広島電鉄3950形電車

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広島電鉄3950形電車
Green Liner
3950形3954編成(広島駅)
基本情報
製造所 アルナ工機
主要諸元
編成 3車体4台車連接固定編成
軌間 1,435 mm
編成定員 152(着席66)人
編成重量 38.0t
全長 27,360 mm
全幅 2,496 mm
全高 3,820 mm
主電動機 東洋電機製造
TDK-6305-A形
駆動方式 TD平行カルダン駆動
編成出力 85kW×4
制御方式 東洋電機製造製 GTO-VVVF (初期型)
備考 全金属製
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3950形3952編成(広島駅)

広島電鉄3950形電車(ひろしまでんてつ3950がたでんしゃ)とは、1997年に登場した広島電鉄路面電車である。

概要

広電では3900形に次ぐ連接車である。アルナ工機で製造された。

3900形のマイナーチェンジ形で性能的には変わらないが、車両デザインをGKデザイン総研広島が担当した[1]ヘッドライトが従来の2灯式からロービームライトとハイビームライトを別々にした4灯式となり、運転席前面の窓に曲面ガラスが採用され、デザインが大きく変わった[1]。また、ロービームライトには日本の鉄道用車両では初採用となったプロジェクター式ヘッドライトが採用された[1][2]。イメージ的にはグリーンムーバーこと5000形に繋がる物になっている[3]。また、集電装置3500形以来採用されていたZ型パンタグラフから、広電では初採用となるシングルアーム型パンタグラフに変わったのも3900形と異なる点である[1]

愛称はこの形式も「Green Liner」(グリーンライナー)だが、3900形までの5形式が車体面に記した愛称が平仮名表記なのに対し、本形式では英語表記に変更されている。塗装も大幅に変更したため、車体色の緑色の色合いもこれまでの「ぐりーんらいなー」と異なる[1]

なお、その後の量産は5000形に移行したため事実上最後のグリーンライナーであり、また2020年現在、広島電鉄が最後に製造した乗降扉ステップ付の車両である。車両単価は1編成あたり、2億2千万で補助金は出ていない。

計6編成製造され、当初は全車が宮島線直通電車の用途として導入された。2007年10月には3953、3956号に同形式初のラッピング広告が施された。

たび重なる転属

当初は製造された6編成全車が荒手車庫に所属し、宮島線の直通電車として使用されていた。しかし、宮島線内で高速運転すると強い横揺れが生ずるという問題があった。そのため、1999年末に5000形(グリーンムーバー)が4編成に増備されたことに伴い、翌2000年に3955号と3956号が千田車庫に転属した。さらに、5000形が8編成に増備された2001年には、3951号、3952号、3954号が千田車庫に転属した。荒手車庫には3953号のみが残り、引き続き宮島線への直通運用に使用されていたが、後に千田車庫所属の3951号と交換された。その後間もなく3951号も千田車庫へ再び転属し、全車両が千田車庫所属となった。転属後は、市内線の輸送力増強用として、日中は1号線に、平日のラッシュ時には3,5,7,8号線にも使用された。これによって宮島線での定期運用は消滅したが、宮島花火大会開催日のみ、宮島線の臨時増発のために千田車庫から2~3編成が荒手車庫へ貸し出され、1日限定で宮島線で運用された。

2007年2月、5100形(グリーンムーバーmax)が7編成に増備され、6編成が千田車庫へ配置されたことに伴い、3956号が千田車庫から荒手車庫へ転属した。それに引き続き、同年4月に行われた配置車両の交換で、荒手車庫から千田車庫へ転属する3700形の3701号と3702号の代替として、3954号と3955号が荒手車庫へ転属した。さらに、2008年2月には5100形5109号の営業運転開始に伴い3951号が、同年3月には5110号の営業運転開始に伴い3952号が、それぞれ荒手車庫へ転属した。同年4月には残る3953号も荒手車庫へ転属し、全車両が再び荒手車庫所属となった。この時期までに従来の課題であった高速走行時の横揺れが台車の改良によって解消され、全車両が宮島線への直通運用に復帰した。

2008年8月、千田車庫所属車両に対して行われたICカード「PASPY」に対応した新運賃箱への交換工事の影響で、市内線用の3000形と3700形3701・3702号が予備車不足となるため3955号が千田車庫への貸し出しの形で転出し、市内線運用に就いた。2009年2月に市内線所属の連接車両の新運賃箱への交換工事が完了したため、千田車庫へ貸し出されていた3955号は荒手車庫へ返却された。

2019年4月、5200形(通称:Green mover APEX)の5201号・5202号の2編成が導入された事により、3951号・3952号の2編成が千田車庫に転出された。3950形の千田車庫に所属するのは2009年2月以来10年ぶりとなった。しかし2019年9月、3800形の3806号・3809号の2編成が千田車庫へ転属された事により、再び荒手車庫へ転属。千田車庫に配属されていたのはわずか5か月程であった。

運用

2020年4月現在、全編成が2号線(宮島線)専用運用となっている。平日朝ラッシュのみ、宮島口方面→紙屋町西→市役所前→広電本社前までの運用に就く。但し、毎年7月末に行われる「広島みなと夢花火大会」では、臨時便として5号線(比治山線)や宇品線の海岸通停留場からの区間運用に就くことがある。

各車状況

特記がある場合を除き、2021年11月現在の状態を示す。

車号 竣工 所属 塗装 ICカード全扉乗降

サービス対応日[4]

備考
3951 1997年12月 荒手車庫 標準色  2022年3月17日 2016年12月に行先表示器がLEDに変更。
3952 1997年12月 標準色 2022年3月12日
3953 1998年1月 標準色 2022年4月7日
3954 1998年3月 標準色 2022年3月31日 2017年12月に行先表示器がLEDに変更。
3955 部分ラッピング電車

日立物流

2022年4月14日
3956 標準色 2022年4月23日

脚注

  1. ^ a b c d e 【緑】宮島線100周年記念企画・人気投票第1位の3950形を特集!. みんなきんさい広電チャンネル【広島電鉄公式】. 広島電鉄. 23 September 2022. 2022年11月23日閲覧
  2. ^ プロジェクター式ヘッドライトはその後、多くの鉄道車両で採用される事となるが、それらがヘッドランプバルブにHIDランプを採用しているのに対して、本車両では製造当時主流であったハロゲンランプを採用している。
  3. ^ 5000形もGKデザイン総研広島が車両デザインを担当している。
  4. ^ お知らせ|広島電鉄”. www.hiroden.co.jp. 2022年4月26日閲覧。

参考文献