竜宮童子
竜宮童子(りゅうぐうどうじ、龍宮童子とも)は、日本に伝わる昔話に登場する、人間の願いをかなえる力を持っている龍宮の子供。
概要
主な展開は以下のようなものである。
年の瀬に正月用の松(あるいは薪など)を売っていたおじいさんがいたが、一向に品物が売れない。売れ残っても商売にならないため「龍宮にさしあげます」と言って水中に叩き捨ててしまう。帰ろうとすると龍宮に招かれ、もてなしを受けたあと一人の子供(龍宮童子)を贈られる。帰宅後、その子供がおじいさんとおばあさんの願うものを次々と出してくれるため、とても裕福になるが、その子供は非常に汚い(あるいはみにくい)ため、邪険にされて追い出されてしまう。すると今まで出してくれた金品は全て失われてしまい、家はもとのように貧しくなってしまった。
竜宮童子自体が一定の条件を満たすことによって金品を生み出す行為をする場合もあり、その場合は欲を出し過ぎてその行為を過剰おこない、竜宮童子を失ってしまう結末などがある[1]。
熊本県などにつたわる同様の昔話は、はなたれ小僧さまという題名でも紹介されており、その名でも知られている。はなたれ小僧様には毎日エビのなますを三度に分けて食べさせてあげなければならなかったが、裕福になるにつれてそれが面倒くさくなり、与えるのをやめてしまうことで富を失ってしまう[2]。
伝承
福島県田村郡船引町で採取された昔話では、松を捨てたおじいさんのもとへ龍宮から礼として「お六」という少女が贈られてくる。お六は持って来た道具や飾りで家をきれいにし、釜に湯をはってそれをかきまぜ飯を次々と湧き出させる。正月のあいだの料理を数々つくってくれたが、おじいさんとおばあさんはやがてお六を邪魔に見て龍宮へ帰してしまった。すると家は一瞬のうちに元に戻ってしまい、お六が飯をつくるときにやっていた方法を真似してみても一向に飯が湧いてはこなかった[3]。
ヨーロッパにも似た伝承がある。東スラヴでは、隠された宝物が鼻水を垂らした汚い老人の姿で現れ、「鼻を拭いてくれ」と言う。嫌がらずに拭いてやると、この汚い老人が宝物に変身するが、断ると宝物は再び地中に姿を消すというのである[4]。