智異山
智異山 | |
---|---|
各種表記 | |
ハングル: | 지리산 |
漢字: | 智異山 |
発音: | チリサン |
ローマ字転写: | Jirisan |
智異山(チリさん 지리산)は、大韓民国南部の全羅南道・全羅北道・慶尚南道にまたがる、小白山脈の南端に位置する山並の総称。智異山国立公園に指定されている。
概要
白頭山に発し太白山脈から小白山脈へと続く気の流れがこの峰に昇るとされ「頭流山」とも呼ばれる。100を超える多くの峰々から構成され、天王峯(標高1,915m)を主峰とし、般若峰(標高1,732m)、老姑壇(標高1,507m)を合わせて三大峰と呼ぶ。
古くから登山のメッカとして知られ、多くの登山客で賑わう。登山客に対する施設も充実しており、各地に点在する「待避所」と呼ばれる山小屋では休憩や宿泊も可能で、売店で食料品を買うこともできる。近年は日本をはじめとした外国人登山客も訪れている。
智異山一帯はかつて山岳信仰の聖地であったほか仏教の聖地ともされ、古くは三国時代から、最近では李氏朝鮮時代に排斥された仏教寺院が智異山に寺基を求めた。韓国三大寺院に数えられる華厳寺のほか、燕谷寺、双渓寺、松広寺、実相寺などが多くの参拝客を集めている。
古くから韓国では無秩序な森林伐採が深刻な自然破壊を招いていたが、人馬を寄せ付けない智異山の地形が幸いし、現在も多くの自然林が残されている。韓国では数少ないツキノワグマをはじめ、多くの貴重な植物や生物が生息している。1967年には韓国初の国立公園に認定されており、大規模な開発は規制されている。
一部の山は韓国軍及びアメリカ軍のレーダー基地が設置されており、一般人の立ち入りが規制されている。韓国軍による山岳訓練にも使われているため、登山中に行軍部隊と遭遇したり、パラシュート降下訓練が見られることもある。
抵抗の地として
歴史上、数々の事件における抵抗の地としても知られている。地理的にも山中に無数の登山路が発達し、韓国南部のいずれの地域にも面しているほか、深い谷や急峻な山並で構成される地形は、軍事戦略上も重要な地域である。
- 豊臣秀吉による文禄・慶長の役では、智異山中に潜む朝鮮軍が全羅道に出陣した小早川隆景(第6軍)らを苦しめた。
- 1894年に起きた甲午農民戦争では、蜂起した農民が山中にとどまり抵抗を続けたことで知られる。
- 1900年代初頭の日韓併合に至る大韓帝国末期には、抗日闘争の拠点となった。
- 1948年に起きた麗水・順天事件では、反乱部隊が山中に立てこもり、後の朝鮮戦争時にはパルチザンの拠点となった。
- 1951年に韓国陸軍第11師団によって居昌良民虐殺事件が起こされた。
- 朝鮮戦争時、韓国軍の反撃に遭った朝鮮人民軍兵士が立てこもったほか、朝鮮人民軍に呼応する市民が続き大規模なパルチザン抵抗を展開した。智異山は朝鮮戦争激戦地としても名を残している。現在、山麓に「智異山パルチザン討伐展示館」がある。
上記の事件をはじめとした数々の抵抗と虐殺の舞台ともなっており、抵抗拠点とされる遺跡の近くでは、今でも人骨が出土するといわれる。
ギャラリー
-
智異山国立公園