5]。こうした萌え絵の流行の変化は、コミックマーケットで見ることができる[5]。初音ミクの成功の理由は、萌え絵のセオリーを踏まえたことにあるとする説もある[5][注釈 1]。
脚注
注釈
- ^ 諸説があり内藤誼人の分析では「自己プロデュースできるアイドル」という点がファンの心をつかんだとしており[6]、クリプトン・フューチャー・メディアの熊谷裕介氏の分析では「共感」を理由としている[7]。
出典
- ^ a b c d 田川隆博「オタク分析の方向性」『名古屋文理大学紀要』9号、名古屋文理大学、2009年、p.76。
- ^ a b 佐藤善之「オタク絵馬とは何か 宮城縣護國神社の絵馬調査結果とその分析」『CATS叢書』4号、北海道大学観光学高等研究センター・鷲宮町商工会、2010年、pp.115-116。
- ^ “芸術としての「萌え絵」の求心力 アキバ「絵師100人展」に人々が集まる魅力”. 産経新聞 (2015年5月2日). 2017年2月1日閲覧。
- ^ a b c 有村悠「オタクの10年 当世美少女イラスト事情」『現代視覚文化研究 Vol.4』三才ブックス、2010年4月19日、70-71頁。ISBN 978-4-86199-251-3。
- ^ a b c 安斎昌幸「ぼくの萌える仕事(メディアアート紀行)」『映像情報メディア』66号、映像情報メディア学会、2012年、pp.58-59。
- ^ “初音ミクはなぜこんなに人気なの? 心理学者がその秘密を分析!”. マイナビニュース (2012年6月10日). 2019年2月22日閲覧。
- ^ “「初音ミク」世界的人気の理由とは?キーワードは「共感」【NDC17】”. Appliv Games. 2019年2月22日閲覧。
関連項目
- 萌え
- 萌え絵師
- アニメ絵
- ベビースキーマ
- 漫符
- デジ絵の文法
- 萌え絵批判
- ロリータ・コンプレックス
- 二次元コンプレックス