甌穴
甌穴(おうけつ)とは河底や河岸の岩石面上にできる円形の穴。ポットホール[1](pot hole)、またはかめ穴(かめあな)ともいう。
河底や河岸の表面が硬い場合、表面に割れ目などの弱い部分があるとそこが水流による侵食のためにくぼみとなる。このくぼみの中に礫が入ると渦流によってその礫が回転し丸みを帯びた円形の穴に拡大する。その後川底が侵食の影響で下がり、甌穴のできた場所は水面より高くなる。その結果、甌穴が地表に見られるようになる。
穴の直径、深さとも数cmのものから数mのものまでその姿はさまざまである。底に磨耗した小石が残っているものもある。有名な甌穴として寝覚の床や長瀞渓谷(ながとろけいこく)の岩畳がある。また甌穴は、昔その場所を川が流れていたことを示す、重要な手がかりとなる。
なお、波の作用によるものは海蝕甌穴、氷河性河流によるものは氷河臼という。
天然記念物に指定された甌穴
国の天然記念物
- 八釜の甌穴群(特別天然記念物/愛媛県)
- 平根崎の波蝕甌穴群(新潟県)
- 山科の大桑層化石産地と甌穴(石川県)
- 飛水峡の甌穴群(岐阜県)
- 斑島玉石甌穴(長崎県)
- 耶馬渓猿飛の甌穴群(大分県)
- 関の尾の甌穴(宮崎県)
地方自治体指定の天然記念物
- 法体の滝および甌穴(秋田県指定名勝及び天然記念物)
- 煮え渕ポットホール(愛知県指定天然記念物)
- 神居古潭おう穴群(旭川市指定天然記念物)
- かんのん浜ポットホール(伊東市指定天然記念物)
- 虻川渓谷の大明神淵(豊丘村指定文化財)
その他文化財等
- 鹿ヶ壺(兵庫県指定文化財記念物名勝)
- 猫崎半島波食甌穴群(兵庫県指定文化財記念物名勝)
- 滝の拝(和歌山県指定名勝・天然記念物)
脚注
- ^ 文部省 『学術用語集 地学編』 日本学術振興会、1984年、ISBN 4-8181-8401-2。(オンライン学術用語集)
関連項目
- 地質・鉱物天然記念物一覧
- 海釜 - 成因は幾つかあると考えられているが、潮流によって甌穴のような窪地(海釜/かいふ)ができる場合もあるとされる。また、盛り上がることもある。
外部リンク
- 国指定文化財 データベース(文化庁)