機械化歩兵

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M113装甲兵員輸送車から展開するアメリカ陸軍の機械化歩兵(1985年

機械化歩兵(きかいかほへい、: Panzergrenadier装甲擲弾兵の意、: Mechanized infantry)は、における兵科の一つ。

歩兵戦闘車などに搭乗することにより、戦車部隊に追随できる機動力、戦闘力を有する歩兵である。単に戦場間を車両で移動するだけでなく、流動的な機動戦に参加することを前提としている点が自動車化歩兵との違いである。

概要

機械化歩兵とは、戦争の形態が戦車を中心とした機動戦電撃戦)が行われるようになった第二次世界大戦時にドイツ陸軍で初めて編成された。戦車は、その戦闘行動において歩兵の支援が絶対に必要であるが、歩兵の徒歩行軍は戦車の機動性に追随できなくなってきていた。そのため、車両や装甲車に搭乗し、戦車部隊に追随できる歩兵が求められ、機械化歩兵が編成された。ただし、第二次大戦における各国の歩兵の機械化はアメリカ合衆国が実現した位で、ドイツにおいてさえも常に不十分であった。

最初の頃の機動性を持った歩兵は、トラックに搭乗する場合が多く、自転車を用いた大日本帝国陸軍銀輪部隊などもあったが、それらは不整地での行動に問題があったため、次第に装軌車両が重視されるようになった。

冷戦期には、BTRに代表される装甲兵員輸送車に搭乗するケースが多く、冷戦後期や冷戦終結後には、車両そのものの戦闘能力・機動力をさらに高めた重武装歩兵戦闘車も配備されるようになった。

名称

国や時代、機械化の程度により名称が異なる場合があり、自動車化歩兵とも呼ばれる。混同を避けるため、装甲兵員輸送車を装備している場合は機械化歩兵、トラックを装備している場合は自動車化歩兵、と区別して呼ばれることも多い。

実質的に自動車化歩兵もしくは機械化歩兵であるが、慣例的に別の名称、日本語訳があてられることがある。代表的なものとして、ドイツ国防軍の場合は装甲擲弾兵 (Panzergrenadierプロイセン軍において精鋭とされた擲弾兵にちなむ)、大日本帝国陸軍機動歩兵ソ連軍ロシア軍)の自動車化狙撃兵(この場合の「狙撃兵」は専門兵種としてのスナイパーではなく、軽歩兵に相当する)など。

モータリゼーションが進んだ現代では、歩兵が車両に乗って移動するのは普通になってきており、機械化歩兵という場合には、特筆しない限り装甲車両を装備した歩兵を指すことが多い。

関連項目

前近代において、騎兵と歩兵の中間的な役割を担った乗馬歩兵。フランス軍第2竜騎兵落下傘連隊第13竜騎兵連隊などのように、現代でも空挺部隊特殊部隊などの称号として「竜騎兵」の名を冠するところもある。