熱効率
熱効率(ねつこうりつ、英: Thermal efficiency)とは、投入した熱エネルギーが仕事や電力などに変換される割合(パーセンテージ)である。例として、1000ジュールの熱エネルギーが与えられた熱機関が300ジュール分の仕事をした場合、この熱機関の熱効率は30%となる。残りの700ジュールは熱や音などの目的ではない形のエネルギーに変換されたことになり、損失と呼ばれる。
熱効率は熱力学第一法則により1.0(100%)を越えることはなく、熱力学第二法則により1.0になることも決してない[1]。ニコラ・カルノーは思考実験で最も熱効率の良い仮想熱機関「カルノーサイクル」を提案した。カルノーサイクルの理論熱効率 は、高温源 、低温源 として
で与えられる。
様々な熱効率
- 熱機関の場合、熱効率は燃料の化学エネルギーが有効な仕事に変換された割合を指す。
- 発電所の場合、熱効率は燃料の保有発熱量(kcal)が発生電力量(kW)に変換された割合を指す。発電所の熱効率には、発電端熱効率と送電端熱効率がある[2]。発電端熱効率は、タービンに繋がれた発電機が発電したそのままの電力量を用いて算出する。送電端熱効率は、発電端電力量から発電所内で使った電力量を差し引いた正味電力量(net power)を用いて算出する。
- 調理加熱・給湯機器の場合、日本で販売される製品に関しては日本工業規格の試験方法に規定する方法により測定された数値を用いる。家庭用ガス給湯機器、家庭用石油給湯機器は、エネルギーの使用の合理化等に関する法律(省エネ法)に基づく特定機器となり、調理機器の効率の計算は省エネ法で定められた算出式による。
- 空調暖房機器の場合、建材試験センター規格(JSTM)/建材試験センターの定める試験方法で算出する。
- カルノー効率:最も効率のよいカルノーサイクルの熱効率に対する実際の熱効率の割合を表す。どこまで理想的な熱機関の動作に近いかを評価する指標となる。