炭素-水素結合
炭素-水素結合 (carbon-hydrogen bond、C-H結合) は炭素と水素との間の共有結合のことであり、有機化合物ではありふれたものである[1]。結合距離はおよそ109 pm (1.09 × 10-10 m) であり、結合エネルギーはおよそ413 kJ/molである。炭素と水素のポーリングの電気陰性度はそれぞれ 2.5 と 2.1 で、その差は 0.4 である。これはあまり大きくないので、C-H結合はふつう無極性共有結合とみなされる。分子の構造式において、水素原子はよく省略される。C-H結合とC-C結合のみからなる化合物を炭化水素といい、アルカン、アルケン、アルキン、芳香族炭化水素などに分類される。
反応
炭素-水素結合は一般に不活性である。炭素酸とよばれるいくつかの化合物では、C-H結合がプロトンを脱離するのに十分な活性がある。不活性C-H結合はアルカンでみられ、活性C-H結合はヘテロ原子 (O、N、Siなど、CとH以外の原子のこと)と隣接している。そのような結合でも、たいていはラジカル置換反応にだけしか関与できない。ほかのC-H結合が関与する特殊な反応は、C-H活性化としてまとめられている。
C-H結合は最も強い結合の1つではあるが、安定な有機化合物だけをみても、その強さには30 %以上のばらつきがある[2]。
結合 | 炭化水素ラジカル | 結合解離エネルギー (kcal/mol) |
結合解離エネルギー (kJ/mol) |
---|---|---|---|
CH3-H | メチル基 | 103 | 431 |
C2H5-H | エチル基 | 98 | 410 |
(CH3)2HC-H | イソプロピル基 | 95 | 397 |
(CH3)3C-H | tert-ブチル基 | 93 | 389 |
CH2=CH-H | ビニル基 | 112 | 469 |
C6H5-H | フェニル基 | 110 | 460 |
CH2=CHCH2-H | アリル基 | 88 | 368 |
C6H5CH2-H | ベンジル基 | 85 | 356 |
OC4H7-H | テトラヒドロフラニル基 | 92 | 385 |
脚注
- ^ March, Jerry (1985). Advanced Organic Chemistry: Reactions, Mechanisms, and Structure (英語) (3rd ed.). New York: Wiley. ISBN 0-471-85472-7。
- ^ “Standard bond energies and bond dissociation energies”. 2011年3月22日閲覧。
関連項目
|