良心の囚人
良心の囚人(りょうしんのしゅうじん)とは、国際的民間人権擁護団体アムネスティ・インターナショナルが提唱している概念で、非暴力であるが言論や思想、宗教、人種、性などを理由に不当に逮捕された人をいう。アムネスティー・インターナショナルの創設者ぺーター・べネンソンが評論『The Forgotten Prisoners』で初めて用いた用語である。
概要
政治犯と類似している点が多いが、意味合いは若干異なる。政治犯として投獄されている人で、良心の囚人の中に数えられることもあるが、良心の囚人即ち政治犯ということではない。刑務所、収容所などで囚われている場合のほか、デュー・プロセス・オブ・ローに基づかずに自宅に軟禁されたり、外出禁止令などで自由を制限された場合などもある。暴力的活動をしている場合は良心の囚人には該当しない。また、ナチスドイツによるユダヤ人の計画的大量殺戮(ホロコースト)の史実性に否定的ないし懐疑的な意見を述べたために逮捕拘禁された人達も、アムネスティが認定する「良心の囚人」には含まれていない。
良心の囚人は世界各国60カ国以上に8000人以上いるといわれている。2004年2月に「立川反戦ビラ配布事件」で逮捕拘束された3人の被疑者(一審で無罪、二審で有罪、最高裁で上告棄却)が日本で初の良心の囚人に認定された。
アムネスティにより良心の囚人と認定された人
- アウンサンスーチー(ミャンマー、人権活動家)
- ンガワン・チョペル(中国、チベット人、音楽家)
- 立川反戦ビラ弾圧事件の3被疑者(日本、反戦活動家)
- ジェラール・ジャン=ジュスト(ハイチ、神父。2009年死去)
- モルデハイ・ヴァヌヌ(イスラエル、元核技術者)
- 劉暁波(中国、人権活動家。2010年度ノーベル平和賞受賞)