子午線
子午線(しごせん、meridian)とは地球の赤道に直角に交差するように両極を結ぶ線である。南北線(なんぼくせん)ともいい、同一経度の地点を結ぶ経線と一致する。対義語は卯酉線(ぼうゆうせん)または緯線となるが、両者はそれぞれ異なる観点からの対義を表すものであり、使い分けには注意が必要である。
概説
子午線は南極点と北極点を結ぶ大円(地球において用いる場合は特に大圏ともいう。より正確には南北に若干扁平した楕円形状のほうが近い。)をこれら2点において二分する楕円弧となり、必ず南北に伸びる。同じ子午線上の各点の位置は緯度で与えられる。
イギリスの旧グリニッジ天文台を通る子午線は特にグリニッジ子午線(本初子午線)と呼ばれ、この子午線を経度0度とする。これ以外の子午線は、地球中心を頂点として赤道に沿って測った本初子午線とのなす角によって互いに区別される。グリニッジより西側の経度は西経X度、東側は東経X度などと呼ばれる。詳細は経度の項目を参考のこと。
なお、鉄器などの影響を全く受けない状態で磁石の針が指し示す線(大圏)を磁気子午線といい、これに対して両極を結ぶ本来の子午線は真の子午線と呼ばれる(両者には偏差を生じる)[1]。
“子午線”という名称は子の方角(北)から午の方角(南)に伸びる線を意味する。これは中国から日本に伝わった方角を十二支に当てはめるやり方からきており、ちょうど子が北、午が南を指していたので「子午線」と言うようになった。本初子午線は、「一番初めの、もとになる線」という意味。
また、英語のmeridianは「正午」を意味するラテン語のmeridiesに由来する。
天文学
天文学では、地平線上の真北から天頂を通って真南へ至る天球上の仮想的な大円を子午線と呼ぶ。従って北半球では天の北極、南半球では天の南極が必ず子午線上にある。子午線は常に地平線と直交する大円として固定されているため地球の自転に伴って天球上の天体は日周運動を行い、子午線を通過する。これを子午線通過(transitまたはculmination)と呼ぶ。天体の赤経と観測地での地方恒星時が分かれば、その天体がその観測地で子午線通過する時刻を求めることができる(時角を参照のこと)。
脚注
- ^ 佐藤新一 『誰にもわかる地文航法』 海文堂出版、1958年、6頁及び9頁