福島泰蔵
| 福島 泰蔵 ふくしま たいぞう | |
|---|---|
| 生誕 |
1866年7月5日 上野国 |
| 死没 |
1905年1月28日（38歳没） 黒溝台、奉天西方 |
| 所属組織 |
 大日本帝国陸軍 |
| 軍歴 | 1888 - 1905 |
| 最終階級 |
 陸軍歩兵少佐 |
| 墓所 | 福智山天人寺 |
福島 泰蔵（ふくしま たいぞう、1866年7月5日（慶応2年5月23日） - 1905年（明治38年）1月28日）は、日本陸軍の軍人。弘前歩兵第31連隊の中隊長として、八甲田山雪中行軍を成功させた人物として知られている。出身は上野国の天領（関東在方掛[岩鼻陣屋]管轄）､後に群馬県新田郡世良田村 （現在の伊勢崎市境平塚）。
経歴
苗字帯刀を許された廻船問屋の長男として出生。家業の衰退を受け、1886年陸軍教導団に進む。1888年（明治21年）9月陸軍教導団卒業。1891年（明治24年）陸軍士官学校（士官候補生2期）を卒業。1892年（明治25年）3月21日陸軍歩兵少尉に任官し、歩兵第15連隊付となる[1]。1894年（明治27年）11月14日陸軍歩兵中尉に昇進[2]し、1897年（明治30年）7月19日、陸地測量部班員に補される[3]。1898年（明治31年）10月10日陸軍歩兵大尉に昇進し、歩兵第31連隊第1大隊第2中隊長に赴任[4]。1902年（明治35年）1月、八甲田山で弘前ルートとして38名を率いて雪中行軍を実施した。同月29日、弘前歩兵第31連隊は無事に青森に到着し、雪中行軍は成功した。地元の歓迎を受けるが、この日に至ってやっと青森隊の大量遭難を知ることになった。
同年10月13日、成田キヱと結婚。娘が一人いた。歩兵第4旅団副官を経て、1903年（明治36年）10月、歩兵第32連隊第10中隊長に転任し、日露戦争に従軍。1905年（明治38年）1月28日、黒溝台会戦において戦死。同日付で陸軍歩兵少佐に進級[5]し、正六位に叙せられた。遺言により、利根川沿に伊勢崎市境平塚の福智山天人寺に葬られた。
2012年（平成24年）4月12日、八甲田雪中行軍遭難事件について、福島少佐が記した報告書や手記、論文、手紙など計241点が陸上自衛隊幹部候補生学校に寄贈された。親族が生家で保管していたもので、2004年の日露戦争開戦100周年を機に、公開を検討していたものである[6]。
雪中行軍遭難事件について
上記のとおり、八甲田山での大量遭難について福島は青森帰着後に事態を知ったとされているが、伊藤薫著『八甲田山 消された真実』（山と渓谷社、2018年刊）では2004年に発見された陸軍大臣宛て報告を引用し、福島率いる弘前隊が行軍中に放置された銃と兵士の凍死体を発見し青森隊の遭難を認識しながら、雪中行軍を最初に発案し成功させるための功名心から見なかったことにして行軍を続行したと指摘している。また同書では、当時の陸軍も事件に対する非難を免れるため、福島が遭難を知っていた事実を隠蔽したとしている。
演じた俳優
栄典
- 位階
- 1892年（明治25年）7月6日 - 正八位[7]
- 1895年（明治28年）2月28日 - 従七位[8]
- 1898年（明治31年）12月22日 - 正七位[9]
- 1904年（明治37年）3月18日 - 従六位[10]
- 1905年（明治38年）1月28日 - 正六位[11]
- 勲章等
- 1895年（明治28年）
- 10月12日 - 勲六等単光旭日章[12]
- 11月18日 - 明治二十七八年従軍記章[13]
- 1902年（明治35年）5月31日 - 勲五等瑞宝章[14]
- 1905年（明治38年）1月28日 - 功三級金鵄勲章・勲四等旭日小綬章[15]
脚注
- ^ 『官報』第2615号、明治25年3月22日。
- ^ 『官報』第3453号、明治28年1月4日
- ^ 『官報』第4216号、明治30年7月21日
- ^ 『官報』第4586号、明治31年10月11日
- ^ 『官報』第6502号、明治38年3月7日。
- ^ “「八甲田」生還の報告書”. 読売新聞. (2012年4月12日)
- ^ 『官報』第2707号、明治25年7月7日。
- ^ 『官報』第3498号、明治28年3月1日。
- ^ 『官報』第4646号、明治31年12月23日。
- ^ 『官報』第6212号、明治37年3月19日。
- ^ 『官報』第7094号、明治40年2月25日。
- ^ 『官報』第3689号、明治28年10月14日。
- ^ 『官報』第3826号・付録「辞令」、明治29年4月4日。
- ^ 『官報』第5671号、明治35年6月2日。
- ^ 『官報』第6503号、明治38年3月8日。
出典
- 山下康博『指揮官の決断―八甲田山死の雪中行軍に学ぶリーダーシップ』北の街社、2004年。ISBN 978-4873731346
- 山下康博『指揮官の決断―八甲田山死の雪中行軍に学ぶリーダーシップ』中経の文庫、中経出版、2008年。ISBN 978-4806129271
