自動火器
自動火器(じどうかき)は、一回の操作で「弾丸の発射」・「空となった薬莢の排出」・「次弾の装填」・「発射可能状態の維持」の一連の動作を行う火器全般を指す言葉である。自動でこれら動作を行うことからオートマチックなどとも表現される。
日本語で「自動式拳銃」ないし「自動拳銃」とした場合は、上のような定義で連射性は別の話となるが、英語ではいわゆる自動拳銃はsemi-automatic firearms(半自動火器)として区別される。本項では日本語に準じて、断りのない場合は区別せず説明する。
概要
自動火器は、その多くが弾丸発射と火薬の燃焼に伴って発生する反動や発射ガスの圧力によって機構を動作させているが、一部には人力ないし風力・電動機などの外部からの動力を入力して動作させるもの(外部動力式)もある。ボルトアクション方式などの複雑な動作を必要とせず、一連の動作を「引き金を引く」という動作のみに集約させた火器である。
この様式の最大の利点は、複雑な操作を必要とせず、いつでも弾丸が発射可能な状態になることだが、その半面で機構が複雑になり、故障が発生し易いことや、誤操作により予期せず発射される暴発の危険が高くなることが挙げられる。このため、安全装置が取り付けられる。また、部品点数が増え整備性に劣ることや、加えて全体の重量が増す傾向が強い。
自動火器では、弾薬の発火に伴う内部動力で動作するガス圧作動方式や、反動利用式(ブローバック・ショートリコイルなど)のものを中心に、初弾装填のみ手動操作(コッキング)を必要とするが、外部動力を用いるものでは、初弾装填作業が必要の無いものも見られる。ただし、人の手で携行することを前提とする火器の多くでは、外部動力式は動力も一緒に運搬する必要があり簡便性に劣るため、内部動力で動作するものが主流である。
射撃中に不発射弾が生じると、発射→排莢と再装填→発射準備状態のサイクルが停まってしまう。このため、発射不良状態(俗にジャムとも)に陥った場合は、手動で不良実包を取り除き、次弾を装填しなければならない。
分類
この様式の中には、自動拳銃のように一回引き金を引いたら一発のみ発射してすぐに次弾が撃てる状態になるセミオートマチック(セミオート)と、引き金を引き続ける限り弾倉が空になるまで連続して弾丸を発射するフルオートマチック(フルオート)とがあるが、日本語で自動火器とした場合にはこの双方が含まれる。
自動火器に含まれる分類は以下のとおり。
- サブマシンガン(拳銃弾などをフルオート射撃できる小型・軽量の火器)
- アサルトライフル(小銃弾と拳銃弾の間の威力の弾薬をフルオート射撃できる小型・軽量の自動小銃)
- 自動小銃(自動装填機構を持つ小銃)
- マシン・ピストル(フルオートやバースト射撃の可能な拳銃)
外部動力を必要とするものでは以下のようなものがある。
銃社会と自動火器
アメリカ合衆国において、フルオート火器の民間人への販売は1934年から禁止されており、例外なくセミオート限定にした製品しか市販できない。 しかし、こうした市販のセミオート火器のなかには、比較的容易な改造、またはオプションパーツ(反動を利用しトリガーを往復して押す)でフルオート化する事が可能なものもあり、犯罪者やテロリストがフルオート火器を入手したり、資格を持つガンスミスがアクション映画用にフルオート火器を容易に調達できる環境がある。
日本においては、フルオート射撃の可能な自動火器を保有できる組織は自衛隊、海上保安庁に限定されていたが、近年では日本の警察官や皇宮護衛官もこうした火器を使用するようになり、特殊急襲部隊(SAT)や特別警備隊など、特別な部署が主な配備先となっている。